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第450回(2020年11月5日)

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1.バフェット指数

米投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる投資家ウォーレン・バフェット(90歳)が重視するバフェット指数が気になります。

バフェットについてはメルマガ421号(2019年5月10日)等でも取り上げましたが、少し再述して本論に入ります。

バフェットは同社の筆頭株主であり、会長兼CEO。1930年、ネブラスカ州オマハ生まれ。1951年から投資家に転身し、今でも27歳の時に約3万ドルで購入した家に住んでいることから「オマハの賢人」との異名もあります。

5歳の時にコーラを転売、11歳で株式投資、13歳で所得税を申告して自転車を経費控除、18歳でピンボールを理容店に置くビジネスを始め、この商権を退役軍人に売却して成功等々、幼少期から数々の逸話の持ち主です。

ハサウェイは19世紀から続く古い綿紡績会社。1965年にバフェットが経営権を取得。1985年に綿紡績業から撤退し、保険や投資ビジネスに転換。今日に至っています。

そのバフェットが参考にしているのがバフェット指数。具体的には「株式市場の時価総額」を「GDP」で除したもの。国単位、及び世界全体の指数を算出できます。

バフェット指数は、株価はGDP(国内総生産)拡大と比例して上昇するという認識がベース。したがって、指数100%超は割高、100%以下は割安と考えます。

そのバフェット指数が高水準になっており、株価の調整局面が近い可能性を示唆しています。米国のみならず、世界各国で同様の傾向が見受けられ、日本も例外ではありません。

因みに、米国では主要株価がコロナ禍による大暴落から回復したものの、GDPは低迷。その結果、米国バフェット指数はパンデミック期間中に過去最高値を更新しました。

バフェット指数算出時の米国株式時価総額はウィルシャー社が公表している「ウィルシャー5000」と呼ばれる指標が使われます。対象取引所はニューヨーク、アメリカン、ナスダックの3つ。

ニューヨークは大・中型株中心、アメリカンは(MKT)は中小型株やオプション中心、ナスダックは新興・IT株に強い取引所です。

米国バフェット指数が高い背景には、米国がイノベーションの最先端を走り、IT企業やPF(プラットフォーマー)が勃興する特異な国家であることも影響していると思います。つまり、米国バフェット指数が高いことにはそれなりの合理的理由もあります。

一方、日本は経済成長も技術革新も停滞気味。そのため、株式時価総額がGDPを上回ることは稀でしたが、アベノミクス後はバフェット指数が100超となり、以後、高止まり。

その状況に米国のような合理的理由があるか否かが重要です。合理的理由がなければ、100超のバフェット指数は割高を意味し、相場反落が懸念されます。

バフェット指数のほかにも参考にすべき指標はあります。10年前のメルマガ213号(2010年4月15日)でご紹介したVIX指数(Volatility Index)。投資家の不安心理を測る指標として珍重されており、別名「恐怖指数(fear index)」。

シカゴオプション取引所(CBOE)がS&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを参考にして算出し、向こう30日間の株価の変動可能性を示します。

市場が平穏な時には10から20程度の水準ですが、リーマンショック直後は80まで上昇しました。

過去の実績から、VIX指数が概ね40を超える局面では市場に株価下落懸念が充満していると見られています。そのVIX指数、コロナ禍で急騰後に反落したものの、以後40前後で高止まりしています。

CBOEには金融市場の歪みを示す「SKEW(スキュー)指数」もあります。VIXやSKEWから目が離せない局面です。

2.官製相場とロビンフッター

日本株のバフェット指数が高いこと、つまり割高な株価には理由があります。日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株購入。すなわち「官製相場」です。

「官製相場」に不安を感じている投資家も多いと思いますが、「官製相場」であるからこそ買いに走っている投資家もいます。

「官製相場」はいつまで株価を支えられるのか、誰もわかりません。

日銀よりもGPIFの投資額の方が大きいものの、GPIFは売りも行っており、投資家としての実態もあります。

問題なのは日銀。今のところ買いのみ。仮に日銀がETF(株式投資信託)買入れを止めたり、売却を始めれば株式市場は大混乱に陥るでしょう。

つまり、売却できないのです。一方、永久に買い続けられるかと言えば、それも定かではありません。しかし、永久に買い続けることになれば、日銀も東京市場も信認を失うでしょう。

