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中国が2035年に先進国並み、あり得ない根拠

日経新聞による《中国、2035年「先進国並みに」 米覇権の揺らぎ示唆》を見て、中国ウオッチを続けてきた者として失笑を禁じえませんでした。経済専門紙としてきちんとした保留意見を付けずに、中国共産党の言い分を第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)コミュニケだからと言って垂れ流しにしては困ります。

何も知らない一般人は信じてしまうではありませんか。中国1人当たりGDPが2019年に1万ドル(約100万円)を超え、コミュニケには数値目標は無いものの2035年にはその2倍以上を目指していると受け止められますが、実現はあり得ません。「中国の公的年金の積立金が2035年に枯渇する」との試算が話題になって久しいです。独裁者習近平に直言できる社会科学者がいなくなったようです。


 2010年の中国国勢調査の世代別人口のグラフを、2035年時点で現役世代と年金受給世代に分けて表示しました。中国の法定退職年齢は男性60歳、女性55歳と世界より低く、政府は引き上げたいのですが国民の大多数は早期退職、引退志向です。

第577回「皇帝・習近平では法定退職年齢引き上げは困難」で指摘したように、独裁者が言い出して懐が痛む庶民の納得を得るのは極めて難しいのです。このままなら2035年には現役世代は6億5000万人程度で、その上に6億人以上の年金受給世代がいることになります。高齢になって死亡する部分が増えるものの、現役世代は別に2億人はいる幼少世代を育てていかなければなりません。

 1月の第624回「14億人中国の暗雲:男女人口大差と年金使い込み」で中国の年金制度がいかに破綻しているか、中国研究者の資料で分析しました。積立金が地方政府によって使い込まれ空になりつつあるのですから、現役世代が拠出する社会プール分をかつかつで年金世代に注ぎ込む状況になりつつあります。中国1人当たりGDPを2倍にするには、今よりも数が大幅減の現役世代が現在の4倍を稼ぎ出さねばならないでしょう。実現できるはずがありません。

 2010年の中国国勢調査については第641回「中国が男女比異常をごまかす国勢調査書き換え」で大きな粉飾、書き換えがあると判明しています。2000年の国勢調査に比べて同一世代の人口に大幅な水増しがあります。若い世代、つまり現役世代ほど水増しがあり実際は千万人単位で少ないと考えられます。第602回「中国の労働人口、今後は1億、2億と減る衝撃」で掲げたグラフも2010国勢調査がベースになっているはずであり修正したいところですが、インターネットで中国の統計データを入手するのがますます難しくなっています。

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