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本田由紀さんと雇用・若者環境と自治体に出来ることを考える

「就職って何? part2」区民意見交換会が開催された。本田由紀(東京大学大学院教育研究科教授)さんの問題提起はシャープで、教育と雇用・労働市場の関係を短時間でよく整理されていた。仕事につくのが難しい上に、仕事についても働き方が厳しい。かと言って、仕事につかないと将来はより厳しい生活環境におかれるという現実が若い世代にのしかかっている。

 日本の教育と雇用・労働との接続の薄さも指摘された。高校、大学と学んできたことは、仕事の場でほとんど使っていないというのは、平均的な人々の感覚でもあるだろう。企業側の採用基準の問題もある。あいかわらず、新卒一括採用を続けていながら、採用選考基準の重点的な視点は「コミュニケーション能力」「主体性」「協調性」等を重んじていて、何を学んで身につけてきたかは評価の対象外という企業が多い。

 ひきこもりになるきっかけは何だったかと若者を追った調査で明らかになったのは、意外にも「不登校」「いじめ」等ではなく、「就職活動に失敗した」「職場になじめなかった」が上位にきている。「就職」のプレッシャーが、かくも大きなものになっている。

 以上の本田さんの指摘に対して、私は「どのような職業を選ぶのかを深く考える機会がなく、とりあえず成績上位者の行く高校・大学を目指し、その延長線上で安定した大企業に就職を決めることがゴールとなるような社会が、比較的長く続いてきた。大企業に入社さえしてしまえば、よほどのことがない限り終身雇用の枠からはみ出すこともなくそこそこ生きていける。また中小企業であっても、まじめにコツコツ働いていれば、それなりの生活が出来るという時代は完全に過去のもの。教育の場では、激しく変化する時代や環境に柔軟に対処できる土台となる力を養うことが必要なのに、動いていくべき方向とは逆の画一化・硬直化が進んでいるのなぜだろう」と述べた。

 若い世代を中心に会場から意見や質問も活発に出た。「正社員にならなければ、この社会で生きていけない」と悩み苦しんでいる声も出た。本田さんはワーカーズ・コープや、ワーカーズ・コレクティブの取り組みを紹介してくれた。厳しい雇用環境にある若者世代を地域行政として支援していくために、これから多様な生き方や働き方の情報を提供し、孤立して悩んでいる若い世代にステップとなるような場を提供していくことを急ぎたい。

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