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大学新設不認可問題についての雑感

 田中文部科学大臣の3大学の新設認可取り消しが波紋を呼んでいます。

 この問題は二つの点に分けて考えねばならないと私は思います。

 一つは行政プロセスとして大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会の答申を大臣が覆したという点をどう説明するのかという点、そしてもう一つは、そもそも今のタイミングで新設を行っていくのが果たして妥当かという問題です。

 (前者は野党が国会で追及するようですのでここでは特に触れませんが、)とくに後者の問題は、政治・行政が真剣に取り組んでいくべき議論ですので、今回のプロセス論でうやむやにされるべき問題ではありません。大臣の資質云々とは別に議論されねばなりません。

 最近、大学生の年齢に相当する人口が減少しているにもかかわらず、大学生の数、そして大学の数は増加トレンドが続いています。明らかに、大学の数が多すぎる。本来であれば、すでにある大学の統合や廃止も含めた抜本改革に取り組まねばならない状況にあります。

 このようないびつな運営が行われてきた結果何が起こるか。それはとりもなおさず大学の質、大学生のレベルの低下です。そして、大学が多すぎるがゆえに定員割れの大学が事実上続出しており、それを留学生で補おうとするものの、定員割れするような大学に海外から優秀な学生が来るはずもなく、事実上税金から補助をして全く優秀でない外国人を入学させて大学の体面を取り繕っている、というケースがかなり多くあるのが実情です。

 大学教育は競争力がある人材を輩出するためのものです。選択と集中をきちんと行っていかなければこの厳しいグローバル競争において日本が今後伍していくことはできなくなってしまいます。

 少なくとも義務教育ではない教育機関については、需給のバランス、自由競争のルールをベースにしていかなければならないはずです。アメリカのように大学院までいって初めて一人前の高等教育を受けたと思われるシステムとは異なり、日本はイギリスと並んで大学を卒業すれば高等教育は済んで、大学院は研究を中心に実学以上のものを極めるというシステムだったはずです。そしてそれがわが国のこれまでの競争力を支えてきたわけです。

 国力の根幹は人材であり、人材育成における教育の役割は極めて大きいものです。

 しがらみや利権、固定概念ではなく、真に日本の競争力に役立つ教育システムを再構築していかねばなりません。残された時間は限られています。

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