- 2020年10月28日 17:17
中国に続いて日本でも大食いを禁止した方がよい6つの理由
1/2中国で大食い禁止
2ヶ月程前になりますが、中国からのニュースに驚かされました。
それは、大食いを禁止するということです。
中国では大食いする映像が人気を集めているといいますが、中国政府がこのような動画の投稿を取り締まるというのです。背景には、2020年8月11日に習近平国家主席が食べ物を粗末にしないよう求めことがあります。
日本でのインターネットの反応を見てみると様々な意見が飛んでいるようですが、概ね賛成のようです。
中には「日本でも大食いを禁止にするべきだ」という声もありましたが、私はあながち間違っていないように思います。
なぜならば、大食いそのもの、および、大食いをコンテンツとする番組や動画があまり好ましくないと考えているからです。
その理由を説明していきましょう。
摂食障害の問題
大食いの番組や動画が有する最大の問題は、摂食障害につながること。
並外れて大食いするような人の中には、摂食障害を患っている方も少なくありません。そういった方が大食いの番組や動画に出演しています。
私も話を聞いたことがありますが、具体的な方などを挙げるのは憚られるので、ここでは紹介しません。ただ、「摂食障害 大食い」と検索してみればいくらでもこれに類する話は出てくるでしょう。
大食いを競ったり、大食いにチャレンジしたりするコンテンツがテレビやYouTubeなどで流されると、大食いが奨励されているように感じられ、摂食障害の引き金となったり、摂食障害を助長することになります。
収録後に嘔吐していることも大きな問題です。私もテレビのディレクターなどから話を聞いたことがありますが、ほぼ周知の事実となっているにもかかわらず、蓋をかぶせられていることに疑問を覚えます。
大食いは映像にインパクトがあって視聴率や再生数が稼げるので、制作側は出演者が摂食障害を患っていることを知っていながら出場させているのです。
摂食障害と紙一重であるにもかかわらず、大食いをヒーロー視するようなコンテンツがつくられるべきではありません。イメージをよくするためにフードファイターと呼び名を改めたところで、行っていることに変わりはないでしょう。
摂食障害という問題を内包しながら大食いをコンテンツ化することは、とても不健全です。
サステナビリティに相応しくない
必要以上に食べること、食べようとすることは、食品ロス(フードロス)をはじめとして、サステナビリティ(持続可能性)の観点から好ましくありません。
2017年度の統計では、日本における食品廃棄物等は年間2550万トン。その中で本来は食べられるのに捨てられている食品、つまり、食品ロスは年間612万トンに上ります。日本人1人当たりに換算すれば約48kg。毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てていることになるのです。
無駄に食べ残すことはもちろん、人間が生きていくのに必要な分量より、はるかに多くのカロリーを無意味に摂取したりすることも、食品をロスすることになるでしょう。
食品ロスが続いて資源に悪影響が与えられるとサステナブルではなくなり、将来的に食材や食品が失われてしまうことになります。
謙虚になり、人は自身に必要なものを適量なだけ食べることが重要ではないでしょうか。
こういった文脈からすれば、ただたくさん食べるだけといったコンテンツが時代にマッチしているとはとても思えません。
つくり手へのリスペクト欠如
大食いコンテンツを制作する方に欠けている視点があります。それは、つくり手の立場を考慮しているかどうか、です。
視聴者の中からは「たくさん食べている様子を見ているのが気持ちいい」「あれだけたくさん食べられるのはすごい」といったポジティブな意見も聞かれます。
しかし、料理は無機質な物質ではありません。食材を生産している方がいて、食材を調理して料理を生み出している方がいるのです。
料理人や食材の生産者は、通常の何十倍という尋常ではない分量をひたすら食べている様子を見て、心地よく思うものでしょうか。
大食いのようにあまりにも度が過ぎていれば、食事をおいしく楽しんでいるようには見えないものです。
料理をつくったり、料理をつくっている様子を見たりしたことがあればわかるはずですが、一生懸命つくられたものが、まるで湯水を流すかのごとく、胃に流し込まれる映像に意味があるのかどうか、つくり手の立場を慮っていただきたいです。