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PCR検査の信頼性がゆらぎ「新々型コロナ」も…しかし恐れる必要はない

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PCR検査で検出できない恐れがある「変異体」可能性

10月下旬に新型コロナウイルスSARS-COV2の変異体が欧州で流行していることが報告されました(注1)。遺伝子の変異が大きいと、従来の試薬ではPCR検査では検出できない可能性があることが世界的科学誌『Lancet』でも指摘されています(注2)。

このウイルスは20A.EU1と呼ばれるもので、蔓延しているコロナウイルスの特徴的な部分で複数箇所にわたり大きく変異しています。重症化しやすいかどうかなど、臨床像の調査が大急ぎで進められています(注3)。

「新型コロナウイルス」より「新型」が登場し、もともとのウイルスは季節性の仲間入りを始めています。新型インフルエンザと呼ばれていたものがA(H1N1)2009pdmと、「新型」が外れ季節性(旧型)になったものと同じ経緯です。

10搈12日、WHOのCOVID-19特使であるデビッド・ナバロ博士は、英スペクテイター誌のインタビューに対し、「WHOは都市封鎖を主要な管理方法として使用することを提唱していない」と答えた。10月12日、WHOのCOVID-19特使であるデビッド・ナバロ博士は、英スペクテイター誌のインタビューに対し、「WHOは都市封鎖を主要な管理方法として使用することを提唱していない」と答えた。 - 写真=EPA/時事通信フォト

PCRは、新型に特有の遺伝子を鋳型にしています。鋳型にしている遺伝子が変異してしまうと、PCRにかからなくなり感染していたとしても陰性になるかもしれません。遺伝子に合わせた鋳型試薬の変更が必要になります。大幅な変異体・バリアントが流行すると現在のPCR検査自体が無効になるかもしれません。変異と試薬作成の終わり無きいたちごっこになります。

新規患者数が増加しても、重症者が増えていない

われわれが「新型コロナウイルス」と呼ぼうとも、ウイルスの素早い変異の中ではですぐに昔のものになります。現在の姿は、コロナウイルスにとっては変異の長い歴史の中のひとつにすぎません。

急速に変化を続けるコロナウイルスの遺伝子変化は大きな樹形図になっています(注4)。新規患者数が増加しても、重症者が増えていない(注5)スウェーデンのテグネル博士は、夏のバカンス旅行の影響はなかったと分析しています(注6)。

幸いなことに、アジア・オセアニアではコロナウイルスは重症化しにくいようです。変異体が持ち込まれても、私たちにとっては通年の変化のひとつにすぎないからかもしれません。

長い時間軸と地域性の平面の考察の両方のパラメータが必要です。けれども、なかなかこういった全体を俯瞰する情報は伝えられません。

アジア・オセアニアでは最初から今も軽微なワケ

10月28日最新の世界的流行のAFP通信による俯瞰図です。

AFP通信、https://www.afpbb.com/articles/-/3312561、注7AFP通信 注7

コロナウイルス発信地である中国周辺国は軽微で、離れるほど重症なことが判ります。

AFP通信、https://www.afpbb.com/articles/-/3284875、注8AFP通信注8

半年前の5月の図を示します。現在とほとんど変わりません。専門者は触れたがりませんが、流行しない国では最初からずっと流行していません。私は、発生地以外の都市で流行しなかったSARSと同じことが起きていると考えています。今回は、中国の尋常ならざる努力もあったと思いますが別な要素もあるのではないかと思っています。

コロナウイルスのエピセンター(流行発生発信源)である中国から毎年伝播してきていた季節性コロナウイルスが、新型コロナウイルスにも免疫を作ってくれていたと考えると合理的です。NHKでも「交差免疫」として特集番組が組まれるようになりました。

正しい認識のもと、灯りを掲げる人が増えている

新型コロナウイルスが登場して1年経過し、陽性者数と陰性化数が拮抗し平衡している状態が全国的に長期間続いているので(注9)蔓延期と呼んでよいでしょう。

私が、各地方自治体を中心とした日本を元気にする「応援村プロジェクト」(注10)の実行委員を拝命したこともあり、今回は、もう少し広く社会的なことに触れてみようと思います。

黒岩祐治神奈川県知事が指揮して「コロナ対策技術実証、ハマスタで始まる 初日1万6千人余」と信頼できる結果を導き出すための万全の観測体制を整えて野球観戦の実証実験を行っています(注11)。

