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「鬼滅の刃」で絶好調ソニー カギを握るのは前金融庁長官 - 森岡 英樹

 ソニーの躍進が止まらない。電機各社がコロナ禍で減収に苦しむ中、今年9月中間連結決算は純利益が6928億円と、上半期の最高益を2年ぶりに更新した。最大の要因が、“巣籠もり消費”を追い風にしたゲームや音楽などエンターテインメント事業の成長。「プレイステーション(PS)4」の累積販売台数が1億台を超え、今月にはPS5が発売される。

【画像】役員報酬は10億円を超える吉田CEO


©iStock.com

「実は、興行収入200億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も孫会社のアニプレックスが制作した作品で、東宝とアニプレックスの共同配給です。ソニーは17年以降、複数のアニメ関連会社を買収するなどアニメ部門に力を注いでいる。現在も世界中で約7000万人のユーザーを抱える米アニメ配信大手のクランチロールを買収すべく、親会社のAT&Tと最終交渉中。同社はアニメ版ネットフリックスのような会社で、その買収価格は1000億円を超えると見られます」(アナリスト)

 そんなソニーで今後カギを握るのが、11月1日付で「シニアアドバイザー」のポストに遠藤俊英前金融庁長官を起用した人事だ。

「ソニーにとって、エンタメ事業と並ぶ“稼ぎ頭”が金融事業です。9月にはソニー銀行やソニー生命、ソニー損保などを手掛けるソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化し、本体の利益に貢献できる体制を整えました。財務畑出身の吉田憲一郎CEOらしい判断です。その吉田氏が更なる金融事業強化のために招いたのが、遠藤氏。監督官庁と事業者の関係から、遠藤氏が直接金融会社の役員に就くことはできませんが、ソニー本体のアドバイザーであれば問題ありません」(メガバンク幹部)

ソニーが遠藤氏に期待していることは?

 遠藤氏は長官時代、スルガ銀行の不適切融資問題などに厳しい姿勢で臨んできた一方、フィンテック(金融とITの融合)の対応強化にも力を注いできた。

「ソニーが遠藤氏に期待しているのは、金融行政との橋渡し役。そして、フィンテック戦略でしょう。ソニー最大の強みとして金融界が着目しているのが、電子マネーの決済システムに活用されている非接触ICカード技術方式『FeliCa』。その技術はJR東日本の『Suica』などに応用されていますが、コロナの影響もあって、非接触型決済はこれまで以上に普及していくはず。この辺りで遠藤氏の知見を活かしていきたいところです」(同前)

 ソニーの中核事業はいまや、パソコンや家電などのエレクトロニクス事業ではなく、エンタメ事業と金融事業。「全集中の呼吸」ならぬ、「選択と集中」で無限に勝ち続けられるか。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年11月19日号)

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