アニメの決め台詞で「やる気スイッチ」を発動させる
トップダウンのモチベーションを誘導しやすくするもう一つの方法が「モチベーショントリガー」をつくることである。いわゆる「やる気スイッチ」だ。

このやる気スイッチは誰かに押してもらうものではない。自分で押すためのスイッチを、自分でつくるのがポイントである。モチベーショントリガーとは、自分のモチベーションを意識的に高めるための「おまじない」とも考えられる。自分ならではのおまじないをつくるうえでのポイントを、いくつかご紹介しよう。
あなたには、自分のお気に入りの名言や、本や漫画の一節、ドラマやアニメのゾクゾクするようなシーンがあると思う。あるいはお気に入りの音楽でもいい。
実際に見聞きしたり、脳内でそのお気に入りの言葉をつぶやいたり、映像を頭に思い描いたりすることで、あなたのモチベーションは高まっていくだろう。そのようなお気に入りがない人は、それを探すことが重要だ。
「いやいや、アニメや漫画のシーンで高まるなんてアホらしい」
そうおっしゃる方がごく稀にいる。たしかに、アニメや漫画などに興味がない人にとっては、まったく効果はないだろう。
だが、本気で心を動かされ、それらのシーンに強い想いを持っている方なら、間違いなくモチベーションが高まる効果がある。なぜなら、本人にとってやる気が引き出されているのなら、誰がなんと言おうと、それがどこからの刺激であろうと、本人のドーパミンなどを誘導し転用できる可能性があるからだ。
世の中には、心を大きく動かされモチベーションを誘発する「あんなふうになりたい」と思わせる名作、名場面が数多くある。
もちろん、アニメや漫画は誘惑が強いため、注意が分散されては効果がない。お気に入りを実際に見聞きしたり、頭で想起した後に、その効果を注意のシフトで活用するのが肝心だ。実際にアスリートなどが、お気に入りのアニメや漫画で自己を高めているという話も聞いたことがある。
何も、アニメや漫画でなくてもいい。自分が優れたパフォーマンスしたときの映像を見返して高めることもあれば、憧れのパフォーマーの最高のシーンを見て学ぶとともに、モチベーションを高めているケースもあるだろう。
大切なのは他者のマネではなく自分が高揚する刺激

試合に臨むアスリートが、お気に入りの音楽で気分を高揚させている姿を目にすることがある。そして世の中には「モチベーションを高める音楽」も紹介されている。だが、他人に「モチベーションが高まる」と薦められる音楽を聞くより、自分の感覚で自己が高まる音楽を選択するほうがいいだろう。
自分の「モチベーションが高まっている」感覚と、本当に「モチベーションが高い状態」との間にそれほど誤差はないだろうし、何よりも実際に自分が高揚する刺激が大切なのだ。
当然、アニメや漫画、音楽にこだわる必要もなく、他の題材でも、自己の体験でも構わない。
どのような題材であろうと、まずは自分の高まるモチベータを探すことが重要である。自分の感覚と感情を大切にし、自分の高まるものを発掘することが重要だ。
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青砥 瑞人
DAncing Einstein Founder & CEO
日本の高校を中退後、渡米。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の神経科学学部を飛び級卒業。2014年に株式会社DAncing Einsteinを創設。空間、アート、健康、スポーツ、文化づくりと、神経科学の知見を応用し、垣根を超えた活動を展開している。
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(DAncing Einstein Founder & CEO 青砥 瑞人)