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攻撃的な言動は両陣営に…アメリカ大統領選挙後に暴動、さらなる“分断”の懸念



 「バイデン氏は9歳でペンシルべニアを離れた。石のように冷たい偽善者で、大統領になる資質を備えていない」「トランプ氏は負け犬だ」。開票を前にした最後の訴えでも、相手を激しく批判した両大統領候補。

 バイデン氏の優勢が伝えられる中、選挙後にはさらなる“分断”や過激な行動も懸念され、街では暴動や略奪から守るため、ショーウィンドウなどを木の板でふさぐ店が現れたり、護身用の銃の売上が増加したりするなど、アメリカ国内には不穏な気配が漂っている。



 その火種の原因の一つになりそうなのが、郵便投票の問題だ。大統領選では事前に郵送で投票を済ませることができ、今回は新型コロナウイルスの感染防止のため、郵便投票の利用率が大幅に増えている。主な激戦州ではバイデン氏が43%、トランプ氏34%を獲得するとの報道もあること、ペンシルベニア州の場合、3日午後8時までの消印が有効となっており、6日の午後5時までに到着すれば有効となっていることから、トランプ大統領は制度自体を疑問視。法廷闘争に発展する可能性もあるようだ。

 1カ月にわたり全米14都市を取材してきたジャーナリストの村山祐介氏は「負けた方が勝った方に電話をし、勝利宣言が出されるというのが暗黙のルールになっているが、今回トランプ氏はかなり早い段階で独自に勝利宣言を出し、残りの開票を止めたり、無効だと訴えたりするのではないか、との見方も出ている。そうした不安定な情勢が続く中、武器を持った人たちが何らかの軍事行動を起こすとの観測もある。

 トランプ氏自身が“投票を監視せよ”ということを度々言ったりしているので、それなりの人数の人が反応する可能性もある。私の取材中にも、バイデン支持者とトランプ支持者が一触即発のような状態になっていた。どうなるかわからないという不安が社会全体で高まっている」と話す。

 実際、サフォーク大学とUSAトゥデイの合同調査によれば、多くの人が投票日以降に暴動が起きると危惧。FBIによれば、新型コロナ、人種差別抗議デモ、そして選挙後の暴動への不安から、国内では銃の購入が大幅に増加しているという。



 そうした暴動の端緒になりそうなのが、日本でも話題の陰謀論「Qアノン」の信奉者などの言動だ。慶應義塾大学の渡辺靖教授によると、「Qアノン」とは、米国の機密情報を知る当局者を自称、「トランプ氏こそ“闇の国家”と戦う救世主」「ロシア疑惑の真の捜査対象はオバマ前大統領」といった陰謀論をインターネット上で展開する“Q”を礼賛する一派だという。

 村山氏の取材に対し、「Qアノン」信奉者の一人は「大手メディア6社が午前4時の打ち合わせで“今日流すニュースはこれ”と話し合っている。私たちから報道の自由を奪ったのはメディアだ。トランプ大統領をメディアの敵のように扱うが、大統領こそ真のジャーナリズム、真実、真実を求めている」と主張している。

 「トランプ氏そのものに、ワシントンの政治のアウトサイダーが権力を持っている人たちに対して戦いを挑んでいるというメッセージがあるし、議会の抵抗を引き受けていくんだという、“リアリティショー”的な政治の要素があった。そのトランプ氏の敵こそ、政府の中にある政府“ディープ・ステート”だというのが、Qアノンのシナリオにぴったり沿ってもいる。

 トランプ氏もこの5年間ぐらい、集会などで必ずCNNをフェイクニュースだと名指しし、そこに支持者が呼応するということが定番になっているが、やはり根底にはメディアへの強い不信感があると感じている。私の取材でも、“メディアは一切信用しない、見ない。自分に入ってくるのはQアノン系の話にばかりだ”ということで、どんどん純化してしまう流れが起きていると思う」。

 また、民間武装組織「ミリシア」や白人至上主義団体「プラウド・ボーイズ」など、極右勢力の存在も懸念されている。

 村山氏は「今回の取材で一番心配だったのが、トランプ支持者もバイデン支持者も、相手に攻撃的な言葉を投げかける一方、自分たちが攻撃を受けているという被害者意識的なもの抱いていることだった。だから、これを”一つの世界“に戻していくことへの期待感は高いと思う。

 特にバイデン氏の公約には“巻き戻す”ということが書いてある。ただ、今のアメリカ社会は大きな手術には耐えられないと感じている。冷却期間を置いて、体力を回復した後、“私への支持者とトランプへの支持者ではなくて、アメリカの大統領になる”ということを体現できるのかどうかだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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