- 2020年11月02日 13:48
大阪「都」構想、僅差で否決 日本維新の会代表政界引退を表明
大阪「都」構想、僅差で否決
日本維新の会代表政界引退を表明
大阪維新の会・日本維新の会の原点である、「大阪都構想」は5年に二度の住民投票の結果、僅差で否決という結果になりました。松井一郎代表は、任期を全うした後の選挙には出馬せず政界を引退すると表明しました。
大阪維新の会は、大阪府と政令指定都市大阪市の二重行政の解消を掲げて、具体的な問題点を指摘し、それを改革しながら勢力を伸長させてきました。大阪府知事選挙、大阪市長選挙、大阪府議会選挙、大阪市議会議員選挙、すべての選挙で勝利し、府知事と市長、議会でも第一党の地位を占めることになりました。
その結果、府と市の意思疎通はスムースになり、両首長の戦略的な連携も一致しました。その結果、二重行政解消が大きく進展することになりました。そのことが、逆に、「制度的な二重行政解消」に進むべきだという住民意思を後退させたのではないかと、思われます。
今後の大阪維新の会・日本維新の会がどのような方向性に進むのかは分かりませんが、このことによって政治勢力を大きく後退させることは、ないと思われます。
さて、私は、議会という別な観点から今回の二重行政解消の住民投票について考えてみたいと思います。私は、かつて「民主党」と「みんなの党」という政党に所属していました。その頃の話です。
現在、国民民主党衆議院議員の前原誠司氏は、かつて民主党の代表だった頃、「政令指定都市選出の県議は必要ない」と発言し、政令指定都市(以下、政令市)選出県議不要論を主張しています。理由として前原氏は、「政令市には都道府県並みの権限が与えられている。権限が市にあるから、政令市の県議には仕事が無い」ため、政令市から選出された県議会議員は不要であると述べていました。
政党では、全国的な会議があると各地の議員と交流します。そうした場で、仙台市区出身の宮城県議会議員、横浜市区出身の神奈川県議会議員の役割について、どんな仕事をするのか聞いたことがあります。そうすると、例えば市民から陳情や要望を受けた時には、実際には、県議会議員が市議会議員に依頼しているというのです。
もともと、県議会議員の仕事は、市民の日常生活からは少し遠い所にあります。市町村を超えた行政課題に対応するのが広域自治体である県の仕事です。しかし、政令指定都市は、県と同様な権限と財政力を持つスーパー「市」です。政令指定都市は、県と同等以上の存在だと思いますが、県議会へも多数の代表を送り出します。こうしたことも、自治体の二重のコストだと思います。
宮城県の人口は230万人、仙台市の人口が108万人で47%を占めています。宮城県議会議員の定数は59人、仙台市選挙区は24人で41%を占めています。つまり、約半数は政令指定都市仙台市から選出されています。しかし、そうした議員は、選挙区の自治体の仕事の大半に関わらないということになります。
ちなみに県議会議員選挙の投票率は34.8%でした。なお、仙台市議会は定数が55人、投票率は36.1%でした。では低投票率は当たり前になって気にもしませんが、最低でも過半数の住民が投票しない選挙は無効とすべきではないでしょうか。3分の1しか投票しない選挙で当選した議員に、正統性があるのかどうか疑問です。代表制民主主義に相応しいい投票率にするためには、郵便投票やネット投票を認めるなど大幅な改善が必要だと思われます。