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一億総監視時代!官邸のテレビ番組監視は問題なのか?

「やっぱりな」あるいは「当然だろう」とでも思うのか…。

内閣広報室がNHKを含む在京民放テレビ局のニュースやワイドショーなどの情報系番組をチェックしていたことが大きな波紋を広げている。

これは、先月末の「しんぶん赤旗」や「NEWSポストセブン」などが報じたものだが、首相官邸は毎日のニュースやワイドショーを常にチェックしていて、キャスターやコメンテーターなど出演者の発言を事細かく書き起こし「記録文書」にしていると言うのである。

これについて赤旗では、「テレビでの発言を官邸が日常的に監視し、政権の意に沿わない報道に対抗措置を取る狙いがうかがえる」と懐疑的に報じている。

その常時監視対象となっている番組だが、まず平日の番組は、
「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)
「とくダネ!」(フジテレビ)
「スッキリ」(日本テレビ)
「ひるおび!」(TBS)
「ミヤネ屋」(読売テレビ/日本テレビ)
「報道ステーション」(テレビ朝日)
「NEWS23」(TBS)

さらに土、日曜の番組では、
「ウェークアップ!ぷらす」(読売テレビ/日本テレビ)
「サンデーモーニング」(TBS)
「日曜討論」(NHK総合)
「サンデーステーション」(テレビ朝日)
の地上波放送11番組。

こうして見ると、さもありなんな番組ばかりだが、その一方で、「何でこの番組があって、この番組はないの?」と思えるような部分もある。

監視されないほうが制作スタッフはショック?

Pixabay

例えば朝のワイドショーでも「グッとラック!」(TBS)や、何かと物議を醸すことが御家芸となっている昼の「バイキング」(フジテレビ)は含まれていない。さらに「ニュース」と謳っていながらも、有働由美子キャスターの「news zero」(日本テレビ)は外れている。

「『報道ステーション』や『NEWS23』、『サンデーモーニング』と言った番組は、政権に批判的な番組として、何も官邸に限らずチェックしている人は多いので、冷静に考えたら目くじらを立てることでもないと思います。

『グッとラック!』や『バイキング』が入っていないことについては、落語家の立川志らくやタレントの坂上忍が司会で、コメンテーターもタレントや役者が多く、情報番組というよりバラエティー番組だからという見方もあります。結局は視聴率的に影響力がないとか、単に物議を醸すだけの番組とでも思われているのでしょう。

ただ、黒川弘務検事長の辞職もそうでしたが、今の時代、タレントの影響力は大きいですけどね。監視番組の中に与野党の国会議員がバランスよく出演している『日曜討論』まで入っていたのには驚きました」(週刊誌記者)

しかしその一方では、

「ワイドショーなどの制作スタッフは視聴者ばかりでなく、政権や官邸も気にしているはずです。反応がなければスタッフも出演者もモチベーションが上がらないですからね。

例えば新型コロナの感染拡大の時など、『モーニングショー』は明らかに見られていることを前提に発言しているのがミエミエでしたからね。『モーニングショー』に限らず、政権批判のスタンスで番組を続けている『サンデーモーニング』などはコメンテーターのテンションも上がるので、官邸にとってはチェックの要になるのだと思います。

そう言った意味だと、『グッとラック!』や『バイキング』の制作スタッフには、監視対象から外されていたことが逆にショックだったと思いますけどね。さらに言うなら『news zero』は、視聴率が高くても官邸からは『毒にも薬にもならないニュース番組』との烙印を押されたとも思われかねません」(放送関係者)

などと言う意見もあった。

特定の出演者の発言をチェックか

その官邸の監視内容だが、赤旗によると「報道番組の概要」と「新型コロナウイルス関連報道」だったそうで、記録文書はA4判で700枚にも及ぶものだったと言う。

監視期間は安倍晋三前総理が「一斉休校」(2月29日)を要請した直後の3月1日から16日までとしている。「番組概要」の記載については、分刻みの放送時間やニュースの見出し、出演者の発言で、

「テープ起こしをしたと思われるほど詳細に記録されている」
「VTRのナレーションやアナウンサーの発言も含め、徹底した監視ぶり」

と報じている。

しかし、放送を監視するのは何も特別なことではないと言うのは前出の放送関係者だ。

「政府や政権に限らず、野党にしても共産党を含め番組チェックはしていると思いますよ。ただ、安倍政権は森友・加計問題や後の桜を見る会でもそうでしたが、書類を改竄したり破棄したり、ご都合主義的にやりたい放題でしたから、今回の報道監視が悪いように言われてしまうのです。

これで少なくとも安倍政権が新型コロナウイルス感染対策にナーバスになっていたことだけは理解出来ますね。ワイドショーによっては視聴率さえ取れればいいと、やや無責任な報道も目立ったことは確かですから、チェックされたとしても不思議ではありません」(前出の放送関係者)

結局、番組をチェックして上がってきた資料を官邸が何に、どのように使おうとしていたのかが大きな問題なのだが、一方で今回のチェックには不可思議な点も目立ったとスポーツ紙の放送担当記者は言う。

「キャスターやコメンテーターの発言内容です。発言内容を見ると実に事細かく記されているのですが、例えば『モーニングショー』の場合は、社員コメンテーターの玉川徹氏やジャーナリストの青木理氏、さらには白鴎大学の岡田晴恵教授の発言については詳細に報告されているにもかかわらず、長嶋一茂や石原良純についてはなぜか甘い。

やはり父親が石原慎太郎元都知事や長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督の上級国民は対象外ということでしょうか。それに『NEWS23』でも、コメンテーターの星浩氏が対象になっていたものの、政権には比較的に厳しい見方をしているキャスターの小川彩佳についてはスルーです。小川の場合は意外と政界にファンが多そうですからね。出演者のチェックについては当初から対象者を決めていたと言われても仕方ないかもしれません」

政府からの圧力を跳ね返さないメディアに問題

AP

しかし、安倍政権は過去に「気に入らないキャスターを降板させたことがあった」(放送ライター)とも言われている。

「報道ステーション」の古舘伊知郎もその一人だったようだが、2015年にNHKの「クローズアップ現代+」を降板した国谷裕子キャスターは「官邸の意向だった」(前出の放送ライター)とか。

最近では、監視下にあった「サンデーステーション」の長野智子キャスターの降板の裏にも「官邸の意向があったようだ」と言われている。「長野キャスターは古舘の事務所だから狙われた」との見方もあるが果たして…。

ただ、いくら裏で「官邸の意向」があったとしても、テレビ局が毅然とした態度を取ればいいだけの話だ。ところがなぜか「監視」という言葉にメディアは弱く、騒動に発展することが多い。

だいたい、今の時代は今回の対象に挙げられた番組に限らず、出演者の発言は連日、ネットニュースで取り上げられている。と言うより、取り上げられることを前提に発言していることのほうが多い。これも厳密に言ったら「監視」だろう。そう考えたら、もはや「一億総監視時代」である。

結局のところ、今回の赤旗の監視報道は「官邸」がどうのこうのと言うよりも、監視されていることを前提に「テレビ各局」が今後どうあるべきか問われるべきだろう。

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