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危機的状況の日本の研究開発 国の長期的な支援が不可欠

2012年のノーベル生理学・医学賞が京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授に贈られ、喜びが日本中に広がった。再生医療に画期的なもので、夢が大きく膨らむ素晴らしい成果といえる。山中教授の偉業とグループ関係者の努力を心から賞賛したいと思う。

山中教授は最初の記者会見で、多くの方々に感謝の言葉を述べるとともに「国の支援に感謝したい」と述べている。2006年にマウスのiPS細胞、2007年にヒトiPS細胞が樹立された時、先端技術開発に力を入れていた私たち自公政権は、それまで年5000万円だった予算を、2008年から毎年45億円以上、さらに2009年には山中教授のチームに5年間で100億円規模をそれに加えることを決めた(2009年9月、民主党政権になって50億円に減額された)。国の支援の加速である。先日、山中教授とお会いした際、「iPS細胞の研究で、今は世界のトップを走っているが、脊髄損傷など待っている人のこと、激しい世界競争のなかにあることなどを考えると、一刻も早く移植可能レベルのiPS細胞を実現したいと焦る」と述べていた。課題も多く、予算も含めた総合的支援が急務である。

全体的にいって、日本の研究開発は危機的な状況にある。とくにこの数年、世界主要国は、リーマンショックの影響もあって、研究開発費が減少してきたが、ここに来て持ち直す傾向にある。そのなかで日本企業の研究開発は、景気後退の影響から、人件費や研究費を削りがちで、落ち込んだままだ。しかも、質の面でも短期的な既存技術の改良に集中し、将来の成長の種となる長期的研究は全体の1割程度だという。先端技術開発とその実用化に至るには長時間を要するし、未来の成長を促すためには、長期的研究こそ大切だが、それができていない。深刻である。

そこで大事なのは国の支援だ。「太陽電池」を考えてみても、「サンシャイン計画」以来の30年にわたる国の長期戦略・支援があって世界に誇るべきものとなっている。長期戦略には国が柱となる必要がある。予算と持続的な戦略だけではない。大学を中心にした基礎研究と、民間を中心とした実用化に至るまでの仕組みの改革が大切だ。従来から"死の谷"ともいうべきものが研究と実用化の間にあるといわれてきた。研究の成果が実用化されるまでには、種々の難しいハードルを越えなければならない。そこへの支援が不可欠なのだ。そのためにも省庁の縦割りの打破、産学連携の推進、経産省と文科省の連携と公的研究機関の橋渡し機能の強化など、早急に取り組むべき課題は多い。従来から大学が学術的に評価される「論文」に偏りすぎるとの指摘があったが、イノベーション創出に貢献するという角度をより大きくすることも大切だ。

課題は見えている。山中教授のノーベル賞受賞の喜びを、危機に瀕しているわが国の未来に向けての研究開発、先端技術開発の推進力にすることが大事だと強く思う。

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