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HTML5は日本企業を復活させるか?

■HTML5は日本企業を復活させるか?

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 小林雅一さん著「日本企業復活へのHTML5戦略」を読みました。  HTML5でウェブがアプリを提供するプラットフォームになる展望を概説した好著です。   ぼくがラジオ番組This is ITで小林雅一さんと対談したときも主要な話題はHTML5でした。以下、乱暴に要約しつつコメントを加えます。   http://bit.ly/OccXA5

●GREE,DeNAら日本ネット業界の雄が世界市場に打って出ているのは、スマホなどモバイルビジネスがグローバル志向だから。  →これに対し出版などは黒船来港とみて身構えます。チャンスとみるかピンチとみるかで展望は変わります。

●世界企業がHTML5をサポートするのはマルチ・デバイスとプラットフォーム戦略の2点。  →特に後者、アップストアとグーグルプレイを回避する意図が強いですね。

●アップルは意に反しソフト開発業者の要請を受けアップストアを開設し、大成功した。  →現在のビジネスモデルは意図したものではなく結果論ということ。プラットフォーム戦略を過大評価する必要もないということでしょう。

●アップルはアドビのフラッシュを排斥するためHTML5をサポートした。しかしHTML5によりアップストアが回避され、自らの領土を奪われる公算。  →フィナンシャルタイムズはアップストアからアプリを引き揚げHTML5のウェブアプリに切り替えました。もはや兆候アリということでしょうか。

●グーグルにとってHTML5はMSからIT業界の覇権を奪う武器だった。  →OSからウェブへのパラダイムシフトのエンジンにHTML5を位置づけたわけです。ところがその武器が今度は自らに襲いかかる・・・

●一方、PCからモバイルへのパラダイム転換により、グーグルにとってアップルが新たな敵となり、グーグル内はアンドロイド囲い込み派とHTML5派に分裂気味。  →コンテンツ/アプリ事業者が囲い込み回避に動けばHTML5オープン路線に傾かざるを得ないのでは。

●フェイスブックはユーザの目にアプリが留まりにくい、課金システム-マネタイジングというHTML5の課題を解決するアプリ市場を提供する計画という。  →でも、フェイスブックがその覇権を握るとは思えません。プラットフォームの群雄割拠を期待します。日本企業にも十分チャンスがあるでしょう。

●HTML5により、アップル、グーグル、MS、フェイスブック、アマゾンらIT列強の力が弱まり、業界の勢力図が均衡に向かう可能性が高い。  →同意。コンテンツやアプリを開発する事業者だけでなく、メーカやキャリアにとってもチャンスがあります。

●日本メーカーの利益率は4%、iPhoneの利益率は60%。日本メーカはハードを売るビジネス。アップル、アマゾンはコンテンツ配信システム=サービスで稼ぐ。  →これはかつて任天堂やソニーがゲームで作ったビジネスモデル。日本メーカが学ばなかったに過ぎません。

●ソニー、シャープともにコンテンツ配信プラットフォーム作りに苦戦。出版社との良好な関係を築こうとした結果。  →日本もアメリカもハード・ソフト一致を目指したものの、読者やユーザの利益を提供者の利益より優先するアメリカのモデルが威力を発揮しているということでしょう。

●アップル、アマゾンはコンテンツプロバイダーの事業モデルを破壊してプラットフォームを構築。  →コンテンツ業界よりもユーザ寄りのビジネスモデルに日本が負けたということであれば、経済厚生上、そのほうがよかったのではないかとも思えます。

●マルチ・デバイス+クラウドサービスという概念はコンテンツの所有から利用へとモデルをシフトさせる。  →コンテンツ業界が売りたいモデルから、ユーザが買いたいモデルへとシフトする。それを先取りできるかどうかがカギを握ります。

●プラットフォームのパイオニアであるiモードはWMLではなくHTMLを採用したのが正解だった。  →これに対し放送がBMLを採用した黒歴史を併せて検証すべきです。

●日本メーカは自社提供コンテンツを他社端末にもオープンに開放する戦略しかない。  →HTML5に乗って米IT企業から集団疎開する以外の選択肢が見えませんね。

●日本メーカはスマートTVのHTML5論議にも消極的だが、W3Cの国際会議に参加しHTMLの仕様作成に強く関与すべき。  →スマートTVもデジタルサイネージも、国際標準化がホットイシューになってきました。しかし、日本メーカ自ら気づかないようでは先行きは暗いかと。地デジの日本方式が南米に採用されても、売られているテレビが韓国製ばかり、という悪夢をスマテレでもサイネージでも再び見せられるのでしょうか。ま、それなら日本ユーザも韓国製を買うだけのことですが。

●HTML5がオフライン機能を強化し、DRMをサポートすれば、EPUBはHTML5以降バージョンに吸収されるのではないか。  →電子書籍に加え、デジタル教科書も標準化論議が活発になってきました。いずれにしろHTML5/EPUBの方向に収斂しそうです。

●HTML5で白物家電がウェブにつながり、M2M(マシンtoマシン)が進む可能性がある。 →あれっ、小林さん、ここは筆が重いですね。10年前に期待が高まったユビキタスがようやく具現化する切り札がHTML5であり、日本メーカが再生するには得意技である白物をつなぐ方向ではないかと以前話したことがありますが、ビジネス的にはまだ絵空事という判断ですかね?あるいはもう次のテーマとして取材を進めてるのかな?

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