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言葉は発した本人に影響を与える。幸せな人生を送られるかは自分次第 - 「賢人論。」125回(中編)三宅義和氏

英会話教室イーオンの代表取締役社長・三宅義和氏は、知る人ぞ知るインタビューの名手だ。三宅氏が5年以上にわたって対談を行ってきた連載企画では、各界の著名人をゲストに招き、多種多様な話題でトークが繰り広げられてきた。全国に直営で250もの英会話教室を持つ企業の代表でもある同氏に、新型コロナ時代のコミュニケーションをどのように考えているのか話を伺った。

取材・文/盛田栄一 撮影/荻山拓也

ポジティブな発言が私たちをプラスな人生に導く

みんなの介護 三宅さんはある対談で「自分の発する言葉が自分自身の人生に影響を与える」と語られていて、とても印象に残りました。詳しく教えていただけますか。

三宅 自分の口から発せられた言葉は、いったん口の外に出てしまうと、もう元に戻すことができません。言うのはほんの一瞬ですが、その言葉が誰かを勇気づけることもあれば、逆に誰かを深く傷つけることもある。言葉を聞いた人に何らかの影響を与えるということです。そしてその言葉は、周りの人たちの顕在意識にしばらく留まるだけでなく、ときには潜在意識に残り続けることもあります。

これは自分自身についても言えることです。自分の言葉を一番近くで聞いているのは自分。ポジティブな言葉もネガティブな言葉も、自分で気がつかないうちに意識に根づくことさえあります。

みんなの介護 自分の放った言葉が自分に返ってきているのですね。

三宅 そう思います。いつも不平不満や愚痴ばかり口にしていたり、他人の悪口ばかり言っている人は、そういったネガティブなイメージに自分自身が毒されてしまう。私は長年、数多くの人を見てきていますが、ネガティブな発言ばかりする人で幸せな人生を送っている人は見たことがない。他人を馬鹿にするような汚い言葉を使ったり、ネガティブな発言をしたりする人は、そうすることで自分自身をも傷つけているのだと思います。

逆に、いつも前向きでプラス思考の発言をしている人は、自然とプラスの人生を歩んでいけているはず。言葉を発するとき、私たちはもっと自覚的であるべきです。

研修で披露した「氣のテスト」

みんなの介護 私たち人間が言葉に左右されてしまう生きものなのだとわかりました。

三宅 「言葉に影響を受ける」というのは、単なる精神論の話ではありません。言葉はもっと直接的に、私たちの体に大きな影響を及ぼします。それを証明してくれるのが心身統一合氣道の「氣のテスト」というものです。

私は以前から、心身統一合氣道で氣の勉強をしています。詳しい内容は割愛しますが、ときどき社内研修や外国人教師研修で「氣のテスト」を披露することがあります。最近は新型コロナの影響でやっていませんが、「自分が発する言葉が、瞬時に自分の体に影響を与える」ということを体験してもらいます。

これには外国人教師もとても驚いていました。研修から数ヵ月後にテストを受けた外国人教師と会って話をすると、私がみんなの前で話したスピーチの内容は覚えていないのに、氣のテストだけはなぜかしっかり覚えてくれていたりするんです(笑)。

みんなの介護 普段の生活で発する言葉遣いも何か気をつけていることはありますか。

三宅 できるだけ、プラスに受け止めてもらえるような言い方をするようにしています。例えば誰かに指示を出したり注意したりするときも、「こんな風にやったら、もっとうまく行くんじゃないかな?」とか、「あなたなら、もっとうまくできると思うよ」とか、最後はプラスの言葉で終わるような形で伝えることが大切だと思います。

自然発生的に生まれたイーオン独自の挨拶文化

みんなの介護 伺ったところによると、イーオンでは仕事終わりに「お疲れ様でした」とは言わないそうですね。

三宅 はい。弊社では1日の仕事を終えて退社するとき、あるいは会議後で「お疲れ様でした」の代わりに「ありがとうございました」と言っています。「お疲れ様でした」を禁止しているわけではないし、就業規則に書いてあるわけでもないんですが、何となくそういう社内文化ができあがってきました。

みんなの介護 何かきっかけがあったのでしょうか。

三宅 これも合氣道からの学びが関連していると思います。

「お疲れ様でした」は相手を思いやる言葉で、決して悪い言葉ではありません。ただ私が思うのは、「疲れる」という言葉そのものにあまり良いイメージがない。特に朝、社員の誰かと顔をあわせるときに「お疲れ様です」と言うと、まだ疲れてもいないのに何となく疲れたような気分になる。だとすれば、朝から「お疲れ様」をあえて言う必要はないんじゃないか、という気がしますね。

ともあれ、社内で「お疲れ様」を言わなくなってから、夕方になっても弊社の社員からは活力を感じます。他社からこられた方も、独自の挨拶に最初は戸惑っておられますが、慣れてくると「“ありがとうございました”のほうが、お互い気持ち良いですね」とおっしゃっていただけます。やはり、普段使う言葉は大切だと思いますよ。

コロナ禍のコミュニケーションはより丁寧に

みんなの介護 コロナ禍において対面で会うことに制限がある中で、オンライン会議やSNSでコミュニケーションを取る機会が増えました。しかし直接相対しているわけではないので、細かなニュアンスが伝わりにくいというデメリットもあります。ウィズコロナの時代に私たちはどんな言葉遣いを心がければいいのでしょうか。

三宅 基本的には対面でもオンライン会議でもSNSでも、コミュニケーションの際の心構えは一緒だと思います。相手を思いやり、リスペクトすること。ただおっしゃるように、対面でないと伝わらないニュアンスというのも、確かに存在すると思います。直接会っていれば何となく伝わるものが、ディスプレイ越しではなかなか伝わらなかったりします。

特に今は、世界中が“将来の見えない不安”に絡み取られていて、普段なら何でもないような言葉でも、深刻に受け止めてしまう傾向があります。ですから、いつも以上に自分が話したり書いたりする言葉を慎重に選ぶべきでしょうね。

みんなの介護 緊急事態宣言が出ていたとき、イーオンの英会話教室はどうされていたのですか。

三宅 4・5・6月と、オンラインでレッスンを行っていました。5月25日に緊急事態宣言が全国で解除されたため、6月中旬から通常の教室でのレッスンも始めています。

教室でのレッスンを再開するにあたって、受講生の皆さんに「教室でのレッスンに戻りたいか、それとももう少しオンラインレッスンを続けたいか」というアンケートを実施しました。私たちの予想では半々くらいに分かれると思っていたのですが、なんと9割以上の人が「教室に戻ってきたい」と答えてくれました。

不安はありながらも、教師や生徒同士の直接的なつながりを求めていたんだと感じますね。そういう受講生の皆さんのためにも、英会話教師は一言一言丁寧に言葉を発する責任があります。教師にもそのように伝えました。

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