今年3月末の株保有額は、GPIF36兆円、日銀31兆円の計67兆円。東証1部(2166社)全体の時価総額の12%を占めます。

大手紙の調査(各社有価証券報告書から試算)によれば、約1830社で公的マネー(日銀及びGPIF)が大株主(保有率5%超)になっています。4年前の調査から倍増です。

公的マネーが10%以上になる企業は約630社、20%以上も28社。最も高いのは半導体大手アドバンテストの29.0%、TDKは26.6%です。

巨額の公的マネーによる買い支えは株価を実体経済と乖離させ、バフェット指数を上昇させています。公的マネーが大株主、安定株主となることで、企業の経営努力、ガバナンスも弛緩させます。

しかも、公的マネーの買いを上手く利用して益出ししているのは、過去5年間で30兆円を売り越している外国人投資家。5年に及ぶ長期トレンドは一過性とは言えず、外国人投資家による日本株見切り売りとも言われています。

メルマガ421号(昨年5月10日号)でお伝えしたとおり、「投資の神様」バフェットも日本株投資に後ろ向きになっています。その理由には「官製相場」も影響しているでしょう。

米国株にも懸念があります。米国株価上昇の主因は金融緩和ですが、最近では個人投資家が株価を押しあげています。

特に若い世代の新規参入が顕著。いわゆる「ロビンフッダー」です。

ロビンフッダーとは、米国ロビンフッド証券が提供する「ロビンフッド」という名のスマホアプリ(証券取引アプリ)で売買する個人投資家を指します。主にミレニアル世代。ロビンフッダーが株高を支えているため「ロビンフッド現象」と呼ばれています。

ロビンフッドは取引手数料0が人気を集め、コロナ禍で在宅時間が増えたデジタルネイティブ世代の若者に浸透。「スマホで簡単取引」「外出できず、娯楽もない」「SNSで投資コミュニティ拡大」等が浸透した理由です。

また、コロナ対策の手厚い失業給付が投資原資化。通常給付に週間600ドル(月2400ドルから3000ドル)が加算されたため、コロナ禍で収入が増えた労働者も多く、ロビンフッターとして株式市場に参入しています。

今年第1四半期に300万口座が新設され、飛躍的に取引が増加。他社にも波及し、海外投資家も口座開設できる取引手数料0のサービスも登場しました。

ロビンフッド証券は顧客口座に滞留する流動性の金利やゴールド口座からの特別使用料で収益をあげています。ゴールド口座は月額6ドルの支払いで1000ドルの融資を受けられるサービス。約166倍の信用取引ができることを意味し、そこには手数料がかかります。

ロビンフッターが株価上昇に寄与しているか否かは両論あります。ゴールドマンサックスはロビンフット及び類似の個人投資家向けアプリを用いた取引を「new retail trader」と表現し、株価上昇に寄与していると判断しています。

一方、英国バークレイズはロビンフッターの動きと株価上昇は無関係と分析。ロビンフッターの運用実績はS&P500指数の上昇率以下であると指摘しています。

ロビンフッターの投資銘柄は公開資料から確認できます。意外にも、上位20銘柄の中にはコロナ禍で業績低迷の自動車・航空銘柄が含まれており、まずは名の知れた大企業銘柄に投資しているようです。

もちろん、そのほかにGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)等のIT銘柄やテスラ等にも投資しています。

ロビンフッター現象をみると、現在の米国株式市場は金融緩和、カネ余りによる典型的な「金融相場」。ロビンフッターの投資失敗や富裕層との格差拡大等の弊害も予想されます。

なお、日本でも取引手数料0の証券会社、アプリが登場。口座開設数が増加し、個人投資家が自動車・航空会社等の大企業銘柄に投資しており、米国の傾向を追随しています。

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