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大塚家具の「家具屋姫」久美子社長辞任に学ぶ、経営者がやってはいけない3つのこと

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5期連続赤字で問われる久美子社長の経営手腕

大塚家具の大塚久美子社長が12月1日付で辞任との報道がありました。

同社発表では「来期の黒字化に道筋がつきつつあることから、これまでの経営悪化の責任を明確化するため久美子社長より辞任の申し出があった」としていますが、21年4月決算で5期連続の赤字を見込んでおり、「辞任」は久美子社長に忖度した表現であり実質「解任」との見方が正しいように思われます。

経営のプロであるハズの企業コンサルタントを経て大塚家具の社長に就任した久美子社長のどこに誤りがあったのか、「失敗のマネジメント」を検証します。

BLOGOS編集部

久美子社長は2015年に、創業者で実父の大塚勝久氏との経営方針の相違から経営権を巡ってプロキシーファイト(委任状争奪戦)を展開し、これに勝利して父に代わって社長に就任。

しかしその後は、16年から4期連続で赤字を計上するなど業績的苦戦が続き、資金繰り難から一時期は中国資本からの支援を模索するなどの紆余曲折も経て、昨年末に家電量販最大手のヤマダ電機傘下に入ることで新たな再建の道を模索してきました。

今期の赤字原因はコロナ禍という経営環境もありはするものの、同業のニトリが絶好調である以上、5期連続の赤字は久美子社長の経営手腕を問われてしかるべき状況にあると言えるでしょう。

父・勝久氏がゼロから生み出した”祖業”軽視が凋落の発端

久美子社長の経営者としての失敗は、大きく3点に集約されると考えます。ひとつ目は、諸々の企業のマネジメントでも常々申し上げている「祖業の軽視」です。

祖業とは、企業の成長過程においてその基礎を作ったビジネスモデルのことです。創業者が成長を引っ張ってきたのであれば、彼の基本ビジネスモデルこそが祖業であり、それに支えられて業績も顧客も取引先も拡大をしてきたわけです。

企業が成長の踊り場に立った時や業績が下降線に陥った時などは、ややもすると過去の成長モデルを否定して全く新しいビジネスモデルに移ることが最善の策であるかのように思いがちですが、実は祖業のある企業においては祖業を踏まえてこそ、新たなビジネスにひと工夫や差別化が生まれることにもなるのです。

創業者である父・勝久氏は、桐箪笥職人であった父の工房で家具屋をゼロからスタートさせ、会員登録制高級家具のマンツーマン販売方式という独自のビジネスモデルで、東証一部上場を果たし、最高営業利益で70億円超を記録(2001年)するに至らしめた立志伝中の人物です。

大塚家具の成功はひとえに勝久氏のオリジナル・ビジネスモデルがなし得たものに相違なく、会員登録制高級家具のマンツーマン販売方式こそが同社の祖業に相違ないのです。

大塚家具凋落の発端となった勝久氏と久美子社長の「親子喧嘩」の原因は、久美子社長による勝久氏の祖業ビジネスモデルの全否定にありました。

共同通信社

「もはや高級家具は売れない」「会員登録制・マンツーマン販売は時代遅れ」「今は家具販売も、リーズナブルな家具を自分で自由に選ぶ時代」と、明らかにニトリやイケアの後追い戦略を指向するかのような発言を繰り返し祖業を疎かにしたばかりか、創業者を追い出すという暴挙に至ったのです。

私はプロキシーファイトの時点から申し上げてきましたが、成功者である創業のビジネスモデルから自社の強みを抽出し、その上で新たな戦略を共に考える、父と娘の協業があれば会社の復活ならびに会社が人手に渡るようなことにはならなかっただろうと残念に思っています。

株主総会への「親子喧嘩」持ち込みにみるリスク管理力の欠如

ふたつ目の失敗は、「レピュテーション・リスクの軽視」です。レピュテーション・リスクとは、評判(レピュテーション)が悪化する危険(リスク)のことです。

特に消費者向けビジネスを扱う企業では、悪い評判が立つことで買い控えや不買運動などその企業を敬遠する動きと直結することになり最悪は倒産にまで追い込まれることもあります。

その意味では、あらゆるリスクの中でも最も注意が必要なリスクのひとつではありますが、注意を払うことである程度予防できるリスクでもあります。ネットでの情報発信が盛んになっている現代においては、些細な悪評でも一気に広まることもあり企業行動には細心の注意を払う必要があります。

久美子社長は父との経営権争いを、株主提案によるプロキシーファイトを仕掛け、株主総会という開かれた場にまで持ち込んでしまったことで、テレビのワイドショーまでもがこぞって取り上げるなど、奇異の目で世間の大注目を集める最悪の流れになってしまいました。

こうなってしまうと、どちらが勝とうが「公の場で社長の座を奪い合うダメ親子」の烙印は確定です。しかも家具は、結婚、新居移転、事務所開設などお祝い事との関係も深く、当然大塚家具のブランドイメージ棄損は商売への大きな影響を及ぼしたといえます。

このような「親子喧嘩」を株主総会に持ち込むことのリスクに久美子社長は気が付かなかったとすれば、経営者としてのリスク感覚に著しく欠けていたということ以外にありません。

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