記事

「Google出身で資産は100億円」ビジネス系YouTuberはなぜウソをつき続けられたのか

1/2

登録者37万人のビジネス系YouTuberの竹花貴騎氏に、経歴詐称の疑惑が持ち上がっている。なぜ「Google出身」などとウソをついてしまったのか。かつて青汁王子と呼ばれ、年商130億円の企業を経営していたが、法人税法違反(脱税)容疑で逮捕され、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受けた三崎優太氏は「『派手な生活ぶりをメディアやSNSで喧伝して失敗した』という点で、竹花氏と私は共通している。だからこそ、私は竹花氏にアドバイスをしたい」という――。

三崎優太氏写真提供=扶桑社

「自己紹介」のほとんどがウソではないかという疑惑

10月、ネット上で一人のビジネス系ユーチューバーに経歴詐称疑惑の声があがった。

YouTubeチャンネル登録者数37万人を数える「竹花貴騎MUPビジネスカレッジ」を運営する竹花貴騎氏だ。

竹花氏は海外の大学を卒業後、Googleに入社。東証一部上場企業グループの海外拠点の最高執行責任者(COO)やリクルートを経て独立し、2017年にLimを設立した。

その後「Google出身者が開発」を売りにしたインスタグラム集客ツールを販売(現在は売却)。現在は国内外に複数の拠点を持ち事業を展開するほか、MUPビジネスカレッジというビジネススクールを立ち上げ、数万人の会員を持っている。28歳にして資産は100億円を超えている。

さらに、竹花財団という財団を作り、アジアの恵まれない子供たちを支援するほか、故郷の東村山市に1億円の寄付をするなど社会慈善活動にも熱心に取り組んでいる経営者である。

……と、ここまでの話は彼がMUPの会員たちに向けて話していた自己紹介だが、その内容のほとんどがウソではないかという疑惑がネット上で持ち上がったのだ。

Twitterでビジネス系インフルエンサーとして知られる田端信太郎氏が竹花氏に問い合わせたところ、Googleは業務委託で働いていたことが発覚。

さらに、バリに所有するとされた別荘は民泊で7万円で借りられる物件で自己所有のものではないことが明らかになったほか、海外事務所の写真はすべて合成写真で、竹花財団が運営している学校も、別の団体が運営している学校であることがわかったのだ。

次々に明らかになる竹花氏の嘘の経歴に、「竹花氏の経歴詐称は極めて悪質」と語るのはかつて青汁王子と世間から呼ばれ、年商130億円の企業を経営していた三崎優太氏だ。竹花氏は自身のSNSで、同じ若手経営者である三崎氏のフォロワーを中傷するような発言を繰り返していた。

三崎氏は、今回の竹花氏の経歴詐称には、より重要な「本質的問題」があると話す。

実績を偽って商品を売っていた

【三崎優太氏】竹花氏の経歴詐称疑惑が持ち上がったのは今から3週間ほど前のことですが、以前から私は彼の業績について疑念を持っていました。

YouTubeチャンネルでは「世界数カ国で事業を展開」と謳っていましたが、彼の事業内容を見ても現実的ではないと思っていたのです。

そこで、彼の経歴について一度詳しく調べてみようと思った時に、今回の騒動が発生しました。

現在、竹花氏は経歴についてもっとも批判が浴びせられていますが、それよりも元Googleと言って商品を売っていたことが最大の問題と言えるでしょう。

さも、よい商材である根拠を「Googleにいた」という経歴で担保していたからです。

むろん、今回の経歴詐称は刑事罰に値するものではないのかもしれませんが、海外拠点も実態が怪しいものばかりで、いわば実績を偽って商品を売っていたという意味では限りなく詐欺に近いと言えるでしょう。

三崎優太氏写真提供=扶桑社

完全犯罪の一歩手前だった竹花貴騎氏

ただ、今回の竹花氏の経歴詐称について一つ勉強になったことがあります。

それは、いまのネット社会において、経歴を偽って作り込めば、数万人の人は騙せて、ビジネススクールを立ち上げるまでの教祖になれるということです。彼は虚像でここまで利益をあげることができてしまったのです。

