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学術会議問題と海外初訪問、菅内閣スタートをどう見るか

田原総一朗です。

臨時国会が10月26日召集された。本国会で、野党は、日本学術会議の任命問題を追求する構えだ。なぜ菅首相は6人の研究者を、任命拒否したのか。

会員候補推薦書は、8月31日に会議から総理大臣に提出されたという。安倍前首相が28日に辞任を表明したとはいえ、この時期はまだ安倍内閣である。私はこの件はおそらく、安倍前首相の問題だと思う。

安倍前首相は、特定機密保護法、共謀罪の制定、集団的自衛権の行使容認を推し進めた。特に集団的自衛権の行使容認は、容認がなければ日米安全保障条約は維持できないと、アメリカからの圧力もあり、政治生命をかけて行った。6人はみな、これらに反対した研究者だと報じられている。安倍首相が拒否したとして、無理はない。

8月当時の菅官房長官は、安倍首相と距離があった。はっきりいえば、安倍内閣のカヤの外だったと言っていい。この「任命拒否」に携わらないまま、菅氏は首相となった。しかし菅首相としては、「それは安倍さんのやったことだ」とは言えない。そこで、あの菅首相には珍しい、あいまいな答弁になってしまったのではないか。

いずれにしても、研究者が自由に発言した結果、任命されないということは問題だ。私は10月14日、菅首相と会った際、学術会議会長と面会し、率直に話し合うことを進言した。

菅首相は16日、実際に学術会議会長と会った。会談内容はわからないが、その後、会長、前会長ともに、菅首相を批判しなくなった。朝日新聞も同様である。こうして人の意見を聞き、反対の立場の人と会う、 菅首相の姿勢は、すばらしいと思う。

外交ではまずベトナム、インドネシアを訪れた。これはおおいに賛成だ。米中対立の中で、日本を含めたASEANの国々は、どっちにつけば良いのか迷っている。アメリカや中国は「自国中心主義」だが、ASEAN諸国には「自国中心」は無理である。

こういう時に日本がASEAN諸国、そしてインドやオーストラリアを加えて、アジアの自立をはかるのは望ましい。アメリカにとっても、中国と対立している今、喜ばしいことだだろう。また、中国にとっても、貿易、経済的に密接な関係にある、ASEAN、インド、日本がまとまるのは、悪いことではない。

慎重に、そして鋭敏に、周囲の状況を見定める、菅首相らしい外交デビューだったといえよう。

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