- 2020年11月11日 14:52
「NTTドコモ子会社化はNTT法にそぐわない」KDDI、ソフトバンク、楽天が訴え

11日、電気通信事業を営む28社が、趣旨に賛同する37社を代表してNTT持株によるNTTドコモ完全子会社化に係る意見申出書を総務大臣に提出した。また提出後にはKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社が代表して合同会見を行い、要望の概要を説明した。
3社は、5G時代、さらにはBeyond5G、6G時代を前にNTTグループの優位性が増す中、完全子会社化が競争阻害に甚大な影響を及ぼしうるとし、「NTT東・西とNTTドコモが一体化することがあってはならない」と主張。TOB自体を止める手立てはないものの、NTTグループの在り方について公開の場で議論する必要があると訴えた。
強大なNTTグループ 完全子会社化は分離の方針に逆行

NTTグループは、政策的議論を経て移動体通信事業を分離してきた経緯がある。NTTドコモも、旧NTTの資本的な支配や、光ファイバ等ボトルネック設備から切り離し、完全民営化、出資比率の引き下げを通じて、競争事業者との公正競争が求められてきた。
今回の会見では、この点について完全子会社化がNTT法に定めるNTT持株の目的、事業内容にそぐわず、完全民営化・出資比率低下の方針に逆行していると指摘した。
3社は、これまで公正な競争の結果として電気通信市場では技術革新が進展し、利用者利便が向上してきたと説明。5G時代に向けて求められる、さらなる競争の進展や利用者利便の向上が損なわれることが一番の問題だとして、対応の必要性を訴えた。
NTT東・西とドコモの資本的100%の結合は、事実上巨大な市場支配力をもつNTTの一体化を意味すると危惧。NTTコミュニケーションズ等との結合でさらに市場支配力が増大することも懸念していると説明している。
具体的には、環境変化に応じてNTTの在り方をめぐる政策的措置・公正競争要件を見直すのであれば、まずは検証し、そのうえで必要な競争政策について議論すべきだと主張した。
光ファイバのシェアで5G時代に優位性を増すNTTグループ

また会見では、5G時代を支えるのは光ファイバであることは明らかだと指摘した。
5Gでは従来より高い周波数帯を使うため、稠密な基地局展開が不可欠で、より多くの光ファイバが必要になり、光ファイバの“ボトルネック性”は高まるという。設備ベースでその75%の国内シェアをもつNTT東・西、またNTTグループがこれまで以上に優位性をもつことになる。
この状況下で競争をしていくには、競争事業者がNTT東・西の光ファイバ等の設備をNTTグループと完全に同等な条件・環境で利用できる必要があるが、資本的な結合により「各種情報、利用手続き、提供条件・料金」が内部取引になると指摘。
仮に、同等の料金であっても、光ファイバ等のボトルネック設備を不当に高額な料金で貸し出した場合、完全子会社であるNTTドコモ以外の競争事業者が排除されることになるとしている。
「TOB先行は順番が逆」「なし崩しはありえない」
質疑応答では、KDDI側がTOB自体は止める手立てがないとしつつ、本来検証があってから組織再編があっていいのか、やるならどのような形か議論が必要だったが、今回のTOBは順番が逆だと指摘した。
ソフトバンク側は、総務省の、環境変化に応じた見直しがあっていいという姿勢については否定はしないとしつつ、なし崩し的に認められることはありえず、議論が必要であるという考えを示した。
新規事業者である楽天モバイルは、基地局建設等におけるNTT東・西とのかかわりが重要だとし、新規参入を考える事業者にとっても公正に競争し合う環境が阻害されると危惧した。
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