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『サマーウォーズ』の細田守監督が手がけた『おジャ魔女どれみ』のエピソードが切なすぎる ゲスト声優は原田知世!「どれみと魔女をやめた魔女」 - 岩佐 陽一

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 11月12日(木)より、人気アニメ『おジャ魔女どれみ』のキャラクターブック『おジャ魔女どれみ OFFICIAL CHARACTER BOOK どれみ&おんぷ大全』が発売される。

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11月12日より発売された『おジャ魔女どれみ OFFICIAL CHARACTER BOOK どれみ&おんぷ大全』。

『おジャ魔女どれみ』の名作・傑作は数多くあるが、中でも「どれみと魔女をやめた魔女」の評価は突出しているのではないか。実はこのエピソードは、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』で名高い細田守監督が手がけていた。

「最近のTVアニメは傑作が生まれにくい」

 以前、東映アニメーションの清水慎治プロデューサー(現在は顧問)にお話を伺ったときのこと。「最近のテレビアニメは、作画も内容も毎回、平均値以上で素晴らしいんだけど、それだけに『これは!』っていう名作・傑作が生まれにくくなっちゃったね」と語られたことが印象に残った。清水Pは『ゲゲゲの鬼太郎(第4期)』(’96年)や、『金田一少年の事件簿』(’96年)などの企画・プロデュースを手がけた東映アニメーション歴代の名プロデューサーのおひとり。

 そのときは『ゲゲゲの鬼太郎(第4期)』についてインタビューさせて頂いたのだが、その名作・傑作の例として『鬼太郎(第4期)』の第94話「鬼太郎魚と置いてけ堀」と第113話「鬼太郎対三匹の刺客!」を挙げられた(もちろん「他にも傑作はあるんだけど」と前置きをされてからのこと)。どちらも細田守監督回。そう、『サマーウォーズ』(’09年)や『おおかみこどもの雨と雪』(’12年)などで知られる今や大巨匠だ。その細田監督が、東映アニメーション在籍時代に手がけた『鬼太郎』のうちの2本だが、確かに突出している。清水Pが“傑作”と言われるのも実に納得がいく。

細田監督が東映アニメーション在籍時代に手がけた『おジャ魔女』

 その細田守監督は、なんと人気アニメ『おジャ魔女どれみ』シリーズでも一部のエピソードを手がけていた。中でも傑作はシリーズ第4作『おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!』(’02年)第40話「どれみと魔女をやめた魔女」。

 タイトルにある“魔女をやめた魔女”の声を演じたのが、女優の原田知世。そう、『時をかける少女』(’83年)で主人公の芳山和子役を演じた“あの”原田知世だ。細田監督が後年、『時をかける少女』のアニメ映画(’06年)を監督することを考えると数奇な運命を感じる。未来はもう、キャラクターデザインからして原田知世を意識しているとしか思えない。

 では、ここで簡単にこのエピソードのあらすじをご紹介しよう。

将来が見えない主人公・どれみと、年をとらない魔女の苦悩

 しっかり者のあいこ(声・松岡由貴)、バイオリンに励むはづき(声・秋谷智子)、帰国子女のももこ(声・宮原永海)、そしてチャイドルから大人の女優へと脱皮しつつあるおんぷ(声・宍戸留美)……と、級友たちが将来のビジョンをしっかりと見据えつつあるなか、自分だけが全く未来が見えてこないことに対して焦りと不安を隠せない主人公・どれみ(声・千葉千恵巳)は、ある日の下校途中、不思議な建物に目が留まる。

 そこは、最近この町に越して来たガラス工芸師であり、“元魔女”の佐倉未来の自宅だった。ガラス工芸の魅力に惹かれるどれみに、未来はガラスの特性をこう告げる。「ガラスってね、冷えて固まっているように見えて、本当はゆっくり動いているのよ。(中略)あんまりゆっくりなんで、人間の目には止まっているようにしか見えないだけ。でも、何千年も生きる魔女はガラスが動いているのを見ることができる。いずれ、私も、それを見る」。

 本話におけるガラスとは“魔女”のメタファーだ。“魔女見習い”であるどれみの将来の選択肢のひとつには当然、“魔女”がある。それは魔女見習いしか得ることのできない“特権”でもある。だが、その道を選んだ瞬間、“人“生は消え、“人”としての幸福は去る。未来は“魔女をやめた魔女”として登場するが、その“呪い”はかかったまま。ここでいう呪いとは“人間との寿命の違い”。“長寿”、それも何百年、何千年単位の長生きは人類の永遠の夢であり、魔女はそれをかなえた存在。だが魔女は、人間よりもずっと長く生きられる肉体と引き換えに“人間だった頃”の幸せをいっさい喪っていた……。

 未来は、“後輩”のどれみに語る。今、ヴェネツィアにいる高齢(90歳)のベテランガラス工芸師から留学を誘われている。だが、そのベテラン工芸師にガラスを教えたのは未来だった。どれみはここで初めて魔女の残酷な未来を知る。そのベテラン工芸師は、未来を、かつて自分が愛した女性の娘か孫だと信じて疑わない。他ならぬ愛した女性、その人なのに……。どれみは最初、ドレッサーにたくさん貼られていた世界各国のいろいろな人たちの写真を目にして、羨望の眼差しを向けていた。だが今は、その1枚1枚に哀しい想い出のあることを知る。

 “未来が見えない”どれみを、未来はヴェネツィアに誘う。自身の孤独から逃れるためなのか? 本気でどれみを自分の後継に育てようと思ったのか? それとも単に試しただけなのか?……未来の真意が劇中で語られることはない。果たしてどれみの答えは? そして、物語の結末は?……もし未見の方で、このお話に興味を持たれた方がいたらぜひ!自分の目で確かめていただきたい。

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