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『鬼滅の刃』の残酷な描写問題 親は子にどう助言するべきか

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ブームの裏では議論も(西村尚己/アフロ)

 巷では幼稚園児くらいの子供までオープニング曲『紅蓮華』を口ずさみ、映画館は劇場版アニメを観るためのファミリーでごった返している──『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴・作)が社会現象とも言えるほどのブームと化したのは、多くのちびっこたちをファンに取り込んだことが大きいのではないか。

 これまで“ヒット”や“大ヒット”と言える少年漫画は多数生まれてきたが、これだけ幅広い年齢層にまで広がった作品となると、やはり『鬼滅の刃』は久々の特大ヒットと言えるだろう。

 しかし、大ブームの裏で、ネット上を中心に議論されていることがある。「『鬼滅の刃』は子どもに見せるには残虐な描写が多いのではないか?」という問いについてだ。たしかに人間と鬼の死闘を描いた作品である以上、流血は避けて通れない。劇中では生首が飛び、時には人体が内側から破裂するような描写まである。主人公が家に帰ったら、家族がほとんど全員殺されていたという序盤の展開も、子供にとっては非常にショッキングなものだろう。

「子供が『鬼滅の刃』に興味を持っているが、見せていいものか迷っている」という保護者の声は多く、「残虐な描写のせいで子供が夜泣きするようになってしまった」といった声も一部にはある。

 少年漫画というジャンルを振り返れば、『北斗の拳』や『ジョジョの奇妙な冒険』、『HUNTER×HUNTER』など、残虐な描写を含んでいると言われた人気作品は枚挙にいとまがない。これらも含め、未就学児が見たり読んだりするとなると、大人の側が心配するのは当然のことかもしれない。

 発達心理学などを専門とする法政大学文学部心理学科の渡辺弥生教授は、幼い子供が残虐な描写から受ける影響についてこう指摘する。

「公開中の劇場版『鬼滅の刃』のレイティングはPG12です。つまり、12歳以下の子供に視聴させる場合は、保護者の助言や指導が必要です。見せっぱなしは良くありません。その理由として、まず、暴力シーンに曝露されることは、その後の子供の心にネガティブな影を落とします。攻撃的な行動や考え方、怒りの感情などに関連すると多くの研究で報告されています。

 特に幼い子供ほど、善悪の判断や文脈の理解をせずに強い刺激に晒されると、見たまま聞いたままを真似します。“強い者がヒーロー”といった単純な捉え方をしがちです。さらに、類似したシーンを見ると怒りが湧き上がるようになります。記憶の断片が脳内で突如ネットワークされ、考えや行動に繋がってしまうのです。そうすると生活の様々な場面が『呼び水』となり、何度でも怒りが喚起されたりします。

 他方、幼い子供ほど『傷つき』『脅威に感じ』やすい傾向が高く、遊びの中でこうした状況に『曝露される』度合いが多いと、トラウマになるリスクも高まります」(渡辺教授)

 では、小さな子供が残虐な描写のある作品に興味を持った場合、大人はどのようなことに注意すれば良いのだろうか?

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