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大阪「都」構想 住民投票 11月1日(日)投開票 その是非は・・・

11/1大阪市廃止・特別区設置住民投票(出所:大阪市)
大阪「都」構想の事実をよく表した名称となっています。

 「日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。

 大阪「都」構想の住民投票が、11月1日(日)投開票となります。大阪「都」構想とは、二重行政の解決を目指して、政令指定都市である大阪市を4つの特別区として分割するもので、大阪維新の会が提唱し、公明党が賛成しています。一方、同構想は住民サービスが低下するとのことで自民党等が反対しているものです。

 各種世論調査によると、賛成が多かったのですが、投開票日が近づについて、反対が増えて、今や賛否が拮抗しているとのことです。

 京都大学レジリエンス実践ユニット(藤井聡工学研究科・教授)が、調査研究報告を公表しています。それによると、「正確に知る市民ほど反対意向が強くなることや、都構想賛成派の市民ほど誤った認識を持っているという実態が明らかにな」ったとのことです。

 http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/resilience/documents/tokoso2020survey.pdf 

 え!大阪市民でない私にとって、これどういうことと興味を持ちましたので以下紹介します。

●基礎知識もないのに「賛成」が2倍も高い・・・

 まず京大のアンケート調査の質問は、以下のような基礎知識を問うています。

①大阪都構想を実施すると、大阪府の呼称が「大阪都」になる。正誤は?

②大阪都構想を実施しても、大阪市は政令指定都市のままである。正誤は?

③大阪都構想を実施しても、大阪市そのものはなくならない。正誤は?

④大阪都構想を実施すると、現在の大阪市は残したまま、その中に4つの特別区が新たに設置される。正誤は?

⑤大阪都構想を実施した後でも、再度住民投票を行えば、元の大阪市に戻すことができる。正誤は?

⑥大阪都構想を実施すると、現在の大阪市の財源(お金)は、新しく設置される特別区にそのまま配分されるので、特別区の予算の総額は元の大阪市とおおよそ変わらない。正誤は?

⑦大阪都構想で新たに設置される特別区は、4つ合わせれば現在の大阪市と同等の権限を持つことになる。正誤は?

 

 以下の正解は、①誤、②誤、③誤、④誤、⑤誤、⑥誤、⑦誤、全て誤りです。

ところが、京大調査によると、「誤った内容」を選択する割合は、一貫して「都」構想「賛成」派のほうが「反対」派よりも2倍も高いというのです。つまり、正確な知識を持たない市民が賛成している実態があり、このまま賛成多数で「都」構想が可決されてしまうと、2025年に大阪市が廃止されて4特別区になってから、あれ話が違うという危険性を示しているというのです。

●二重行政解消の財政削減効果はいくらか・・・賛成派は過大評価

 大阪「都」構想導入の最大の理由は、大阪府と大阪市の二重行政の解決です。京大では、その財政削減効果の具体的な金額を質問しました。

①年1億円未満

②年1億円以上10億円未満

③年10 億円以上100億円未満

④年100 億円以上1000億未満

⑤年1000 億円以上

⑥分からない

 正解は、②です。

 大阪市の委託に基づき嘉悦学園が試算した結果によると、二重行政解消による財政削減効果は、年間 3.9 億円から 6.7 億円とされているとのことです。

 しかし、都構想「賛成」派の市民ほど、「10 億円以上」「100 億円以上」「1000 億円以上」を選択する割合が半数近くと大きく増加し、都構想の効果を過大評価する傾向があることが明らかになったというのです。

 名称や住居表示も変わることになり、その財政負担も大変なものだと思うのですが、それも踏まえた財政削減効果なのでしょうか。

●大阪「都」構想の経済効果は1兆円の理由は・・・最適規模となりインフラ投資加速

 さらに、大阪「都:構想の経済効果が1兆円というニュースがあり、京大はその理由を問う質問をしています。

①.二重行政の解消により、財政の無駄がなくなる

②IRの誘致により、経済が活性化する

③大阪万博の実施により、経済が活性化する

④大阪市を4つに分割することで、最適な自治体規模に近づく

⑤インフラ投資が加速し、経済が活性化する

⑥分からない

 正解は、④と⑤です。

経済効果1兆円とは、大阪市が嘉悦学園に委託して試算したもので、大阪市が分割され自治体の最適規模に近づくためとされていますので、④「大阪市を4つに分割することで、最適な自治体規模に近づく」が正解となりますが、その効果額をインフラ投資に投じることによる域内総生産の増加が最大1 兆1,366 億円とされているため、⑤「インフラ投資が加速し、経済が活性化する」も正解の一種と考えることができるとのことです。

都構想賛成派ほど、公表された経済効果の根拠を誤って「二重行政解消」によるものと認識している傾向があります。

 大阪市が4つの分割された方が、最適規模に近づくというのは、その賛否について議論が分かれるとことです。さらに、インフラ投資ができるかどうかは、分割されたかどうかではなく、経済が活性化して、税収が増えることが大事であり、大阪市の分割論とは関係がないと思わざるを得ません。

 通常は、規模の大きい方が、インフラ投資をしやすくなるわけであり、4分割した方がインフラ投資しやすくなるというのは理解に苦しむところです。年間7億円程度の財政削減効果で、インフラ投資をしても、大したことにはならないと思います。

 大阪市の財源移譲を受けた大阪府が大阪市内によりインフラ投資がしやすくなるという理屈は成り立ちますが、その一方で、大阪市外へのインフラ投資への可能性もあるので、やはり経済活性化ができるかどうかにかかっていると思います。

●大阪市民の判断は・・・

 そもそも政令指定都市とは、大都市制度として導入され、中間自治体である都道府県からほぼ同様の権限を委譲したものです。47の都道府県と20の政令市は、いまや67の中間自治体であると、政治や行政関係者は考えています。

 都道府県と政令市の仲が悪いと言われるのは、同じ地域に同格の地方政府が存在するからです。今回の大阪「都」構想は、この解消を目指したものですが、大阪市以外の大阪府民が歓迎するのは理解できるのですが、権限を奪われる大阪市民が賛成するというのは、理解に苦しむことです。

 政令指定都市と特別区を比較すれば、政令指定都市の方が権限が多いのです。

 今回の京大調査によって、基礎知識がないまま、主唱者の言う「二重行政の解消」という美名を鵜呑みにしている実情が明らかになりました。

 11月1日の住民投票は、大阪市民の方々の賢明な判断を望みたいと思います。

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