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スタートアップがスタッフ教育に投資すべき4つの理由と教育プログラム導入法

スタートアップの課題といえば会社の成長に伴ってスタッフ自身も成長させていくこと。もちろん勝手に皆が成長してくれることにこしたことはないのですが、中々そうはならないのが現実。とはいえ、充実したスタッフ教育を行うまでには至っておらず状況に悩んでいる、、、そんなスタートアップ起業家や管理職に送るスタッフ教育の重要性とその方法について。筆者は米国を代表するトップVCかつ自身も連続起業家であるベン・ホロウィッツだけにその内容に注目。– SEO Japan
Teachers teach and do the world good
kings just rule and most are never understood
—KRS-One, My Philosophy
ほとんどのマネージャーは、従業員の教育は他の人に任されるべき仕事であると感じているようである。一方、私は、それはマネージャーが自分でやるべきことだと強く信じている。
—Andy Grove, High Output Management

初めてマネージャーになった時、私は、教育に関して複雑な感情を抱いていた。論理的に、ハイテク企業向けの教育は理にかなっているが、私が勤めていた企業での研修プログラムにおける私の個人的経験はちっとも面白いものではなかった。そのコースは、私たちのビジネスを本当には理解していない社外企業によって教えられ、実際関係のないことを教えていた。間もなくして、私は、Andy Groveが書いたマネージメントの古典、『High Output Management』の“Why Training is The Boss’s Job”と表題のついた第16章を読み、それが私のキャリアを変えた。

最も劇的なことに、Netscapeのプロダクト管理部長だった時、私は大部分のプロダクトマネージャーがビジネスに与えている価値がいかに少ないかということに不満を感じていた。Andyの助言に基づいて、私は、Good Product Manager/Bad Product Managerと呼ばれる短いドキュメントを書いた。そして、自分の基本的な期待に基づいてチームを指導するためにそれを使用した(そのドキュメントはこの記事の最後に含める)。私は、その後に起きたことに驚いた。私のチームのパフォーマンスがすぐに向上したのだ。以前は絶望的だと考えていたプロダクトマネージャーが効果的になったのだ。

そのうちに、私は社内で最もパフォーマンスの高いチームを運営していた。この経験に基づき、Loudcloudを始めた後、私は研修にかなり投資をした。私たちの最終的な成功の多くはその投資のおかげだと思っている。そして、全てのことは、自分のスタッフを教育するというシンプルな決意とさらにもっとシンプルな教育ドキュメントから始まったのだ。だから、今私はAndy Groveへの恩返しをし、あなたがなぜ、何を、どのように同じことを自分の会社ですべきかを説明するつもりだ。

スタッフを教育すべき理由

テクノロジー企業を作るほぼ全ての人が、人が最も重要な資産であるということを知っている。適切に経営されたスタートアップは、自らの才能のベースを築くために、求人と面接プロセスにかなりの重点を置く。残念なことに、人に対する投資がそこで止まってしまう場合が多い。そうすべきでない大きな理由が4つある:

1. 生産性

しばしば私は、何人の志願者を選抜し、何人が最終面接へと進み、何人を採用したか、入念に統計を記録しているスタートアップを目にする。これらの統計は全て興味深いが、最も重要な統計が欠けている:十分に生産的な従業員を何人採用したのか?実際のゴールへ向けた進展を測定することができないことによって、彼らは教育の価値を見失う。もし彼らが生産性を測定していたら、求人、雇用、統合に対するそれら全ての投資が無駄になるということが分かってゾッとするかもしれない。たとえ彼らが新しい従業員の生産性の低さに気が付いていたとしても、大部分のCEOは教育に投資をする時間がない。Andy Groveは、その逆が真実であるということを計算して示している:

