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私はなぜ小保方晴子さんに惹かれるのか?――「ストロベリーナイト」脚本家が綴る“ガラスの天井” - 旺季 志ずか

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今度の男、ただのおじさんやん!

 私の場合、ビビビッと惹かれて運命を感じる「一目惚れ」は、ヤバい。相手は必ず「ダメンズ」。赤い糸の出会いなんかではない、「共依存」カップル誕生のサインなのだ。

 今の私は、ありがたいことに、ダメンズホイホイを卒業した。

「ビビビ」のサインは危険信号。そのことに気づいて、「ビビビ」どころかデートに誘われて「キモい」と思った男性とつきあってみた結果、誠実で真面目な男性と結婚したのだ。

 過去の男性遍歴を知る妹に、夫の写真を初めて見せた時の反応が、

「しーちゃんの今度の男、ただのおじさんやん! ただのおじさんやん!! ただのおじさんやん!!!」

 と「ただのおじさん」3連発! しかし今「普通であること」の大切さを嚙みしめる日々である。

一億総活躍社会なんてウソじゃん

 自分の未熟さを棚に上げて言わせてもらうと、STAP細胞について取材をしていて見えてきたのは、この日本社会の仕組みがダメンズを生み出す構造になっているのではないかということだった。

「男」というだけで、女性よりも簡単に高い地位につき、権力が持てると思うのは私だけ? 

 つまり、凄まじいばかりの「男社会」。

「一億総活躍社会なんてウソじゃん」

 私は何度、取材の中で叫んだか! 何人もの女性研究者に会ったが、一人残らず、女性であること、それだけでひどい目にあっていた。

 まだまだ日本ではセクハラは日常茶飯事で、そのことに異議を唱える方が割りを食うことも少なくなく、多くの女性が「おかしい」と感じながらも口を閉ざしていた。女性だけでなく、優秀なポスドク(博士号を取得したけれど常勤ポストにつけない研究者のこと)たちがタダ働き同然で働かされていたり、自分の研究成果を上司に横取りされたりしていた。アカハラやパワハラなどなど、「STAP細胞事件」のおかげで、女性研究者やポスドクを取り巻く環境はよくなるどころかむしろ、悪くなっているとも。

ガラスの天井に阻まれて

 秀才が集まる研究者の世界でさえ、価値観が前近代的すぎる日本という国。

 そんな「男社会」で、小保方晴子さんは成功の階段を駆け上った。それがフェイクな砂上の楼閣の階段であっても、割烹着を着て、まつエクをした彼女が歩くランウェイの最前列には、彼女を後押しする権威ある男性たちが陣取っていたのだろう。男性社会のガラスの天井に阻まれて表舞台から消えたように見えつつ、 正拳突きで鮮やかにガラスをぶち破ることができることを、私たちに見せてくれたようにも思える。

小保方さんが成り上がるために使ったのは…

「STAP細胞事件」の周辺を取材した私は、ミステリー小説『モテ薬』を書いた。

 どんなに強力なウィルスでも撃退する免疫細胞の研究をしていた美人研究者が、異性を強烈に惹きつける物質を偶然に発見、その効果から「モテ薬」と呼ばれ、世界中から「世紀の発見」ともてはやされる。だが、その論文通りに実験しても再現できなかったことから研究不正なのではないかと大騒ぎになる。そして殺人事件が起きる――。

 小保方晴子さんが成り上がるために使ったのは、その才能なのか? それとも「モテ薬」だったのか?

 女性が才能を遺憾なく発揮し輝ける社会は、万人にも優しいはず。女性が、優しさ、包容力、美しさ、その女性ならではの魅力を全開にして生きられない社会は不幸だ。真の「一億総活躍社会」その到来を願ってやまない。女性の自殺率が上がっているというニュースを聞くにつけ、改めて心からそう思う。

(旺季 志ずか)

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