- 2020年11月10日 17:55
帰りの救急車問題
先日河野大臣が、「救急車が高速道路を走行する際に傷病者を乗せている場合には消防活動の一環である救急業務として高速道路料金が無料になっているけれど、帰りについては消防活動には当たらないとして今まで無料の対象になっていなかった」ことに問題提起をされた。
事実関係を調べてみるとこうだ。
高速道路や有料道路を走行する車両については基本的には料金を支払うことになっているのだが、緊急自動車は徴収しないということが道路整備特別措置法で決められている。緊急自動車以外にも徴収しないこととされている例としては「その他政令で定める車両」となっている。
そして、「政令で定める車両」とは何かと言えば、それは国土交通大臣が告示することとなっていて、そこには警察車両や災害などに従事する車両そして消防活動に従事する車両などが含まれている。
傷病者を乗せ、サイレンを鳴らしながら医療機関に向かう救急車が消防活動に従事する車両であることについては論を待たないが、一方で傷病者を医療機関に搬送し終えた後、消防署に帰所する車両がこの「消防活動に従事する車両」にあたるのかどうかは明確ではなかった。
常識的に考えれば傷病者を搬送し、そして戻ってくるところまでが1連の消防活動と言えるだろうから帰りについても料金を徴収しないと考えるのが妥当のように思うが、このことについては地域によって扱いが様々だったようだ。
帰りについても料金を徴収しないとされている地域がある一方で帰りについては料金を支払うこととなっている地域もあり、その地域の1つである群馬県から、規制改革チームのほうに改善を求める声が出され、それを受けて河野大臣の発言となったものだ。
現在総務省消防庁と国土交通省で協議が重ねられて、「消防活動」とはどこからどこまでを指すのか明確化する予定となっていると聞く。
ぜひ常識に沿った形での解決を期待したいと思う。
救急車と高速道路に関しては、自分としても救急車がETCレーンを通行することができないという問題について取り組み、その結果、高速道路会社と関係県との間で契約を締結している場合にはETCレーンを通行することができるカードを発行することになっている。ただこれについても地域によって扱いが異なっていて、このことについては総務省行政評価局から今年に入って指摘を受けたところだ。
消防庁から行政評価局まで。
総務省の仕事の広さを改めて感じる。
いずれの問題についても国民の常識に沿った形での解決を期待したい。