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大学はどこへ行く

このブログでも、数回にわたって大学冬の時代について、2年前に刊行した「消滅か復権か 新潟県12の課題」で書いた原稿などを紹介し、大学が置かれている状況などを論じてきた。

教育の在り方、特に大学教育を巡っては、様々な見方がある。私学の乱立ともいえるような状況や18歳人口が長期的に減少する中で、大学を巡る問題事例が数多く表面化し、大学に対する風当たりは特に厳しくなっている。

留学生の水増しによる不適正な大学運営や相次ぐ不祥事によって閉鎖を余儀なくされた創造学園大学の事例が報じられ、「増えすぎた」私立大学の新設を疑問視する声は少なくない。

このような背景もあってのことか、ネット上では、思いのほか、田中大臣の今回の行為を評価する声が多いようではある。

私自身は、大学の新設についてどう対応するかと、今回の3校の認可は分けて考えるべきという意見を持っているが、ここでは、いくつかの点を指摘することとしたい。

・私大の増加は、規制緩和(90年代前半および小泉政権下)によって、新設のハードルが下がったことによるところが大きいこと。

・すでに大学の閉鎖は10校以上、統合も慶応と共立薬科などいくつも見られること。

・私大にも国からの助成があるが、総額でも国立の3割程度に過ぎないこと。

 そもそも民主党として大学教育や大学の新設についてどのようなスタンスをとっているのか、見えてこないのは問題だろう。新規参入の抑制がかえって、統廃合の促進を抑えてしまうのではという見方もできるだろう。そして、今回の問題で、私自身が一番違和感を持ったのが、なぜ11月になって翌年度開校の大学の認可が行われてるのかということだった。

 これは、今年に限った話ではないようだ。厳密に解せば、認可が下りてから建物や教員の具体的な算段を行っていくということが筋ではないだろうか。そもそも、高校生のことを考えれば、11月は推薦入試の季節である。夏休みにはオープンキャンパスが開催され、どこの大学を受けようか、あれこれと考えるのが一般的である。

 実態を考えれば、少なくとも前年の春には認可をするというのが、あるべき姿ではないだろうか。もちろん、認可後に教員が集まらないなどの問題が生じれば、開校を遅らせる権限を国が行使できるようにするのも一つのアイデアだろう。

 今回の騒動は、問題提起をしたという意味で評価をすることが出来るのかもしれないが、提起以上に、受験生など(特に編入を考えている短大2年生)に実害を与えているということを考えると、問題点のほうがはるかに大きいのではないだろうか。

 今回の出来事で、最初に頭に浮かんだのが八ッ場ダムの混乱であった。田中大臣の今回の振る舞いは、政治主導というよりは政治家主導というべきではないだろうか。

これでは法治国家ではなく人治国家となってしまうのではないだろうか。

 いずれにしても、今回のことを契機として、大学関係者(特にわたくしも含めて国立大学の関係者も)は、大学の果たすべき使命や教育、研究の在り方について改めて真剣に議論をすべきではないだろうか。

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