記事

「分からない=投票しない理由じゃない」 大阪都構想、大学生が若者目線の“教科書”で投票呼びかけ

 5年後の1月1日に現在の大阪市を廃止し、新たな行政組織として4つの特別区を設置。大阪府と特別区で行政の役割分担を行い、効率化しようという「大阪都構想」。その賛否を問う住民投票の投開票が、11月1日と間近に控えている。

【映像】「投票をサポートしたい」大学生を取材

 結党以来、都構想を掲げてきた大阪維新の会。街頭に立った松井代表は「この大阪都構想。府市の二重行政をもう根元から断ち切る。制度を変えましょうと、皆さんに提案しているんです」と、二重行政の解消などを訴えてきた。

 一方、自民党は「住民サービスが低下する」などと大阪市が廃止されるデメリットを訴え、都構想に強く反対。自民党大阪市議団の北野幹事長は「住民が最優先。住民サービスが落ちるなんてことを考えた時には、今回の住民投票はおのずとその判断がノーになるはずである」と主張した。

 2015年にも行われ、今回で2度目となる住民投票。前回の投票では20~24歳の投票率が約43%と年代別で最も低く、若者の関心の低さが大きな課題だった。そんな中、若者へ積極的に投票の呼びかけを行っているのが、「CHOICE OF OSAKA」と題して発信をしているこのサイト。都構想のポイントをまとめた「住民投票の教科書」を作り、SNSで拡散。若者に寄り添った投票の呼びかけを行っている。

 仕掛け人は、関西に住む大学生およそ10人。30歳以下の生活に関連した項目や素朴な疑問など、難しい専門用語を避け身近なトピックに焦点を当てている。

 中でもこだわっている部分は「中立」な立場での発信だという。代表の1人を務めている宮坂奈津さんはこう話す。

 「大阪市は賛成の立場でやられていると思うので、官公庁の資料が偏っているという感じになってしまっていて。そこがなかなか、反対の意見をどうやって探すとか、いろいろな資料を見たうえでこれが一番中立に近いかなというのを選ぶ作業が一番大変」

 2日後に迫る大阪都構想の住民投票。宮坂さんたちがこの活動を通して若者に伝えたい思いは、「自分なりのスタンス」を持って投票をすることだ。

 「“分からないということは投票しないことの理由じゃない”と私たちはすごく考えている。分からないからこっちに入れる、とりあえずこっちに入れるという感じで、自分のスタンスを持たないで投票するというのは一番私たちが危惧しているところでもある。自分の分かる範囲で調べて、自分で決めて投票する。そのアクションをサポートできたらいいなと思って活動してきた」

 都構想をめぐる賛成派・反対派の主張はどちらが正しいのか。政治学者で東京都立大学法学部准教授の佐藤信氏は「一般の人から見ると、どちらの方が費用がかさむのか、どちらが行政サービスについて正しいことを言っているのか、判断できない。実際にやってみないとコストはわからない。そこで、反対派の“大阪市がなくなっていいのか”という声と、賛成派の“東京都に並ぶ2大都市をつくって世界に認めさせよう”という訴えのどちらが有権者に響くかが、最終的には焦点になっていくとみている」と話す。

 2015年5月に行われた住民投票では、賛成が69万4844票、反対が70万5585票で反対多数となり、敗北した当時の橋下市長が政界を引退する結果となった。前回と今回の違いについては、「前回は維新だけが推進して、公明党を含む他の政党が反対したが、今回は公明党が賛成の立場に回っている。公明党は関西で6つの衆議院小選挙区の議席を持っている。必ずしも大きくない公明党が小選挙区で当選できているのは維新の会や自民党の対立候補がいないから。

近く衆院選がある中で、公明党としては反対して維新の会の反感を買い、対立候補を立てられ、公明党は大きく議席を失うかもしれないというのを心配して賛成に回ったとされている。公明党の支持団体である創価学会は大阪で17万票ぐらいの集票力があると言われていて、もちろん全員が賛成に従うわけではないが、公明党の動向が投票の行方に影響していくかもしれない」と説明した。

 その上で、「CHOICE OF OSAKA」の取り組みについて、「大学生たちがこういうきれいなサイトを作ったり、わかりやすく伝えることは、一昔前では考えられなかったと思う。代表のインタビューでは『(アクションを)サポートする』と言っていたが、SNSで容易にアクセスできて、こういう力を借りて投票できるのはすごくいいことだと思う。今回の住民投票は後戻りするのは困難な選択なので、(大阪の有権者が)しっかりと大阪の将来を考えて投票されるのを見守りたい」と述べた。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

映像:前澤友作氏の「お金配り」 詐欺師にとっては“カモリスト”か

あわせて読みたい

「大阪都構想」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    「Mr.慶應」性犯罪で6度目の逮捕

    渡邉裕二

  2. 2

    昭和の悪習 忘年会が絶滅する日

    かさこ

  3. 3

    再び不倫 宮崎謙介元議員を直撃

    文春オンライン

  4. 4

    テレビ劣化させる正義クレーマー

    放送作家の徹夜は2日まで

  5. 5

    早慶はいずれ「慶應一人勝ち」に

    内藤忍

  6. 6

    医師が語る現状「医療崩壊ない」

    名月論

  7. 7

    公務員賞与0.05か月減に国民怒れ

    わたなべ美樹

  8. 8

    案里氏 法廷で昼ドラばりの証言

    文春オンライン

  9. 9

    GoTo自粛要請「後手後手の極み」

    大串博志

  10. 10

    ユニクロ+J高額転売でも売れる訳

    南充浩

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。