
嘘をついてお金をとってはいけない、とくにそれが公金ならなおさら、というのは子供でも理解していることで、誰もがうなずく「正しいこと」だろう。ところが、持続化給付金については、なぜか自営業でもフリーランスでもないのに、嘘の確定申告をして給付を受ける人が続出し、人々を困惑させている。給付金を受け取ったものの、それを返還したいがうまくいかない40代派遣社員男性の事情について、ライターの森鷹久氏がレポートする。
【写真】スマートフォンで確定申告できる便利さも給付金不正取得へのハードルを下げた
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「持続化給付金詐欺」に関わったとして検挙される人々が、全国で相次いでいる。名の知れた大学の野球部員から現役の暴力団員まで、実に様々な人々が詐欺を働いていたという事実に驚くしかない。先日、こうした人々の「軽さ」について書いたのだが、記事を見たという数名の男女から、SNSや知人を通じてコンタクトがあった。全員が「持続化給付金詐欺」に関与しており、平たく言えば「逮捕されない為には何をすべきか」という、虫の良い相談が飛んでくるばかり。正直うんざりしていたが、一人気になる人物がいた。