記事

「支配ではなく利用。飼育技術を高めるのが使命」「見せて人間が楽しむ形態は間違っている」 動物園は必要か不必要か

1/2

 「専門学校に入学してすぐの授業でディベートしたんだけど、お題が『動物園は必要か不要か』で不要派の圧勝だった」

【映像】動物園の是非 必要派・不要派の主張は

 先日、話題になったこのツイート。投稿したのは元動物園飼育員のZooBabyさん。本人に話を聞いてみると、「不要派から出た意見としては、『檻の中とか狭い場所に閉じ込められているように見える』『触れ合いとかでお子さんに触られたりすることが多いが、そういうのが動物たちにとってストレスになるのではないか』とか、動物がかわいそうという意見が一番多かった」という。

 そもそも動物園とは何のために存在するのか。動物を実際に見て触れ合える、遠足やデートなどテーマパークのように感じている人も多いと思うが、実はきちんとした役割がある。日本動物園水族館協会によると、その役割は主に4つ。野生動物を守り、次世代に伝える「種の保存(保全)」。生態を詳しく知る「調査・研究」。実際に動物を見て学ぶ「教育」。命の大切さを感じる「レクリエーション」。

 その存在意義を訴えるも、ネットでは「人目にさらされて…動物がかわいそう」「研究したいなら現地ですれば良いのでは?」「人間のエゴじゃないの?」など否定的な意見もある。

 そんな声を受けてか、動物園の在り方も変わりつつある。福岡県にある大牟田市動物園。ここでは約50種類の動物が飼育されている。企画・広報担当の冨澤奏子さんは「当園のコンセプトは、“動物福祉を伝える動物園”。動物福祉がどういうものなのかというと、動物が精神的に肉体的に、十分に健康であって幸福であって、環境とも調和しているということを表している」と話す。

 ここでは、動物の目線で幸せな暮らしをとことん追求し、来場者に伝えている。「レッサーパンダという動物がいる。木の上で生活をする動物で、頭から登って頭から降りてくることができる。

それくらいバランス能力に長けた動物だが、暮らしの中でそういった行動を引き出したいと思ったので、壁に木材を付けてボルダリングをしてもらったりとか、木の枝を頻繁に変えて、限られた空間だが慣れる前に環境が変わっていくというような環境づくりを心がけている」。さらに、餌をあちこちに隠してライオンに探させて食べさせるなど、野生に近い行動を引き出し、本来の生態に合わせるなど工夫を凝らしている。

 一方で、園内で「ぞうはいません。ぞうは群れ社会で生きています。当園には群れを飼える広さがありません」という看板が。冨澤さんは「動物福祉を当園がどのように考えているかを体現しているのが、その看板だと私も思っている。

動物にとって最適な環境を用意できないのであれば、その動物の飼育を諦めるということも今後は必要になってくると思う。動物を飼育するという上で動物福祉というのが当たり前の世の中になってほしいと思う」と述べた。

 ただ見るだけでなく、動物の幸せも考えなければいけない時代。果たして私たち人間には動物園はいるのかいらないのか。6日の『ABEMA Prime』では、その在り方を動物福祉の観点で考えた。

 動物園のスタッフや学芸員を経験し、現在はどうぶつ科学コミュニケーターの大渕希郷氏は、動物園は「必要だけど改善点も多い」として次のように話す。

 「動物園として、まずは種の保存というのが大きな目標の一つでもある。種の保存をするためには、その動物のことを知らなければいけない。調べて研究しなければいけない。もちろん野生でも研究していて、ようやく最近は科学技術の進歩によって進んできている。

DNAの解析技術であるとか、ドローンの登場でどんどんできるようになっているが、やはり野外で研究するのは非常に大変だ。(野外と飼育下)双方でしかわからないこともあり協力し合ってやるべきだが、飼育下で分かることも大きいので必要だと私は思う。そもそも動物園は博物館の一種というところから始まっているので、そこもきちんと押さえていきたい」

 一方、動物を救うための活動を行っているNPO法人「アニマルライツセンター」代表理事の岡田千尋氏は、「動物園は動物福祉を損なう」と主張する。

 「最初に言いたいのは、動物の個体自身への敬意を考えて欲しいということ。その動物にとって一生は一度しかないわけだが、私たちが種の保存のため、教育のため、娯楽のためと言いながら全て奪ってしまう。アニマルウェルフェア(動物福祉)というものは、動物行動学や生態学、生理学など科学的な根拠をもって論じられていて、人間の主観が間違っているといった話ではなく、動物たちがどれだけその動物らしくいられるのか、動物本来の欲求を満たしていけるのかということを考えていくようなものだ。

そう考えると、動物たちの本能や動物らしさ、ライフサイクルがきちんと送れない動物園、閉鎖された檻の中というのは、非常に動物の福祉を損なうものだというふうに考えられる」

 動物愛護をテーマにした動物園ならよいのか。岡田氏は「“動物園”としてわざわざ動物を見せる必要はないのではないか。例えば種の保存といった時、レスキューセンターやリハビリセンターという形態にしていくことで、より種の保存が図られていくだろうということもある。“見せて人間が楽しむ”ということが今の動物園は主になっているので、その形態は間違っているのではないかなと思う」と、動物園の娯楽要素に異議を唱える。

あわせて読みたい

「動物愛護」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    医療崩壊を煽る報道に医師が怒り

    名月論

  2. 2

    欧州の学者 日本と差は「民度」

    WEDGE Infinity

  3. 3

    宮迫&中田&手越共演で「TV崩壊」

    かさこ

  4. 4

    みんなで隠蔽した近藤真彦の不倫

    渡邉裕二

  5. 5

    松本人志のGoTo巡る案に賛同続々

    女性自身

  6. 6

    検査少ない東京 実際の感染者は

    ktdisk

  7. 7

    自民党も評価 公正だった民主党

    非国民通信

  8. 8

    ジリ貧の書店 サービス不足原因?

    吉田喜貴

  9. 9

    対案出さない野党「追及で十分」

    PRESIDENT Online

  10. 10

    香港民主派の周庭さんら3人収監

    ABEMA TIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。