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私はなぜ小保方晴子さんに惹かれるのか?――「ストロベリーナイト」脚本家が綴る“ガラスの天井” - 旺季 志ずか

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 STAP細胞事件で小保方晴子さんが世間に名を知られてから、早6年の月日が経った。このSTAP細胞事件をモチーフに『モテ薬』という小説を書いたのは、「ストロベリーナイト」の脚本で知られる旺季志ずかさんだ。「リケジョ」の星だった小保方さんになぜひかれたのか、取材を通して感じた「男社会」について、旺季さんが綴った。


STAP細胞事件の取材を行い、『モテ薬』を上梓した、旺季志ずかさん

◆◆◆

「小保方晴子」――その名を知らない人はいないだろう。彼女がこの世にあらわれたとき、私はなぜか強烈に惹かれた。

 2014年に世界中を驚かせた「STAP細胞事件」。小保方晴子さんは、山中伸弥さんのiPS細胞を凌ぐノーベル賞級の新発見をした科学者として、彗星のごとくあらわれた。一時は、割烹着姿の彼女の姿をメディアで見ない日はないほどで、「リケジョ」という言葉が世間を賑わせた。が、それも束の間、研究不正の疑いが噂されるようになり、結局、『ネイチャー』に投稿された論文は撤回、最終的に不祥事の責任を取るようなかたちで小保方さんは退職を余儀なくされた。

彼女はすべてを失ったのではなかったか?

 そして、数年後、女性写真の巨匠・篠山紀信の被写体となって『週刊文春』のグラビアを飾ったとき、驚愕した。あれほどの大きな事件があったのにもかかわらず、何事もなかったかのように、まるで女優のような微笑を浮かべている。

 彼女はすべてを失ったのではなかったか――?

 しかし彼女はたしかに、そこにいて、美しい姿で生きている。それも世間の日陰にこっそり隠れるのではなく、しっかりと背筋を伸ばし、私はここにいる、と表舞台に胸を張っている……。

 当の事件は違和感が残る幕切れだった。いや、本当に「STAP細胞事件」に終止符は打たれたのか?

 若く美しい女性研究者、「リケジョの星」があらわれたと思ったら、いきなり、世間から「捏造の科学者」と呼ばれるまでになってしまった。すべてが小保方晴子さんのせいになって、理研の研究環境や、ヒト・モノ・カネにまつわる組織的な問題にはいっさいメスが入らなかった。

 どうしても真相が知りたい。彼女への興味が、事件の取材をして脚本家としてなにか書いてみたいという情熱となった。

「味方をしてもらえるなら、取材を受けます」

「本当のこと」を知っていると思われるSTAP細胞の共同研究者、若山照彦教授に手紙を書いた。しかし若山教授からは丁重なお断りのお返事をいただいた。「日本の科学者の信頼を失ったことに非常に責任を感じており、日本の科学力のレベルの高さを世界に示すことで信頼性を取り戻したい、そのためには研究を全力で進めなければならない」と改めて真摯な決意が述べられていた。

 さまざまな関係者に会って話を聴く中、いちばん話を聴きたかった小保方さんの、代理人なる男性の方と接点ができお会いした。小保方さんの著書にも登場するその方がおっしゃるには「小保方の味方をしてもらえるなら、小保方は取材を受けます」とのこと。

 私は迷った。だが、結局、会わないことを選んだ。

 なぜなら、私は「STAP細胞があるか?」ということを証明したいわけではなかったからだ。

 会えば情が湧く可能性がある。それは、この事件をモチーフにして作品を書く私には障害になるような気がした。あくまでもクールな作家目線で、この事件を捉えたい、そう思った。会わないと決めると、会いたいという気持ちが募ったが……。

「ダメンズホイホイ」体質だから

 それにしても、なぜ、私は、「小保方晴子」という人に、これほどまでに惹かれるのか?

 それは、彼女も私も、理不尽な「男社会」という社会構造のなかでもがいてきた者同士だからからではないか?

 実は、はじめて告白すると、私は「ダメンズホイホイ」体質だ。

「ダメンズホイホイ」とは、私が自分の男性経験から作った造語だが、私はなぜか「ダメンズ」に惹かれる。妻子がいるのを隠している俳優、妻に内緒でマンションを借りているプロデューサー、1円まで割り勘のミュージシャン、ギャンブル依存症の代表取締役、愛する人とセックスができないマザコンサラリーマン、複数の女性がいないとダメなデザイナー……私の出会った「ダメンズナンバー7」というのを作ったところ、そのあまりに華麗すぎるメンバーに、我ながらウケた。

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