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年を取ることは「記憶」という資産を増やすこと。思い出に浸かる老後も悪くない - 「賢人論。」125回(前編)三宅義和氏

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2020年、日本の高齢者率が世界一に。わが国で進行を続ける国民の超高齢化によって到来した「人生100年時代」をどのように生きていくべきなのか。英会話教室イーオンの代表取締役社長であり、各界著名人との対談を通して数々の知見をお持ちの三宅義和氏に、人生100年時代の豊かな生き方とご自身の生活を支える「心身の健康」の秘訣について語っていただいた。

取材・文/盛田栄一 撮影/荻山拓也

人生の豊かさの定義と最後の時間の過ごし方は人それぞれ

みんなの介護 日本人の平均寿命や健康寿命が延びたせいか、ここ数年で「人生100年時代」という言葉があちこちで聞かれるようになりました。65歳で現役を引退した場合、まだ30年以上の人生が残っている計算になります。長い老後を豊かに過ごすにはどうすべきか、三宅さんはどのようなビジョンをお持ちでしょうか。

三宅 「豊かさ」は極めて主観的なものですから、皆さんのそれぞれの人生において、それぞれ異なる豊かさがあるはず。私がここであれこれ述べるのは、おこがましいような気がします。

とはいえ、最近五木寛之さんの『回想のすすめ』を読んで、「なるほど」と深く納得したことがあります。それは、「過去を振り返るのは決してネガティブな行為ではない」ということ。

これまで、高齢者の方が思い出を懐かしく反芻するのは、どちらかと言えば後ろ向きでネガティブな行為とされてきましたね。思い出に生きるのは、ただの現実逃避ではないか、と。しかし五木さんの本を読むと、人の記憶が一種の“資産”であることがよくわかります。

そして年齢とともに増えていく「記憶という資産」を、自由に活用して楽しむのもアリだと実感しました。最近、私の身の回りから「老後の楽しみが見つけられない」という話を耳にします。ですが、特に何もしないで回想にとっぷり浸かる老後も悪くないのではないでしょうか。ゆったりと自分の人生を振り返ることも、それはそれで豊かな老後の過ごし方だと思うのです。

みんなの介護 「年を重ねるごとに『記憶』という資産が増えていく」と考えることができれば、年を取ることもそう悪くないと思えてきますね。

三宅 亡くなる直前まで仕事を続ける、という老後もあっていいでしょう。

私が通っている旧知の理髪店があるのですが、そこの先代のご主人は、かつてマッカーサー元帥やマンスフィールド大使なども担当された名物店主でした。今から6・7年前に亡くなりましたが、亡くなる数ヵ月前まで月に何日かお店に出て、昔話に花を咲かせながらお得意様の髪をカットしていました。

年を取ってから毎日仕事をするのはしんどいけど、月に数日程度であれば、最後まで実社会とのつながりを実感しながら生きることができる。それもまた素敵な老後だと思います。

現役時代から何か打ち込めるものを見つけておく

みんなの介護 三宅さんご自身はどのような老後をイメージしているのでしょうか。

三宅 私は新しいことにチャレンジするのが好きなので、新しい出会いや発見を求めて、毎日ワクワクしながら過ごしたいですね。「人生は学びの連続」だと考えています。昨日より今日、今日より明日と、できることやわかることが死ぬまで少しずつ増えていくような人生を歩んでいきたいと考えています。

もちろん、私のような生き方を皆さんに押しつけるつもりはありません。現に私の友人ですでにリタイアしている人は旅行が趣味で、いつも日本中のあちこちを旅行しています。今は新型コロナの影響で自粛していますが…。また別の友人は趣味の合唱サークルに入っていて、コンサート開催に向けて毎日練習に力が入っているそうです。

老後の過ごし方は人それぞれですが、現役時代に趣味の活動を一切したことのない人が、リタイアしていきなり何かを始めて趣味が充実する、というのは考えにくいと思います。豊かで自分らしく生きがいのある老後を過ごすためには、現役時代から何か打ち込めるものを見つけておいたほうがいいかもしれせんね。

みんなの介護 三宅さんが今打ち込んでいる趣味はなんですか。

三宅 ピアノと合氣道です。ピアノは子どもの頃に一時期習っていたのですが、半世紀以上経った6・7年程前に再開しました。一流のプロの先生に習いに通っていますが、やはり独学で学ぶのとは全然違いますね。自分が上達するほど、出てくる音が違ってくる。これは楽しいです。

また、心身統一合氣道に入門したのは60歳を過ぎてから。それまで、合氣道の道場で氣の勉強はずっと続けていましたが、そろそろ本格的に習いたいと一念発起して始めました。合氣道の稽古には毎回深い学びがあって、道場に通うたびに新たな感動があります。

これらの趣味は、仕事にも良い影響をもたらしてくれます。例えば疲れていて頭がうまく回らないとき、ピアノの練習曲を両手で弾いているイメージを自分で思い描くだけで、脳がしゃきっと活性化する。物ごとがなかなか思い通りに進まなくて閉塞感を感じたとき、合氣道の動きをイメージするだけで、体も心もスーと落ち着いてきます。

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