おそらく、彼はその虚像をこれから実像に変えようとしていたのではないでしょうか。

実態のないビジネスをMUPの売り上げで新規事業として始め、さらにその利益で本当に海外にオフィスや別荘を構え、寄付をする。

その道半ばで今回の経歴詐称が発覚してしまった。

その意味で、彼は虚像を実像に変えるという完全犯罪の一歩手前だったと私は考えます。あと1年この嘘がバレなければ、竹花氏は東村山市以外にも寄付先を増やし、収益を増やして本物の経営者になっていたかもしれません。

しかしそのプロジェクトはネット上の一人のビジネスインフルエンサーの目に止まり、頓挫してしまったのです。

結果として、彼がオーナーを務めるLimの海外支社のオフィス写真は合成で、寄付先の施設の看板は一時的に掛けられていたものだったことがわかりましたが、それでも人を騙せたというのが竹花氏が残した唯一の実績といってよいでしょう。

なぜ今まで竹花氏の経歴詐称はバレなかったのか

しかし、ここで一つ素朴な疑問が生まれないでしょうか。


写真提供=扶桑社

なぜ彼はここまで経歴詐称がバレなかったのでしょうか。

それは、彼が主戦場としているのがTwitterではなくインスタグラムとYouTubeだったというのが挙げられます。

インスタグラムは、リツイートがないためTwitterに比べて拡散されにくいSNSです。

いわば、興味を持った人だけをフォローし、興味を持った人の投稿だけを見るSNS。しかも、“インスタ映え”という言葉に象徴されるように、自分を盛ることを目的とした投稿が多いのです。

いわば、背伸びした投稿が当たり前のメディアと言うことができるでしょう。

そんな「背伸び投稿」をしていれば、Twitterならばすぐにツッコミが入ります。

しかし、インスタグラムは雰囲気が重視されるSNSであるためそんなツッコミが入らないばかりか、盛っている世界観を構築しやすいのです。

事実、竹花氏のインスタグラムの投稿を見ると、東南アジアの高級リゾートホテルで過ごす姿など「成功者の象徴」のような写真が目立ちます。

簡単に言えば、彼は「インスタ映え」する写真を載せ続けていたので、インスタグラムを通して竹花氏を知った人は、彼に憧れて“信者”になった可能性が高いのです。

さらに、彼のYouTubeチャンネル「竹花貴騎MUPビジネスカレッジ」は国際色豊かであることを顕示するように、プライベートジェットで世界を渡り歩くシーンを挿入しています。最後は外国人男性が不必要に英語で話し、チャンネル登録を促してきます。

一口で言えば、他のYouTubeチャンネルに比べて竹花氏のそれは「海外っぽさ」を雰囲気として醸し出している。この、「なんとなく金持ち」「なんとなく海外で活躍してそう」「なんとなくお金を持っていそう」といった“なんとなく”のコンテンツこそが彼の影響力の本質だったのです。

あわせて読みたい

「YouTuber」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    GoTo見直し 協力体制みえず幻滅

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    GoTo停止の是非を論じる無意味さ

    木曽崇

  3. 3

    医療崩壊を煽る報道に医師が怒り

    名月論

  4. 4

    松本人志のGoTo巡る案に賛同続々

    女性自身

  5. 5

    新井浩文が語った「性的武勇伝」

    文春オンライン

  6. 6

    みんなで隠蔽した近藤真彦の不倫

    渡邉裕二

  7. 7

    宮迫&中田&手越共演で「TV崩壊」

    かさこ

  8. 8

    コロナ禍で缶コーヒー離れが加速

    文春オンライン

  9. 9

    政府の問題先送り まるで戦時中

    猪野 亨

  10. 10

    欧州の学者 日本と差は「民度」

    WEDGE Infinity

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。