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吉村知事、最後の独占インタビュー 勝ったら【大阪】はとんでもないことになるんです

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ついに2020年11月1日に迫った大阪都構想の2度目の住民投票。前回は僅差で否決されたが、新たな再編案を掲げた今回はどう転ぶのか。大阪の副首都化を目論む賛成派からは「空前絶後のォォォォォォ!!!!!」という叫びも聞こえてきそうな都構想のその先のビジョン。都構想に込められた「大阪への熱い想い」を吉村洋文知事が語る──。

「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票

「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票が2020年11月1日に投開票されます。賛成多数なら大阪市は2025年に廃止され、4つの特別区に再編されることになります。都構想を行う目的は2つあり、1つは大阪府・市の二重行政を解消して大阪が成長する土台をつくること。もう1つは行政を細分化することで、きめ細かな住民サービスを拡充することです。

まずはこの2つを実現させて大阪が副首都として成長することで、東京との東西二極で日本を引っ張っていけたらいいなと思っています。コロナ禍で「東京一極集中」の脆弱性が露呈しましたが、東西二極とは国力を分散させるという意味ではなく、国力を高めるために必要なことだと考えています。

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▼大阪都構想とは?
政令指定都市の大阪市を廃止して東京23区と同じ、特別区を設けて大阪府と連動して行政を再編する構想。大阪維新の会「設立の趣旨」での当面の目標となっている。2015年5月に5特別区への再編を問う住民投票では僅差で否決されたが、2回目の住民投票では4特別区への再編案が対象となる。賛成多数なら25年から制度移行となる。府の名称はそのままで「大阪都」への変更には法整備が必要になってくる。
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これが特別区の4区案だ!

都構想が実現すると、財源は市に集中するか

大阪市の人口は、政令指定都市の中で横浜市に次いで全国2番目に多い274万人(20年4月1日現在)という大所帯です。そのような自治体で窓口が1カ所では、どうしても住民サービスが十分に行き渡らないことを市長時代に痛感していました。橋下徹元大阪市長が就任するまでは、市立中学校に給食サービスすら提供できていませんでしたし、市立小中学校にクーラーも設置されていませんでした。なぜかというと、橋下氏が就任する以前はあまりにも市長が市民から遠すぎたんです。現場から遠いと無駄も見えにくくなるという難点もありました。

吉村洋文大阪府知事

吉村洋文大阪府知事

都構想反対派の中には、「市の財源が府に吸い上げられてサービスが低下する」という声もありますが、僕は逆に充実していくと思います。大阪を成長させていくには、当然ながらまず都心部である現在の大阪市に重点的に投資していくことになるからです。都心が成長すると、税収が増えて雇用も増えます。大阪市は周辺市から通勤している人が多いので、そこが成長すればその周辺市も潤う仕組みになっています。

ですから大阪市民の皆さんは、むしろ今まで府知事があまりにも市域の成長に投資してこなかったことに怒るべきだと思うんです。これまでの二重行政では、そこは仕方ない部分があるのですが。19年、府知事選で争った小西禎一氏は、「都構想が実現すれば、投資が市内に集中してしまう」と討論会で主張していましたが、僕もそれは感じています。逆に言うとそれだけ市民のメリットが大きい改革なのです。

12年に立ち上げた「グランドデザイン・大阪」という府・市共通戦略でも、投資先は市内に集中しています。万博やIR誘致に向けて夢洲を開発していますし、梅田駅北の最後の超一等地「うめきた」エリアの第2期エリア「うめきた2期」の開発にも府・市一体で取り組んでいます。

また、府・市で統合した公立大学の新しいメインキャンパスも大阪市内に移転しますし、北梅田駅から浪速区のJR難波駅および西成区の新今宮駅を結ぶ予定の「なにわ筋線」の工事も進んでいます。成長する都市に必ずある環状線については、淀川左岸線の延伸部などに代表されるように、大阪市をまたぐ道路について府と市の費用負担の関係から未完成でしたが、それも事業化が決まり着実に整備が進んでいます。

これらの「バーチャル都構想」の成果でもわかるように、投資先のほとんどは市内なのです。都構想が実現して大阪が成長すれば、財源が増えて現市域の住民サービスもより充実するという好循環が起こります。大阪維新の会が成立してからの10年間で法人税収は約1.7倍に増え、塾代助成事業や18歳までの医療費助成を進めることができたことでも示されています。

どっちの未来がベターなのか

都構想のデメリットに関する議論はどれも重箱の隅をつつくようなもの。再編コストに約270億円かかることが指摘されていますが、府・市合わせて約9兆円の予算を持つ大都市の積年の課題を解決するための改革だと思えば、僕は然るべき投資だと考えています。大阪府議会の自民党は一部賛成していますが、大阪市議会の自民党は反対しています。その理由は、本質的には自分たちの身分を守るためで、現在の中選挙区制の固定化した「落ちない選挙」から、受かるかどうかわからない大選挙区制に変わることを危惧しているというのが本音でしょう。

大阪都構想の歴史/なぜ2回もするのか

そもそも、都構想の「メリット」と「デメリット」を天秤にかけるという考え方から見直してほしいとも思っています。比較するべきは都構想が「可決された場合」と「否決された場合」で、どちらのほうが大阪の成長を促進するかということです。現体制にしろ都構想にしろ、制度にはどこかしら欠点があります。都構想のデメリットは大きく論じられて、府・市の二重行政の問題点は全く言及されないというのは、比較検討の仕方として違うのではないかと思うのです。都構想を実現した場合と現状のままの場合、どちらがより大阪の可能性を追求できるかという点に議論の焦点を合わせるべきではないでしょうか。

都構想が可決されたら、25年1月1日の移行に向けて、大阪都そして特別区が適切に運営していけるような土台をつくることが重要な課題になります。維新の会としては、まずは万博のある25年を目がけて力を注いでいくことになりますが、そこから先、中央集権から地方分権、東京一極集中から東西二極を旗印にしながら具体的にどのような政策を掲げるかは、そのときのリーダーが考えればいいと思っています。

東西二極を目指すためには与党ときちんと対峙できる野党が必要ですが、今の野党はとにかく自民党に反対すればよいという偏ったスタンスで、現実的な問題に対応できるようには見えず、とても政権を任せられる存在ではありません。僕自身はもう国会議員になるつもりはありませんが、きちんとした国政があってこそ東西二極は実現すると思っています。

今の自民党は、残念ながら特定の業界や団体の利益代弁者の側面があります。菅義偉首相はさまざまな分野で改革を推し進めていますが、これから強い抵抗勢力と闘うことになるでしょう。規制改革をどんどんやっていくには、特定の業界や団体とのしがらみが少なく偏りすぎた思想を持たない政党が必要ですが、大阪では大阪維新の会がそれを担っているわけです。特定の業界団体への補助金は全部打ち切って、その分のお金を子育て世代をはじめとした住民へのサービスに回すことで、きちんと自民党と対峙することができていますし、それは国政政党の日本維新の会としても目指すべき姿だと思います。

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