文科省が出した「弔意表明」促す通知

それと、この中曽根さんの合同葬に際して、文部科学省が全国の国立大に、弔旗の掲揚や黙とうで弔意を表明するように・・・って通知を出したことが物議をかもしたよな。そりゃそうだよ、そもそも法に定められていない曖昧な合同葬なんだから。曖昧を棚上げした通知はよろしくないよ。
これに関して官房長官の加藤さんが会見で説明したんだよな。ちょっと編集部、そこを引用してみてよ。
編集部 はい、加藤官房長官いわく、この「通知は強制力を持たないもので、教育基本法が禁じる特定政党の支持には当たらない」と。そして、『思想・良心の自由を保障した憲法19条』との関係については「弔意を表明するかどうかは関係機関が自主的に判断する。内心の自由を侵すものではない」という見解を示しました。
加藤さん、この通知も「総合的・俯瞰的に判断したものです」って言ってなかったか? アハハハハ。まあでも、この通知は「おいみんな忖度しろよ、わかってるな、どこが従ってどこが従わなかったか、政府はチェックしてるからな」って、そういう通知ってことだよな? やだね~(苦笑)。
大学なんてあらゆる分野において自由であるべきなんだからさ、誰かを偲ぶことも自由でないと。「中曽根さんに弔意を示せ」って話ではなく、個人個人で偲びたければ偲べばいいし、偲びたくなければそれもいいし、誰かに指示される話ではないだろうよ。
俺はね、日本は法治国家だから、法で定められた国家行事の範囲なら、国旗と国歌を尊重することを認めるよ。それが法として成立するまでに、多くの議論と時間を費やして成り立ってきたことなんだから。
だけど今回みたいに、そもそも法的には定まってないのに政権の意向で多額の税金が使われたり、文科省が玉虫色の通知を出したり、権力がそういう曖昧な濫用するとロクなことにならないよ。お上に逆らうと大変だからって自己保身に走る役人が、本来クリーンであるべきものをグレーにするようになっちゃうよ。
そんなことが続くと、法の下にあるべき民主主義が、忖度の下にある忖度民主主義になっちゃいかねないよ。
強気すぎ?自公合わせても支持率は5割以下

俺ね、民主主義の根本に必要な3つのこととして「こだわらず、とらわれず、かたよらず」があると思ってる。
これ、元々は般若心経の「空」に通じる言葉だけど、人はついつい何かに執着しがちで、こうあるべきだという一つの価値に留まりがち。だけどそこに「こだわって、とらわれて、かたよって」しまうと、先の成長は無く、朽ち果ててしまうよ・・・って話かな。
一つの価値に凝り固まらないニュートラルな姿勢を常に意識することこそ、国の中枢に必要だって思うんだ。
そう考えると、今の日本は自民党一強が続いていく中で、やはり強権的な姿勢が増えてきてるよな。周りの声に耳を傾けないことが多く、官邸の一部が決めたことを上から押し付けがち。政権を握る自民党が強気になればなるほど、積み重ねてきた国の底力が削がれていくような気がするよ。
ちょっと編集部、国政選挙での自民党の得票率ってどれぐらいかわかる?
編集部 はい、一番近いところで昨年(2019年)の参院選で、自民党は35.4%でした。ちなみに連立する公明党が13.1%です。
自民党に投票してるのは投票者の3割5分だ。それで四六時中強気だとたまんないよ。自公あわせてもざっと5割。あとの5割は違う意見の持ち主なんだ。そういう世の中なんだから、もっと聞く耳を持ってほしいね。
<追伸>
そうそう、何かとキャンペーン中だから宣伝させてくれよ。俺なりに我が両親を偲んだ一冊を出したんだ。うちのおやじとおふくろは関東大震災が縁で出会って、戦前戦中戦後と貧しいながらも逞しく生き抜いた。
やたらと口の悪いおやじに、負けじと口の回るおふくろでね。この親だからこんな俺が育っちゃったとよくわかるよ。タイトルが「たぬきババアとゴリおやじ~俺とおやじとおふくろの昭和物語~」。学研から出たばかり。
たぬきババアとゴリおやじ 俺とおやじとおふくろの昭和物語 (日本語) 単行本 – 2020/10/8
空襲もあったし食糧難もあった、俺もチフスで死にかけた、激動の昭和を駆け抜けた我が石井家。当時の庶民がどんな暮らしぶりだったかすべて等身大の話だよ。深刻な話も呆れてバカバカしい話もこの一冊に詰まってる。誰しも親や祖父母をさかのぼれば、きっと似たような暮らしがあったろうから、あなた自身に通じる話でもあると思う。文科省から「みんなこの本を読むように」って通知を出してほしいね(笑)。まあ、ひとつ頼むよ、読んでくれたらうれしいよ。
(取材構成:松田健次)