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海外渡航にはまだまだ厚い壁 - 土方細秩子 (ジャーナリスト)


欠航が目立つ2日の成田空港(筆者撮影)

日本政府は海外からのビジネス客などへの入国制限を一部緩和する、と発表した。しかし空港での検査後、陰性なら二週間の行動制限を外す、と言っても「公共交通機関の利用は控える」よう要請、ではなかなか人が来にくい状態だろう。

筆者は11月2日、米国の大統領選挙投票日に合わせて日本から米国に帰還した。日本はGoToトラベルもあって人出が増え、筆者の住む京都には観光客が戻りつつある。レストランやバーも開いているし、ほぼ通常通りの生活が出来るのがありがたかった。

米国は10月最終週の1週間の感染者が50万人を超えており、まだまだ日常には大きな支障がある。カリフォルニア州は小学校のリモート授業が続いているし、ニューヨーク州でも子供を午前と午後に分けて登校させ、半分はリモート授業で教室内に10人以上の生徒がいないように工夫されているという。

特に一部でレストランの営業などを制限する措置をとっているニューヨーク州は、他州から同州に入る場合に陰性証明の提示もしくは入州後4日後にPCR検査を義務付けるなど、国内の移動にも厳しい対応を行っている。こうした制限はニュージャージー、コネチカットでも行われている。

11月2日現在の米国の感染者数は938万人、うちカリフォルニア州は94万4000人と全体のほぼ1割を占める。しかし死者数を見ると全米23万1000人に対しカリフォルニアは1万7700人で、感染者数の割に重症者や死亡者が少ないと言える。そのためか、カリフォルニア州は特に入州制限などを行っていない。

それでも渡航はそれなりに大変だ。まず、飛行機の本数が少ない。日米の主要航空会社は国際便の本数を減らしており、乗客が少ないためのキャンセルも目立つ。そして値段が非常に高い。羽田ーロサンゼルスの直行便を調べると、10月末から11月にかけて、軒並み片道20万円以上となっていた。

韓国や中国経由ではやや安いものの、非常に時間のかかるフライトが多かった。経由地で10時間近い待ち時間があったり、米国でも直接ロサンゼルスに行かずシアトルなどを経由するため、合計で移動時間が30時間を超えるものも少なくなかった。

厳格対応の台湾

結局台湾経由のエバー航空が台湾での待ち時間2時間、価格も7万円台だったのでそれを選んだが、さすがに世界でもコロナ対策の成功が称賛されている台湾だけに、非常に厳戒な移動となった。


空席が多い機内

まず、エバー航空は座席指定が有料だ。比較的前方の席を予約したのだが、空港で「降りる順番などを考えて、後方の席に変えた」と言われた。トランジットだから先に降ろすので前方の席が良いのでは、と思ったが、とりあえず了承。飛行機に乗ると、後方の席にいるのは日本人で前方は台湾人、とはっきり区別されていた。やはり台湾と比べると日本は感染リスクがまだまだ高い、と考えられているのだろう。

トランジットも係員に案内され、広い待合室に移動となり、そこで目的地への飛行機出発の1時間前まで待機、と言われた。免税店、空港ラウンジ、飲食店へのアクセスは不可、呼び出しがあるまで待合室からは出られない。

面白いと感じたのは喫煙者の多いアジアゆえか、「スモーキング・スケジュール」というのが張り出されており、1時間に1回係員が付き添い喫煙室に移動することが出来る。しかし待合室から出るためにはパスポートと搭乗券を提示し、厳重にチェックされるのだ。そして喫煙が終わるとまた係員が付き添って元の待合室に戻る。

台北からロサンゼルス行きの飛行機はおよそ半分くらいの搭乗率で、筆者は3席がならんだ列に1人だったので快適だった。機内サービスはミニマムだったがこの時期それは仕方ない。客室乗務員はナイロン製の割烹着のようなエプロンを常に着用しており、ゴム手袋とマスクで業務に当たっていた。

緩い対応のLA

しかしロサンゼルス空港に到着すると、前回もそうだったがあまりにも緩い対応に驚かされる。一応米国は海外からの渡航者に対し2週間外出を自粛するよう要請はしているが、タクシーも公共交通も乗れるし、空港での検査はおろか検温すらない。筆者はジャーナリストビザを持っているので「大統領選挙の取材?」と聞かれてイエス、と答えると簡単に通してくれた。

そこからライドサービスを利用して自宅に戻ったが、ドライバーに「コロナで仕事が減った?」と聞くと「むしろ忙しい」と言う。空港利用客は減ったが市内での利用は以前とそれほど変わらず、コロナを警戒してライドサービスドライバーを辞める人が多かったため、むしろドライバー1人辺りの収入は増えたのだという。ちなみにこのドライバー氏は選挙には全く興味がなく、投票もしていないのだそうだ。選挙ではライドサービスがドライバーを正規社員とすることを義務付ける法案への可否も問われるのだが、それもどうでもいいのだろうか。

ロサンゼルスは選挙後の暴動に備えてビバリーヒルズやマンハッタンビーチなどの高級商店街がバリケードを張るなど、一部はものものしいが全体としては穏やかだ。これまで特に投票妨害などの目立った行動もないという。

まだ気軽に海外旅行は楽しめないだろう。米国の冬の感染拡大も心配だ。選挙後に暴動が起きればまた感染者が激増することも懸念される。しかし取り敢えずの渡航は果たせたし、帰るなり友人からはゴルフの誘いがあったし、自粛しながら以前通りの生活が出来そうだ。

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