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【米大統領選2020】 ドナルド・トランプ氏は世界をどう変えたか

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レベッカ・シールズ、BBCニュース


アメリカの大統領は、ただ単に自分の国を率いるというだけでなく、おそらく地球上で最大の権力者だ。その行動は、地球に住む全員に影響する。ドナルド・トランプ米大統領の行動や振る舞いも同様だ。この4年間でトランプ氏は、世界をどう変えてきたのだろうか。

世界はアメリカをどう見る

トランプ大統領は、アメリカが「世界で最も偉大な国」だと繰り返す。しかし、米ピュー研究所が今年9月に発表した13カ国での世論調査結果によると、外国でのアメリカの評判は決して良くない。

欧州では多くの国で、アメリカへの評価は過去20年来で最低水準だ。イギリスではアメリカに好意的な回答をした人は41%、フランスでは2003年以来最低の31%、ドイツではわずか26%だった。

新型コロナウイルスのパンデミックへのアメリカの対応が、各国の評価に大きく影響している。今年7月~8月の世論調査では、アメリカの対応が優れていたと答えた人はわずか15%だった。

気候変動の対策後退

トランプ氏が気候変動をどう思っているのか、見極めるのは難しい。「金のかかるでたらめ」と呼んだかと思うと、「自分にとってとても大事な」「真面目な話題」だと言ったりもする。はっきりしているのは、就任から6カ月後に、気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年のパリ協定から離脱すると宣言し、科学界を落胆させたことだ。

パリ協定は2015年12月、地球の気温上昇を産業革命前と比較して2度上昇より「かなり低く」抑え、1.5度未満に抑えるための取り組みを推進すると、気候変動枠組条約の締約国が合意したもの。これまでに200カ国近くが批准している。

アメリカは中国に続き、世界で最も大量の温室効果ガスを排出する国だ。もしトランプ氏が再選されれば、地球温暖化は制御不能になるかもしれないと、多くの研究者が警告している。

パリ協定を拒絶した理由としてトランプ氏は、「過度の規制によってアメリカの製造業が廃業に追い込まれ」ていただろうと主張した。石炭、石油、天然ガスなどの製造コストを削減するため、環境対策を目的とした規制を次々を廃止してきたトランプ氏にとって、これは一貫したテーマだ。

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規制緩和にもかかわらず、アメリカでは複数の炭鉱が閉鎖している。安い天然ガスとの価格競争や、再生可能エネルギーを推進する州レベルの取り組みの影響だ。さらに、連邦政府の統計によると、2019年には再生可能エネルギーの発電量が石炭を上回った。これは130年間で初めてのことだった。

アメリカが正式にパリ協定から離脱するのは11月4日。大統領選の翌日だ。トランプ氏と争う野党・民主党の大統領候補、ジョー・バイデン氏は、自分が大統領になればパリ協定に再加入すると宣言している。

アメリカがパリ協定から抜ければドミノ効果のように次々と離脱する国が増えるという懸念もあったが、それは実現しなかった。ただし、トランプ政権の影響で、ブラジルやサウジアラビアが温室効果ガス削減の対策を制限しやすくなったという意見もある。

国境閉鎖(一部に対して)

トランプ氏は就任からわずか1週間余りで、移民規制強化を実行に移した。主にイスラム教徒が多い7カ国からの入国を禁止したのだ。現在では、13カ国が厳しい入国制限の対象になっている。

外国で生まれてアメリカに住む人の数は、バラク・オバマ前大統領の任期が終わった2016年に対して、2019年は3%増えた。しかし、どういう人たちがアメリカに住むようになったのか、その構成が変化している。

メキシコで生まれたアメリカ住民の割合はトランプ政権の間、減少を続けた。その一方で、メキシコ以外の中南米やカリブ海諸国から移住する人数は増えた。

アメリカ永住が可能になる査証(ビザ)の発給は減少した。特に、すでに親族がアメリカに定住している人の永住が以前より難しくなった。

トランプ氏の移民政策を何より象徴するものがあるとするなら、それはもちろん、メキシコとの国境に建てると公約した「大きい、美しい壁」だ。今年の10月19日現在、米税関・国境取締局によると、すでに371マイル(597キロ)の壁の設置が完了している。そのほとんどは、すでにあらかじめ障壁があった場所にフェンスを設置し直した場所だ。

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この壁は、なんとしてもアメリカに入ろうと必死な人たちへの抑止にはなっていない。

アメリカ・メキシコ国境で拘束される移民の数は、2019年に過去12年間で最高になった。同年春に国境への到着が急増したためだ。その過半数は家族で、多くが暴力と貧困に苦しめられているグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルといった国から、亡命と新しい生活を求めて来た人たちだった。

難民に関して言えば、トランプ氏はアメリカが受け入れる難民の数をばっさり削った。アメリカは2016年度には約8万5000人の難民を受け入れてるが、その翌年には5万4000人未満に減っている。

2021年の受け入れ枠は最大1万5000人になる。アメリカの難民受け入れ計画が1980年に始まって以来、最少だ。

「フェイクニュース」の台頭

「自分が思いついたフレーズの中で、『フェイク』が最高だと思う」。トランプ氏は2017年10月のインタビューでこう話した。

「フェイクニュース」という表現を発明したのは、もちろんトランプ氏ではない。しかし、世間に広く浸透させたのはトランプ氏だと言っていいだろう。

データ分析会社「Factba.se」がモニターするソーシャルメディア投稿や録音聞き取りなどによると、2016年12月のツイートで初めて「フェイクニュース」と書いて以来、トランプ氏は約2000回、この表現を使っている(トランプ氏は当時、「自分が大統領になっても『ジ・アプレンティス』に、たとえパートタイムでも関わり続けると、CNNが報道したのは、ばかげているし本当じゃない。フェイクニュース!」とツイートした)。


現時点でグーグルで「fake news」と検索すると、全世界から11億件以上のヒット件数が出る。それを時間の推移と重ねてみると、アメリカからの検索回数が2016~2017年に増え始め、トランプ氏が偽ニュースだと判断した記事のリストを「フェイクニュース賞」として発表した際に、その検索件数はピークに達した。

2016年米大統領選の当時、「フェイクニュース」とは事実と異なる誤った報道を意味した。たとえば、「ローマ教皇がトランプ氏の大統領当選を支持した」などの誤報が「フェイクニュース」と呼ばれた。しかしその後は、より大勢がこの表現を使うようになるにつれて、ただ単に偽情報、誤情報を意味するようになった。

大統領はしばしば、自分が同意しない報道を「フェイクニュース」と呼んで攻撃する。2017年2月にはさらに踏み込み、複数の報道機関を「アメリカ国民の敵」と呼んだ。


「フェイクニュース」という表現は、タイやフィリピン、サウジアラビアにバーレーンと様々な国の首脳も好んで使うようになった。中には、反政府活動家やジャーナリストの抑圧や迫害を正当化するために、「フェイクニュースを拡散した」と追及する政府も出てきた。

信頼できる報道を「フェイクニュース」と批判することで、政治家は民主主義を根本から損なっていると、複数の人権団体は言う。社会に参加する人たちが、基本的な事実はこうだと合意していなくては、民主社会は成り立たないからだ。

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