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トランプにはわからない「米国人はなぜ古臭い郵便投票をやめないのか?」

ワシントン州シアトルの郵便投票ボックス(写真:AFP/アフロ)

 史上例を見ないほどの泥仕合が繰り広げられている米大統領選は、開票が進むにつれて、トランプ大統領の敗北が色濃くなっている。トランプ陣営は、票数が拮抗するもののバイデン候補がリードする4州(ネバダ、アリゾナ、ペンシルベニア、ジョージア)の最高裁判所に集計停止を求めている。共和党の一部からも批判があがっているものの、トランプ陣営は引き続き、連邦裁判所へ提訴する姿勢を崩していない。

 「目下のところ、トランプ陣営が標的にしているのが、郵便投票の正当性です。今回の大統領選挙で郵便投票が爆発的に増加したのは、新型コロナの感染対策としてバイデン氏が支持者に推奨したためですが、それをトランプ氏はバイデン氏がなんらかの不正を仕掛けるために郵便投票を推奨したと主張しているのです」(現地特派員)

 郵便投票は、有権者が選挙管理委員会に届け出て郵便投票用紙を取得し、その投票用紙に記入して返送するシステム。しかし本人確認は、選管の集計担当者が届け出時の署名と投票用紙の署名とを照合するだけという、アナログなものだ。

 トランプでなくても、不正投票を疑う余地はありそうだが、それでも投票方法として残っているのは、米国人にとって郵便は絶対的な存在であり、さらには建国の精神にも依拠するものだからだという。元東京新聞ニューヨーク支局長で、米国社会の取材を続けるジャーナリストの北丸雄二氏がこう解説する。

 「社会崩壊後の米国を描いたSF映画『ポストマン』の主人公は、『郵便があるかぎりステイツ(合衆国)は存在する』と人々を励まします。開拓時代には、隣家と何十キロも離れて暮らすような生活もあったわけで、米国民にとって郵便は国家の存在を確認できる重要な社会インフラでした。つまり、開拓時代の困難を乗り切った精神性が背景にあるので、郵便に対する米国民の信頼感は他国民には理解できないほど高いのです。今でもクリスマスのグリーティングカードは郵便でやり取りしています」

 こう聞けば、郵便投票の正当性にケチをつけ、開票を止めるよう主張するトランプ氏の主張に、有権者から猛烈な反発が起きている理由も腑に落ちる。大都会ニューヨーク生まれのトランプ大統領は、開拓者精神に今でも重きを置く米国民の心情を見誤ったのかもしれない。

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