たぶん観戦者に陽性の方が一定の割合で混ざっているかもしれません。それでも感染拡大も何も起きないと思います。私は、称賛されるべき素晴らしい試みだと考えていて応援し続けたいと思います。

「新型コロナの感染状況『入院患者増加に転じている』専門家会合」(注12)と警鐘を鳴らし続ける一方で、コロナの巣窟だったはずの東京都が「『都内観光促進事業』もっと楽しもう!TokyoTokyo」の追加キャンペーン(注13)を始めました。「GOTOトラベルと組み合わせると、ほぼ無料で宿泊!でも売り切れました」というテレビ番組がめじろ押しです。

「コロナ『不安』8割 都調査、都市ボランティア対象」(注14)と国民の不安感が無くなる前にGOTOイートや地域振興券なども投入されました。さらに利用可能範囲が広がったり狭くなったりしてカオス状態です。

私は、そのカオスの中で不安の霧を晴らす作業を行いつつ、希望を持って実証実験を繰り返して未来の形を作り続ければいいと思っています。正しい認識のもとに、灯りを掲げる人々が次々に増えてきていることは心強いものです。

ロックダウンは今後も必要ない

9月下旬になり4月の時点で「政府が『一斉休校望ましい』、諮問委は却下 4月会合で 新型コロナウイルス」(注15)と専門者委員会と政府の齟齬があったことが報道されました。

休校よりも、再開を語るべきだと医療者は主張していたとのことです。子供たちへの休校やリモート授業の影響の大きさについては、皆さんも経験されたと思います。入学と同時に休学になったため、エンカウンターに失敗して登校できなくなった生徒さんに私もお会いしました。

こういった時には、世界的な視点から俯瞰することが大切です。10月12日に、WHOのCOVID-19特使であるデビッド・ナバロ博士は、英スペクテイター誌のインタビューに対し、「WHOは都市封鎖を主要な管理方法として使用することを提唱していない」と答えています。(注16)。


「新型コロナ、絶滅の可能性低い」(注17)という認識に至っています。封じ込めや絶滅させることは不可能で、欧州のように変異を繰り返し人々の中に存在し続けるわけです。感染制御の面だけを考えるなら強力な外出禁止や都市封鎖策は、よっぽどのことがない限り有効ではなく必要ないものです。

変異型でも日本でははやらないのではないか

蔓延型ウイルスであることから「『東京を封鎖しろ』なぜ日本人はこれほどコロナを恐れてしまうのか」(注18)のコラムなどで、人類はこのウイルスを封じるすべを持たないと繰り返しお伝えしてきました。

これまでの経緯を見ると、ある程度の免疫力をアジア諸国やオーストラリア周辺の人々は有しているようです。私は、一足早く冬を越え日本と同じ流行形態のオーストラリアの状況を鑑みて今年の冬はコロナもインフルもはやらないことを予測しています(注19)。欧州で流行している変異型コロナウイルスが持ち込まれても日本でははやらないのではないかと思っています。

これから段階的にどのようにいろいろなことを緩和して自由な暮らしをとりもどしていくか、という方法論の方が必要です。

規制に最も大きな影響を与えているのが、指定感染症によるルールです。

秋になっても依然として医療機関は新型コロナウイルスの性質がわからなかった2020年1月28日に発布された「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」に従っていました(注20)。「『エボラ並み』どう見直す?」にわかりやすい図が掲載されています(注21)。いまでも、この政令ルールのもとに動いています。

変異体によっては何回やっても陰性の可能性も

2020年初めに重症者発生を警戒するあまり、指定感染症に指定するのと同時に高度の警戒を行うことが始まりました。医療機関は、厚労省の「診療の手引き」に従って診療することになりました。そこには呼吸器につながれた重症患者さんと元気に歩いてくるクリニックの患者さんとの区別はありません(注22)。

その後、日本は日本のコロナウイルスを考えれば良いこと(注23)や死亡率が低い(注19)ことなどが明らかになりました。

10月に入り「新型コロナで「入院」を求める患者、65歳以上、基礎疾患保有、重症、妊婦などに限定—厚労省」(注24)という方針に緩和されました。その内容については、「新型コロナウイルス感染症の感染症法の運用の見直しに関するQ&Aについて」(注25)には「あくまで医療リソースの最適化のため」と述べられています。

元気な人は陽性でも自宅待機、という妥当な落としどころだと思います。一方で、いざというときに行政が介入できるように指定感染症を解除したくないという管理者の気持ちも理解できます。無理に解除するのではなく、日本でのウイルスの振る舞いをみて緩和し続けていけば良いと思っています。

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