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物価目標への戦略、改めて総合検討必要との意見=9月日銀議事要旨


[東京 4日 ロイター] - 日銀が9月16―17日に開いた金融政策決定会合で、1人の委員から物価目標達成への道筋が見えなくなっているとして、物価目標に向けた戦略について改めて総合的に検討することが必要ではないかといった意見が出ていたことが明らかになった。日銀が4日、決定会合の議事要旨を公表した。一方、ある委員は、コロナ対応の3本柱で金融緩和を続けることが「経済の下支えを通じて物価目標の実現につながる」と述べていた。

物価の先行きについて委員は、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は当面、感染症や原油価格下落などの影響でマイナスで推移するとみられるものの、景気が改善していくもとでプラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくとの見方を共有した。

ただ、ある委員は需給ギャップや予想物価上昇率が物価の下押し圧力として作用する中、「予測可能な将来に、消費者物価の前年比が勢いをもって2%に近接していく姿を見通すことは引き続き困難だ」と述べた。

2%の「物価安定の目標」を堅持することが必要だが「金融緩和の長期化が見込まれる中、副作用への対応も含め、政策の持続性を確保していくことが重要だ」(ある委員)との意見も出ていた。

<当面、政策効果を見極めとの声>

日銀は決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の現状維持を賛成多数で決定。民間部門の資金繰り支援や上場株式投信(ETF)の積極購入など一連のコロナ対応についても継続を決めた。[nL4N2GE0W4]

会合では、大方の委員が一連のコロナ対応が所期の効果を発揮しているとして「引き続き、3つの柱で企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが適当」との認識を共有した。1人の委員は「当面の金融政策の優先課題は企業の資金繰り支援と雇用の維持に努めることだ」と述べた。ある委員は、失業や倒産の急速な増加が回避され、企業の資金繰り対応も進んでいるとみられるとして「当面は政策効果を見極めていくことが適切だ」と指摘した。

委員は当面は感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じるとの認識で一致。ある委員は、今後の回復が遅れる場合には「企業の信用コストの上昇と金融仲介機能の低下を招き、これが倒産の増加や雇用情勢の悪化につながる可能性がある」と指摘。必要と判断される場合には、躊躇なく政策対応を行うことが重要だと強調した。

<個人消費、見方は交錯>

決定会合後の声明では、国内経済の現状判断を「引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで持ち直しつつある」とし、7月展望リポートで「極めて厳しい状態にある」としていた表現から前進させた。

会合では、個人消費について「特別定額給付金の支給にも支えられ最悪期を脱した」(1人の委員)との見方が出る一方、何人かの委員は、感染症の影響が残るもとで、特にサービス消費の持ち直しのペースは緩慢だとの認識を示した。

<菅新政権発足>

9月の金融政策決定会合は菅義偉内閣の発足時期と重なった。何人かの委員が「政府とは引き続き、それぞれの役割を踏まえてしっかりと連携していくことが必要だ」との認識を示した。ある委員は、政府と日銀の連携・協調は経済危機の際に効果的だと指摘。これまでの金融政策運営の成果と教訓を踏まえ「ウィズ・コロナ時代の金融政策のあり方について検討を深めるべきだ」と述べた。

決定会合では、成長戦略や構造改革の重要性についても議論が行われた。ある委員は「金融機関の目利き力や市場メカニズム等を通じて企業の成長を促し、潜在成長率を高めていく視点が重要だ」と述べた。もう1人の委員は「(感染症の抑制と経済活動を両立させる)ウィズ・コロナの視点から、デジタル化や非正規雇用の脆弱性の是正といった構造問題に、金融政策としてどのように貢献しうるか、議論していく必要性が生じる」とした。

米連邦準備理事会(FRB)が打ち出した平均インフレ目標について、複数の委員は、日銀がオーバーシュート型コミットメントを採用し、従来からインフレ率が景気の変動などをならしてみて平均的に2%となることを目指していることに触れ、「日銀のこれまでの政策運営の考え方と軌を一にしたものだ」と指摘した。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:内田慎一)

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