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国会と、国会議員のしごと~地方交付税の支払い遅れ、復興予算の流用の原因作ったのはだれ?

地方税と並び、地方自治体の主要財源の一つである地方交付税交付金が、政局絡みで入ってこない。
昔から地方自治体は「3割自治」と呼ばれてきた。税収の多くは国庫に入り、地方自治体には限られたものとなっていて、自前の財源は「3割」しかないということからそんな言葉が生まれた。

地方交付税交付金は、自治体が一定水準の行政サービスを展開するうえで、人口の大小屋産業構造等で財源の小さい自治体の格差を是正するため、総務省のもつ算定式に基づき、基準からの不足額が自治体に交付される。

これが地方に交付されるめどが立たないといのは、政府がその財源として確保しようとしている特例公債法が、衆院の解散の確約するかどうかで国会が審議入りができないためだ。

特例公債法
赤字国債の発行を認めるための1年限りの日本の特別な法律のこと。財政法第4条では建設国債と財投債のみの発行を認めており、赤字国債の発行は認めていない。そこで、政府は赤字国債を発行するために、1年限りの特例公債法を制定し、特別に発行を認めている。

正式な法律名は、例えば2010年の場合、「平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」となっている。1965年に初めての特例公債法が制定され、初の赤字国債が発行された。その後、赤字国債が発行されない年もあったものの、1994年からは毎年特例公債法が制定され、赤字国債が発行し続けられている。

2011年度に執行されている予算でも、歳入の約4割を占める37兆円の赤字国債の発行を見込んでいるが、ねじれ国会により特例公債法が成立できず、7月になっても赤字国債からの歳入を確保できていない。赤字国債以外で確保している歳入は55.7兆円のみで、このまま赤字国債が発行できないと、10月か11月には財源が枯渇するとされる。財源が枯渇すると、予算執行が抑制されて行政サービスなどが一部停止する可能性がある。



本来、国の借金である国債は、赤字補てんのために発行してはならないが、特例で認めざるを得ないというのが特例公債法だ。
審議入りか否かで駆け引きをしている自民党も、たぶん、その内容について否定しているわけではないのだろう。審議に入れば、法案そのものには“黙って通す”のだろう。
いまは、審議入りしてやる代わり、いつ解散するのかちゃんと示せという、一種の条件闘争なのだろうと思う。

しかし、そこが、地方議会(自治体議会)とは違うところなんだ。

自治体の議会では、そんなことはしない。
市長から提出されてくる議案が気に入らないからとか、条件を出さないからとかの理由で審議を拒否することはあり得ない。
議案の中身の善し悪しを審議するのが議会であるという大前提のもとで動いているからだ。

そこが国会と違うところ。
審議入りしたら審議はしない、可決はしてあげるというところらしい。

だから、特例公債法案がよいのか悪いのかどうかの審議はなさそう。
中身に問題ないのなら、迷惑をかけないでよ、と思う。

わたしは、国会というところの仕組みをよくわかっていない。
どうやら、国会というところは政策の善し悪しを議論するところではなく、審議に入るかどうかの駆け引きの場であるようだ。
現在の情勢だと、いま、選挙をやれば自民党など野党は有利であることから一刻も早く解散、総選挙に追い込みたいけれども、与党・民主党は分が悪いので早期解散は困るという事ぐらいしかわからない。

けさの朝日新聞に、「復興予算流用ここでも」という記事が載っていて、国土交通省が復興予算から東京の調布や大泉学園駅前や千葉の柏駅前再開発に補助金を出していることがわかったということだ。

「今後の災害に備えてビルの耐震性を高めるため」と説明しているそうだが、地元住民の中には、「再開発はこの地域の問題。被災地の復興に充てるべきお金を使うのはどうか」という声が上がっているという。

再開発予算となれば、当該地方自治体の歳入に入るので、それぞれの自治体の議会でも審議の対象となる内容であるが、おおもとの財源は国。

国会の予算審議とはどういうものなのだろう。
東日本大震災の被災地のほうでは、復興予算どころか、まだ復旧予算すら使えずに困っている自治体もあるだろう。
使い勝手、そして、人の問題。
たとえば、わたしが訪れた東日本大震災最大の被災地である宮城県石巻市は、松阪市と財政規模(石巻市600億円、松阪市550億円)も人口(石巻市15万人台、松阪市16万人台)も類似しているので、実感があったのだが、同市には平成23年度も24年度も、国補助の復旧予算と復興財源を含めて2500億円規模の予算に膨れ上がっている。
問題は、通常、年間600億円の仕事をしている自治体が、年間2500億円の仕事をしなければならないわけで、ただでさえ、少なくなった職員では消化しきれない。お金があっても、使うだけの仕事を回していけない、と、職員は、話していた。

一方で、東京や千葉の駅前再開発のための防災対応型のビル建設ということで付く“復興”予算。

どうも、割り切れない。

国会では、予算委員会といいつつも、予算の議論を聞くことはまれだ。
予算委員会は、国家予算を審議する場であろうに、われわれが耳にする議論は、外国人による政治献金を受け取っていたとかの政治資金規正法絡みの質問や、古くは国会議員の偽メール事件等々。マスコミ受けするネタではあるが、国家の予算とどう関係するのかはわからないことばかり。
つまり、与党に揺さぶりをかけるネタ(不祥事等)が中心の審議だ。

そんな状態だから、復興予算の使われ方の問題も出てくる。
当初の審議の段階で、しっかり審議していたのか、国会議員は?
政党間の駆け引きのための政局をつくるのではなく、予算審議という本来の仕事をjきちんとやっていればこんな不条理は防げたかもしれないのに、と思う。

そのツケとして、地方自治体としては、当然入ってくる財源として、予算化してある地方交付税が入ってこないということも、迷惑な話だ。

余計な話だが、本来、給料(歳費)がもらえる仕事(議員活動)の質と量においては国会議員はいったい、年間何日働いているというのだろう。
わたしは、“駆け引き”に要した時間は、政党活動の時間であって、議員活動の時間だとは思わない。よって、そこには歳費の支払われる対象となる時間には含まれないと思う。

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