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スコットランド、親が子どもをたたく行為を法律で禁止 イギリス国内で初

Backers of the bill rallied outside Holyrood on the morning of the vote

イギリス・スコットランドで7日から、親がしつけのために子どもをたたくこと(スマッキング)を禁止する法律が施行される。16歳未満の子どもへの体罰が違法となるのは、同国で初めて。

親や、子どもの世話をする人たちはこれまで、しつけのための「妥当なせっかん」であれば体をたたくなどの行為が認められていた。

新たな法律では、いわゆる「正当な暴力」だと弁解することはできなくなる。

新法は大人と同様に子どもを暴力行為から保護することを目指している。

ウェールズでも2年後に禁止

世界で初めて家庭内でのスマッキングを禁止したのはスウェーデンで、1979年に子どもへの体罰行為を違法とした。同様の措置を取るのは、スコットランドで58カ国目となる。

イギリスでは1月、スコットランドに続いてウェールズでも子どもをたたくことを禁止する法案が可決した。2022年から施行される。

一方で現時点では、イングランドや北アイルランドがこれに追随する計画はない。

英児童虐待防止協会(NSPCC)はスコットランドの禁止措置は「常識的」な動きだとした。

同協会のジョアンナ・バレット氏は、「この法律は、スコットランドではもはや体罰が幼少期に起きてはならないことを明確に示している。子どもの権利が真に認識され、尊重され、実現される国をつくるための重要な1歩だ」と述べた。

「暴力は決して許されない」

スマッキング禁止法案は、スコットランドの緑の党所属で元警察官のジョン・フィニー議員が提案した。フィニー氏は緑の党のほか、スコットランド国民党(SNP)や自由民主党、多くの子どもの慈善団体から支持を得ていた。

フィニー氏はたたくことで子どもたちに「力は正義」だと思い込ませることになると指摘。禁止すれば「いかなる状況でも暴力は決して許されないという強いメッセージを伝える」ことができるとした。

子ども問題担当大臣のマリー・トッド氏は「時代遅れの弁解は現代のスコットランドにはふさわしくない。子どもをたたく行為が理にかなうなんてことは決してない」と述べた。

一方で反対派は、現行法がすでに、大人による虐待から子どもを保護しているため、「不必要」な変更だと主張した。

また、法律の変更は、深刻な身体的虐待の被害者である弱い立場の子どもたちを助けることにはつながらないと指摘。しつけのために子どもの尻をたたくなどしている「善良な」家庭にとってトラウマになるような介入を引き起こすことになるとした。

これまでの体罰に関する法律の内容は

これまでは、16歳未満の子どもへのせっかんが妥当かどうかを判断する際、裁判所は罰の性質や期間、頻度、子どもの年齢、肉体的および精神的な子どもへの影響などを考慮していた。

一般的に親が子どもの体をたたくことは許されるものの、頭をたたいたりゆすったり、あるいはなんらかの道具を使うことは違法だった。

学校やそのほかの教育現場での体罰はすでに、全面的に禁止されていた。

どう変わる?

しつけのための「妥当なせっかん」という言い訳は通用しなくなる。つまり、親が自分の子どもに何らかの体罰を行えば、起訴される可能性がある。

国連の子どもの権利委員会によると、平手打ちや、手や道具でたたくこと、蹴ること、あるいは子どもを投げたり、引っかいたり、つねったり、かんだり、髪の毛を引っ張ったり、びんたをしたり、苦しい体勢を強要したり、やけどを負わせたり、無理やり食べさせたりすることなどが体罰に含まれる。

子どもをたたく行為はどれくらい広がっているのか

スコットランドの子どもの慈善団体が2015年に発表した報告書によると、イギリスではアメリカ、カナダ、イタリア、ドイツ、スウェーデンなどと比べて子どもへの体罰がより一般的であることが明らかになった。

研究者たちはイギリスの親の7~8割が体罰をしたことがあり、たたかれる可能性が最も高いのは3~7歳の子どもだと推定した。

さらに、多くの親がたたくことは「いいこと」ではないと考えつつも、時には「効果がある唯一の」しつけになることがあると考えていることも判明した。

研究者たちはまた、身体的なせっかんが長年にわたって減少してきたと指摘。体罰に対する社会的な見方は変化しており、すでにたたくことを禁止している50以上の国では体罰が急激に減少しているという「説得力のある証拠」もあるとした。

たたかれることに対する子どもの見解を調べたところ、痛くて動揺はするものの、悪い行動を止められるとは限らないことが示された。

反対派の主張

スコットランドの団体「Be Reasonable Scotland」は、スマッキング禁止法に反対するキャンペーンを主導。有害無益になりかねない「厳格」な法律だとしている。

同団体は、現行法では親は子どもの手や尻をたたくなどの「非常に軽いしつけ」しかできないと指摘。今後はこうした行為が犯罪とみなされる可能性があると主張している。

団体の広報担当者は、「今後数年間で、これまで子どもを危険にさらすことなく、当局に介入されたことのない愛情深い親たちが、警察のデータベースのブラックリストに加えられたり、さらにはたたいたことで犯罪者として登録されたりするなど、精神的負担のある介入に直面することになる。スコットランド人の大半はこの法律は不当であり、前向きな変更ではないと考えている」と述べた。

団体はスコットランド自治政府に対し、本当の虐待を突き止め、対処する能力を向上させるための社会事業や、そのほかのサービスに投資するよう促した。

英国内のそのほかの地域は

イングランドとウェールズの現行法では、あとやあざができたり、腫れたり、切り傷や擦り傷がでたりするほど強く子どもをたたいた親は、刑事罰に問われる可能性がある。

しかしウェールズは現在では、イングランドとウェールズでヴィクトリア朝時代から続いてきた「妥当な体罰」というものを削除する、子どもへの体罰を全面的に禁止する法案を可決している。

イングランドに対して、この流れに追随するよう求める声が上がっている。イギリスの教育心理学者協会は昨年、スマッキングは子どものメンタルヘルスに有害であり、禁止すべきだと表明した。

北アイルランドにもイングランドとウェールズと同様の法的規定がある。隣国アイルランドは2015年にスマッキングを禁止した。

(英語記事 Scotland becomes first part of UK to ban smacking

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