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2012.11.01

■11月某日 参議院での総理の施政方針演説はスルーされるという異常な臨時国会が開幕した。野田総理は衆議院での施政方針演説で「明日への責任」というフレーズを二十数回繰り返したが、いずれも自分本位のタテマエを並べ立てただけで、具体性のない空疎な演説だった。民主党からの離党者が相次ぎ、あと6名が野田連立政権から去れば、衆議院では過半数割れに陥る。そうなれば、野田総理―輿石幹事長コンビがいくら解散総選挙を先送りする魂胆であっても、内閣不信任案が可決され、野田民主党の命運も尽きる。

石原都知事が辞任を発表し、タカ派系保守「たちあがれ日本」と新党をつくると発表。民主党と自民党・公明党の大連立に対抗して第三局をつくるというのが石原氏の国政復帰の動機だが、橋下徹の日本維新の会やみんなの党との連携も模索している。しかし、最大の問題は消費税増税、脱原発において、この第三局は政策がまったく違う事だ。政局でキャスティングボードを握るためだけの連携では、いずれ分裂は必至である。というか、そもそも、連携じたいが成立すると見るのは早計だろう。日本維新の会代表の橋下徹自身が、石原氏はともかく、たちあがれ日本の面々との提携には難色を示しているからだ。

おそらく、解散総選挙は年内ではなく、来年以降になる公算がかなり強い。今選挙をやれば、民主党は80人規模に転落する可能性が高いからだ。緊急の課題とされる特例公債法案が通らなければ、自民党やメディアは11月にも財政が底をつくと大騒ぎだが、これも裏で財務省が世論操作を仕掛けているのだ。財源が足りなければ、財務省は隠し資金や不要の国有財産を処分すればいいだけのことだ。自分たちの権益を守るために、都合のいい論理を振りかざしているだけなのだ。

沖縄にオスプレイが配備されて、一か月が経過した。この間、米国海兵隊は、日米合意を完全に無視して、日夜問わず訓練飛行を続けている。巨大なコンクリートを吊り下げたり、ドラム缶を吊るして消火訓練まで実施している。普天間基地では夜10時以降の飛行は騒音防止上も禁止されているが、それも既に破られた。沖縄防衛局は、県民の抗議の声に対しても言葉を濁して黙認の施政。女性集団暴行事件で日米地位協定の改定を求めても知らんぷり。沖縄防衛局は米国しか見ておらず、県民意志には耳も傾けない。県民の安全を最優先するという発想はゼロである。いずれ、米国の強い要請を受けて、自衛隊もオスプレイを購入し、沖縄本土を飛び交うはずである。そうなれば、海兵隊と自衛隊の危険なオスプレイが沖縄本島上空を縦横無尽に我が物顔で飛び交う時代がやってくるはずだ。

しかし、政府のこうしたヤリクチを止める可能性も、政治勢力も存在しないのが実情だ。仲井真知事が、ワシントンで県主催のシンポジウムを開催した。日本の防衛省も外務省も沖縄県民の意志を尊重した対米交渉をやる意識が全く見られない以上、沖縄県が独自に対米交渉に踏み切らざるを得ない。ワシントンに沖縄事務所を開設し、情報発信や情報取集、政治的な根回しを本格化させるしかない。戦後67年の総決算は沖縄自身が主体的に取り組むしかないのだ。

消費税や脱原発はともかく、TPP,オスプレイ配備撤回という、日本の根幹にかかわる問題で、信頼に値する政党じたいが非力な以上、指をくわえて見ているわけにはいくまい。敵は米国・霞ヶ関・財界・大手メディアである。政界の不甲斐なさに影響されたのか、メディアの劣化も進行している。西宮の不可解な男女8人の殺害疑惑事件で、被告人・角田美代子の顔写真を全マスコミが別人のものを使用していたことが判明し、各メディアが謝罪した。メディアの劣化と横並び感覚がこの稀に見る顔写真取り違え事件を生んだ。メディアの怠慢と政治が空転している間に、原子力規制委員会の原発事故想定した放射性物質拡散のシュミレーションでも誤報を流した。沖縄県民も日本政治を透徹する独自の目を持つしかない。その意味ではまさに正念場だ。

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