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今日は大統領選挙投票日 ここに注目

東海岸では既に大統領選挙の投票が始まっています。

リアルクリアポリティクス社の集計ではオバマ(民主党)が48.8%、ロムニーが48.1%の支持率を集めており、人気は拮抗しています。

ただ実際の勝ち負けは選挙人団(electoral college)と呼ばれるポイントで競われます。
総ポイント数は538ですので、過半数は270ということになります。

リアルクリアポリティクス社の集計では現在、オバマが確実に取るのは201ポイント、ロムニーが191ポイント、不明が146ポイントとなっています。

下馬評ではオバマが280ポイント程度を支配し、大統領に選ばれる公算が高いとされています。

ただ、そのシナリオが狂ってくる可能性もあります。

ひとつの重要な要因は有権者の出足です。投票率が高ければオバマ有利、低ければロムニー有利となります。

この理由はロムニーのコアの支持者である共和党の高齢の有権者はエヴァンジェリカル(福音主義)の人が多く、彼らは熱心なので、どんなに天気が悪くても投票所に赴くからです。

一方のオバマは大学生などからの支持が高いです。大学生は気分が変わると投票に行かないことも多いので、あまり信頼できる支持者層ではありません。

因みに前回、2008年の選挙では投票率は62.9%で、1.31億人が投票しました。

次に重要なファクターは白人比率が高いか? という点です。高ければロムニーが有利となります。 2008年の選挙の実績では投票者の74%が白人でした。

選挙の大勢が判明するのは早くても今日の東海岸時間の8時頃だと思われます。 注目すべき州はバージニア州(選挙人団ポイント13)です。ここは夜7時と、比較的早く投票所が閉まります。バージニア州でロムニーが勝てないようだと、他で取りこぼしが許されなくなります。

同様に注目されるのはオハイオ州(選挙人団ポイント18)です。過去に共和党候補でオハイオ州で負けた人が大統領になれたケースは一回も無いそうです。オハイオ州の北部は自動車会社の下請け企業が集中しており、リーマンショック後の米国自動車産業の国費による救済が有権者の投票行動にどう影響を及ぼすかが特に注目されます。

今回の選挙は2つの点でこれまでの大統領選挙と根本的に異なります。先ず大統領選挙が終わっても「財政の崖」をどうするか?という問題が次に襲ってくるので、選挙結果如何によっては不確実性は除去されるのではなく、逆に高まる危険性があるという点です。

若しロムニー(共和党)が大統領になり、同時に上院、下院がともに共和党になれば、市場は好感します。

しかし上院が民主に行った場合、いわゆる「ねじれ」状態が発生しますので、「財政の崖」の議論は紛糾することが考えられます。

ロムニーは「場合によってはヘルスケア法案やドッド・フランク法案を覆すこともある」と言っています。ヘルスケア法案は1930年代の大恐慌移行で最も大きく、最も難航した法案ですし、ドッド・フランク法案は「大き過ぎて潰せない」金融機関の横暴を抑える意図で立法された法案ですから、どちらも上院議員たちが死力を尽くして戦った法案です。だからそれを早くも改変しようとするロムニーの「財政の崖」回避のアプローチには、大きな反発が予想されるわけです。

もうひとつ今回の大統領選挙が今までと全然違う点は、米国連邦準備制度理事会(FRB)が政策面で全て弾を撃ち尽くしており、これ以上の緩和は実質的に出来ないという点にあります。

先に発表されたQE3(量的緩和政策第3弾)は俗にQEP(P for permanent )と揶揄されています。つまり住宅抵当証券の買い入れは期間限定ではなく、永遠に続けるということが既に市場にシグナルされているということです。

これは金融政策としては正しいのでしょうが、市場との対話という点では、最後の切り札を使いきった状況になりますので、FRBが市場に対してトラクション(摩擦)を失う危険が高いです。

いま米国政府は16.1兆ドルの負債を抱えており、しかも毎年1兆ドルのペースで過去4年間、借金を雪だるま式に増やしてきました。

米国政府の歳入はGDPの15.7%で、一方の歳出は22.7%です。歳入額は約2.45兆ドルです。

それはつまり誰が大統領になろうとも、赤字の垂れ流しはやめなければいけない日が近づいており、仮にロムニーが大統領になった場合でも、選挙で公約した全部のタックス・ブラケットの納税者に減税するという約束は破られる公算がほぼ100%だということです。

実際、米国の景気は低水準ですが基調としては回復途上であり、次のアクションは一層の緩和ではなく、現在の超緩和的金融政策からのイグジット(脱却)が課題となります。

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