- 2020年10月30日 17:10 (配信日時 10月30日 09:15)
銀行口座の残高に一喜一憂する人が絶対に幸せになれないワケ
1/2お金があれば将来は安泰なのか。作家で経営コンサルタントの矢内東紀氏は「お金を持っていようと持っていまいと、精神的に満たされている人は豊かだ。だからこそ、無意味な『通帳の数字を増やすゲーム』は今すぐやめるべきだ」という――。

お金がなくてもできる「生きるため」の投資とは?
「もう命を削って働くのに疲れてしまった」という相談が私のところにはよく来ます。「起業する能力も勇気もないです」とか、「身体を壊してしまったんです」とか。
いろいろな意味で、“ふつうに生きる”のが大変な時代です。しかし、ふつうでなくても我々は生きていかなければいけません。働く以外の方法で少しでも生活を楽にしていくしかないのです。たとえば、投資をするとか。
「いま生きるためのお金も足りないのに、投資なんてする余裕ないし、失敗したら一文無しになる」という人もいるでしょう。たしかに、何も考えずに投資の世界へ突っ込んでいくのは、裸で地雷原を突っ走るようなものなのでオススメしません。それは死ににいくのと同じです。
何のために投資をするのかというと、死なないために、生きていくために投資をするんですよね。ただ、単純に当たれば儲け、外れれば負け、というのはバクチと同じなので、何回かやると必ず負けることになります。大金持ちならば多少負けても、勝つまでやれば取り返すチャンスがありますが、我々にそんなタネ銭はないので、一度大コケしたら再起不能になってしまいます。
ただ、ちょっとした工夫をすることによって、できるだけ負けない、できるだけ死なない投資をすることはできるのです。
BTS株で失敗した人たちが見落としたもの
数日前、韓国で、人気グループBTSが所属する芸能事務所の株が高値で上場した直後に大暴落して、韓国の個人投資家が自らの結婚資金を投じたり、借金してまでBTS株を高値で買ったりして、何億ウォンという含み損を抱えるハメになった、というニュースを読みました。

株式投資が一概に悪いわけではないのですが、素人の投資家があいまいな知識で大儲けしようとするとこうなる、という非常にわかりやすい例です(BTS株は現在下がっているだけで、将来はわかりませんが)。そもそも、現金を投じて、それを即現金に戻して儲けようとするのは、システムが明解なぶん損をしやすいのです。
株を買うにあたってリスクを下げるなら、仕事などの関係で自分が非常に詳しい分野とか、自分がよく利用する応援したい企業の株を中長期的に持つほうが、目先の相場に飛びつくよりもよほど勝算があります。まず、自分が詳しいジャンルやよく行く店ならば、「最近、あの会社はどうも良くない方向に向かっているな」ということを他人より早く察知することができるからです。
そして、好きな会社、応援したい企業の株を買うということはつまり、「応援する気持ちを株を買うことで表す」ということになるわけですが、そもそも、株というのはそういうものですよね。投機的な意味を持ったのは後の話です。
インフルエンサーに踊らされてはいけない
興味もない会社の株を、なんとかさんがブログで上がると書いてたから買い、かんとかさんがYouTubeで下がると言ってたから売る、みたいな雑な方法よりだいぶマシだと思いませんか。だいたい、なんとかさんやかんとかさんはあなたが損したところでお金を返してくれるわけではないのです。あなた自身が、あなたなりの根拠を持てる投資をしましょう。
「応援する気持ちを込めて投資する」を応用すると、もう投資の対象は企業でなくてもよいということになります。「ステイホーム期間中に時間があったので、自分への投資として英語の勉強をした」というような言い方がありますね。
この用法は辞書にも載っており、「比喩的に将来を見込んで金銭を投入すること。」(広辞苑「投資」②)などと書いてありますが、「英語の勉強」でいうと投入したのは「自分の余暇の時間」ですので、元手は金銭でなくてもいいんですね。つまり「将来自分になんらかのいいことがあるのではないかと見込んで、なんらかの自分の持ち物を投じる」のが投資であるということです。
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