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コロナ禍で危機に瀕する企業スポーツ 実業団選手、そしてアスリートたちが活動を継続するには…

 選手は遠征費用や練習場所を企業に提供してもらう代わりに、広告塔となって宣伝やイメージアップに貢献するという、実業団スポーツが岐路に立たされている。 コロナ禍によって多くのスポーツ大会が開催中止や延期を余儀なくされる中、企業に頼るアマチュアアスリートたちが苦境に立たされているのだ。

 10月には数々のオリンピアンを輩出してきたエスビー食品陸上部を引き継ぐ「DeNAランニング クラブ」が経営難から今年度いっぱいでの廃止を決定。ネット上には、

 「有名選手は個別にスポンサーを捕まえられるが、並みの選手は企業に所属せずにどうやって生き延びれば良いのか」。
「世界は一度、金メダル取ればそれで人生安泰かもしれないが、日本人アスリートは違う。その後の人生も考えて企業所属は大事」。
「コロナ禍で疲弊する企業と先の見えない日本のアマチュアスポーツの未来はセットなんです。わかってください」。

 など、選手たちからの不安の声が上がっている。

 スポーツライターの酒井政人氏は「プロと違って受け皿が広く人数を抱えられるのが実業団の良いところ。しかし、コロナの影響で経営が悪化した企業が運営する実業団の状態は良くない。DeNAだけでなく、他にも廃部するのではないかという噂も耳にした。このままプロだけになってしまえば、将来的に競技のレベル向上そのものが厳しくなると思う」と危惧する。

■「自分の存在意義って何なんだろうと自問自答した」

 世界の競技人口は16万人ほどだというマイナースポーツだが、2028年のロサンゼルス五輪では正式種目となる可能性もあるという「アルティメット」。円盤状のディスクを相手の陣地までパスで運び得点を競うスポーツだ。

 文化シヤッター株式会社では、そのアルティメットの実業団チーム「バズ・バレッツ」を所有している。選手たちは平日の昼間は同社の社員として働き、夜や休日は猛練習に励む。

 しかし、そのバズ・バレッツにもコロナの影響が。選手の一人、勝田竜馬さんは「今までは土日は練習ができていたし、月に1、2回は遠征にも行けていたが、それも満足にできない状況。ちょうど今年は4年に1度の世界大会がオランダで開催される予定だったが、来年に延期された。国内の大会にも、最後に参加した2月以降、一度も開催されていないし、これから先がどうなるか分からない状況だ。そんな中でモチベーションを維持しながら練習するのは大変だというのが正直なところだ。文化シヤッター、バズ・バレッツの方々に支えられて、今の日本の競技レベルが維持できている。それが無くなってしまえば、日本のレベルはどうなってしまうんだろうと、すごく不安に思う」と話す。

 そして「費用対効果で言えば宣伝効果も高くないし、皆が応援してくれるわけでもない。今のままなら企業にとってのメリットなんてないので、自分の感情を抜きにすれば“切る”というのも選択肢だと思う。ただ、今まではスポーツしてナンボの立場。自分のやりたいことって何なんだろう、自分の存在意義って何なんだろうと自問自答した。この先、1社でチームを支えるのが難しいということになれば、例えば地域の企業や個人の方などに支えていただけるような形態も取れるかもしれない」と苦しい胸の内を明かした。

■「自分はこういう人だと伝えない限り、応援してもらうのも難しい」

 他方、Uber EatsやYouTubeを駆使した独自の取り組みを始めたアスリートもいる。ロンドン五輪フェンシング男子団体で銀メダリストを獲得した三宅諒さんだ。

 「試合に出て結果を残し、契約してくださった企業名を売る、というのが分かりやすいアスリート像だが、オリンピックが延期になってしまった以上、それが難しくなってしまった。商品としての僕が企業に応援していただけるのか、ウィンウィンな関係を築くことができるのか、疑問を抱いてしまった」。三宅さんは東京オリンピック延期を受けスポンサーからの支援を断り、Uber EatsとYouTubeチャンネルをスタート。支援者からの寄付と併せて競技を続けることを模索している。

 「コロナとオリンピック延期を機に、自分を見つめ直した。自分は一体何者なんだろうという、本当にそもそも論から始まったので当時はすごく辛かった。今はおかげさまで練習も再開しているが、検温や消毒を徹底し、フェンシングの3種目がいっぺんに集まることがないよう、時間をやりくりしながらなので、以前の通りとは言えない。国内大会では全日本選手権が9月に行われたが、現時点では国際大会は決まっていない」。

 とはいえ、SNSでの“自己プロデュース”には困難さも伴う。それでも酒井氏は「引退後のことも考えながら、デュアルキャリアというか、2つのことをやり、自己プロデュースして競技の魅力を伝えることも非常に大切になってくると思う」と指摘。

 三宅さんも「できる人はやった方がいいのではないか思うが、体感的にはスポーツ界も元の生活に戻りつつあるので、声を上げることはあまり良くないのではないか、という風潮も出てきているし、“そのスポーツ選手はそのスポーツだけやってろ”という声が大きくなってきてる気もしている。ただ、僕としてはUber Eatsを始めたことでメディアに取り上げていただくこともできた。金銭的なものよりも、目標に向かっているという充実感、達成感もあった。

コロナ禍で打撃を被る中、YouTubeやSNSにトレーニング方法をアップしているアスリートたちもいる。やはり自分はこういう人だと伝えない限り、応援してもらうのも難しい。スポンサーが付かなくなれば、自分でお金を作らなければならない。突き詰めていけば、自分でお金を生み出したり、投資することがうまかったりするアスリートが息の長いアスリートということになるのかもしれない」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:"実業団の存続危機" 企業に頼らず選手が生き残る術は?

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