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「不動産への眼力は天才的」ニトリ会長“お値段以上”で島忠買収に動いた理由 - 森岡 英樹

 家具最大手「ニトリホールディングス」が、ホームセンター業界7位「島忠」の買収に動いている。島忠を巡っては、ホームセンター業界2位の「DCMホールディングス」が友好的TOBを実施中で、そこにニトリが敵対的TOBで割って入る形だ。

【画像】似鳥昭雄社長と百百代夫人

「DCMが当初、島忠に提示した価格は1株3800円。あまりに低いと折り合えず、最終的には4200円で決着した」(投資ファンド幹部)という。それでも買収総額は1600億円規模に留まり、島忠の純資産約1800億円を下回る。DCMにとって「負ののれんが200億円も発生するお買い得な案件」(同前)だ。

 この割安な買収価格に目を付けたのが、ニトリの似鳥昭雄会長(76)だった。


株価予想の的確さでも知られる似鳥会長 ©文藝春秋

「似鳥氏が着目したのは島忠の持つ優良不動産。島忠の店舗は東京、神奈川、大阪など大都市圏が9割を占め、都心の店舗網拡大を狙うニトリにとっては魅力的です。しかも島忠は、自己資本比率が80%近く、手元資金も約200億円と財務体質も優れている。ニトリは、4200円を大きく上回る買収価格を提示すると見られます」(同前)

 似鳥氏と言えば、北海道の小さな家具屋を、日本を代表する企業にのし上げた立志伝中の人物。担当者だった信託銀行OBが明かす。

「不動産への眼力は天才的」

「北海道から出て全国展開する際の似鳥さんの市場分析力、とりわけ不動産への眼力は天才的でした。06年にニトリが赤羽に東京本部を開設した際、私は土地の仲介を手掛けましたが、似鳥氏から『是非ここに建てたい』と指定された。赤羽の将来性を見据えていたのでしょう」

 17年9月に東芝会館を買収したのも、東芝の経営危機を好機とみた“底値買い”だった。土地だけで30億円超とされる豪華施設。名前を「志高荘」と改め、調度類も似鳥氏の趣味に合わせて一新したという。

「政財界の知人らを接待する迎賓館として使っています。若い頃、スナックの取り立て屋を経験した似鳥氏は大のカラオケ好き。豪勢なカラオケセットが設置されており、抜群の美声で歌を披露してくれる。『ススキノ浪漫』というCDも出しています」(財界幹部)

 地元・北海道愛も深い似鳥氏。札幌では中小企業経営者の会合にもまめに顔を出すなど、若手経営者の育成に力を入れている。

「実はDCMのルーツも北海道です。似鳥氏が、創業家出身の石黒靖規社長を知らないはずがない。今回はその2人が1つの会社を争う構図です」(同前)

“お値段以上”のプレミア価格で敵対的TOBに挑む似鳥氏。新たな「お買い物リスト」に島忠が加わるか。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年11月5日号)

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