教育とは、まさに、マネージャーが実施できる最も影響力の高い活動の1つだ。自分の部署のメンバーのために自分が4回にわたってレクチャーをする可能性についてしばらく考えてみよう。1時間のコースの準備に3時間かかるとすると、合計で12時間になる。あなたのクラスには10人の生徒がいるとしよう。来年彼らはあなたの組織のために合計およそ2万時間働くことになる。もしあなたの教育の試みが部下のパフォーマンスに1パーセントの向上という結果になれば、会社は、あなたの12時間の労働の結果として200時間に相当するものを獲得することになる。

2. パフォーマンス・マネージメント

マネージャーを採用する時、よくこんな質問をする:誰かをクビにしたことはありますか?もしくは、今まで何人をクビにしましたか?もしくは、どうやって誰かをクビにすることに取り組みますか?これらは全て結構な質問だが、しばしば正しい質問が尋ねられないことがある:あなたが人をクビにした時、その従業員がその仕事への期待を理解していたことと、その従業員にそれらが欠けていたことの両方をあなたはどのように確信したのですか?一番良い回答は、マネージャーが、自分がその従業員をその仕事のために教育をした時に明確に期待を設定したというものだ。もしスタッフを教育しなければ、あなたはパフォーマンス・マネージメントの基礎を確立していない。その結果、あなたの会社におけるパフォーマンス・マネージメントは、ずさんで一貫性のないものになるだろう。

3. プロダクト・クオリティ

創設者は、以前の仕事で対処することを強いられていた数多くの酷い問題を解決するエレガントで美しい製品構造のビジョンを持って会社を始めることが多い。そして、会社が成功すると、彼らは自分の美しい製品構造がフランケンシュタインと化したことに気が付く。なぜこのようなことが起こるのか?成功は急速に新しいエンジニアを雇う必要性を促進するため、会社は新しいエンジニアを適切に教育することを無視する。そういったエンジニアが仕事に割り当てられると、彼らはベストを尽くしてその仕事を終わらせる方法を見つけ出す。多くの場合、これはその構造内の既存の仕組みの複製を意味し、それがユーザー体験、パフォーマンスの問題、一般的な混乱における矛盾を引き起こす。そしてあなたは、教育は高価だと思っている。

4. 従業員の保持

Netscapeで特に激しい人員の自然削減が起こっていた時、私は、なぜ人々がハイテク企業を辞めるのかを会社全体が理解するために、全ての退職面接を読むことにした。経済状態は別として、人々が辞める主な2つの理由があることが分かった:

  1. 自分のマネージャーが嫌いだった―これらの従業員は、概して、自分が受け取るアドバイス、キャリア開発、フィードバックがないことに愕然としていた。
  2. 何も学んでいなかった―会社が従業員に投資をしていなかった。

極めて優れた教育プログラムは、これら両方の問題に正面から取り組むことができる。

まず何をすべきか?

まずは従業員に最も関係のあるトピックから始めるのが一番いい。それは、彼らが自分の仕事をするために必要な知識とスキルだ。私はこれを実用的教育と呼んでいる。実用的教育は、新しい従業員をあなたの彼らに対する期待をもとに教育するなどの簡単なもの(Good Product Manager/Bad Product Manager参照)にも、あなたの製品の歴史的な構造の微妙な差異の全てについて新しい採用者に完璧に必要な情報を与えるための複数週にわたるエンジニアブートキャンプのような手間のかかるものにもなり得る。教育コースは、特定の仕事に合わせて作られるべきだ。もしあなたがより手間のかかるスタイルのコースを試みるなら、必ずマネージャー同様そのチームの最高のエキスパートに協力を求めること。嬉しい副作用として、このような取り組みが、パワフルでポジティブな企業文化を作るのに、100回にも及ぶ文化構築の戦略的オフサイトミーティングよりも大いに役に立つ。

企業の教育プログラムのその他の必要不可欠な要素は、マネージメント教育だ。マネージメント教育は、あなたのマネージメントチームに対する期待を設定することから始めるのが一番よい。あなたは、彼らが従業員と定期的な1:1を行うことを期待するのか?彼らがパフォーマンスフィードバックを与えることを期待するのか?彼らが自分の部下を教育することを期待するのか?彼らが自分のチームと方針について合意することを期待するのか?もしそうなら、彼らにそのことを伝えた方が良い。なぜなら、最先端テクノロジー企業におけるマネージメントは極めて乏しいからだ。期待を設定したなら、マネージメントコースの次のセットはすでに定義されている;マネージャーにあなたが期待することをする方法(パフォーマンスレビューの書き方、1:1を実施する方法など)を教えるコースだ。

その他の興味深いトピック―マネージメント教育と実用的教育を整えたなら、他の機会もある。テック企業を作ることにおいて素晴らしいことの1つは、あなたが採用することができる素晴らしい人々だ。自分の最高の人材を選んで、彼らの最も成熟したスキルを共有するように働きかけるのだ。交渉、面接、ファイナンスなどのトピックにおける教育は、従業員のモラルを向上すると同時に、それらの分野におけるあなたの会社の能力を強化することにもなる。さらには、教えることは、エリートレベルの能力を獲得している従業員にとって名誉の証にもなるのだ。

教育プログラム導入のためのカギ

教育の価値と何について教育をすべきかが分かった今、私たちがしたいことを組織にさせるためにはどうすればいいのだろうか?最初に認識すべきことは、任意的なことをする時間のあるスタートアップはないということだ。故に、教育は義務的でなければならない。最初の2つのタイプの教育(実用的教育とマネージメント教育)は、以下のように簡単に実施させることができる:

  • 新しい従業員の要請を保留することによって実用的教育を実施する―Andy Groveが書いているように、マネージャーが従業員の成果を向上させるには2つしか方法はない。それは、モチベーションと教育だ。故に、教育はあなたの組織の全てのマネージャーにとって最も基本的な要求であるべきだ。この要求を実施する効果的な方法は、マネージャーが新入社員のための教育プログラムを作るまではマネージャーからの新しい従業員の要請を保留することだ。

  • 自分で教えることによってマネージメント教育を実施する―会社を管理することはCEOの仕事だ。あなたには自分で全てのマネージメントコースを教える時間はないとはいえ、マネージメントの期待についてのコースはあなたが教えるべきだ。なぜなら、それらは、結局のところあなたの期待だからだ。他のコースを教えるためにあなたのチームで最高のマネージャーを選ぶことによりそれを評判にすること。そして、それを義務にもすること。

皮肉なことに、教育プログラムを整えることへの最大の阻害物は、それにあまりにも多くの時間がかかるという認知である。あなたの会社における生産性を上げるためにこれよりも役に立つ投資は他にないのだということを頭に入れておくことだ。だから、忙しくて教育できないということは、お腹が空き過ぎて食べられないことに相当する考え方なのだ。もっと言うと、基本の教育コースを作ることはそれほど難しくはない。説明のためにGood Product Manager/Bad Product Managerを添付した。どうぞご覧あれ。

Good Product Manager, Bad Product Manager (日本語)
注意:このドキュメントは15年前に書かれたもので、もしかすると今日のプロダクトマネージャーには適していないかもしれない。私は、単に役に立つ教育ドキュメントの一例としてそれをここで紹介しているだけである。

この記事は、ben’s blogに掲載された「Why Startups Should Train Their People」を翻訳した内容です。

私も中小企業の経営者ながら、正直、余りきちんとしたスタッフ教育プログラムを用意しているわけではないので、何かと反省しきりの記事でした。時間がないことを理由にするのは誰でもできますが、生産性の項目で説明されているように、その効果を考えれば絶対にやるべきことなんですけどね。もちろん全くやっていないというわけではありませんし、部署単位で色々とあるにはあるのですが、もう少し横断的な教育プログラムがあってもいいのかな、、、などと思ったりも改めてしてしまいました。

さて皆さんはどう思われたでしょうか? — SEO Japan [G+]

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