「別れることも頭を過りました。でも…」
最近“不倫太り”する夫婦が目立つように思う。
夫の不倫が週刊誌で報じられると、男は塩垂れて逃げまどうが、妻のほうは泰然自若として夫を許し、かえって夫婦の絆を強めるケースが多いようだ。

最近の例でいえば、瀬戸大也の妻・優佳とアンジャッシュ渡部建の妻・佐々木希がそうではないか。瀬戸は契約していたCMがスポンサーから解約され、日本水泳連盟からも年内活動停止という厳しい処分を下された。
だが、元飛び込み選手だった妻の優佳は、発覚後、瀬戸と一緒に直筆の謝罪文を出し、その後、心境をこう語っている。
「今回の(週刊新潮の=筆者注)報道が出た時、もちろん別れることも頭を過りました。でもあまりのタイミングに、途中から『神様が私たちを試してるんじゃないかな?』と思い始めたんですよね。これは『瀬戸大也は一度どん底に落ちないと変われない』というメッセージなのだろうと。
人間である以上、誰だって失敗はします。大事なのは、その失敗から何を学ぶか。結婚式で『病める時も健やかなる時も』と誓った以上、私自身この騒動を経た彼がどう変わるか見届けてからじゃないと離れられない。(中略)まずはしっかり夫婦で向き合って、それから判断しても遅くはない。そもそも私は、そんなゆるい覚悟で結婚したわけじゃありません」(FRaU「瀬戸大也選手の妻・優佳さん『このままでは家庭が壊れてしまうかもと思っていました』」より)
現代版山内一豊の妻である。
「多目的トイレ不倫」の渡部建はいま
渡部の妻で女優の佐々木希も、報道後に自分のインスタグラムに謝罪文を出しているが、週刊文春(6月25日号)によれば、
「佐々木の事務所関係者が明かす。
ちょっと意外かもしれませんが、元々家庭内では渡部さんの方が立場は上。佐々木さんの方が渡部さんをリスペクトしているのです。この騒動の間、彼女は『夫が憔悴しているのでずっと一緒にいます』と付きっ切りの状態。彼女を心配する知人には『私が彼を立ち直らせる』と気丈に振る舞っている。すでに彼女は『離婚しない』という決断を下しています」
一方の夫・渡部のほうは10月16日発売のフライデーが、愛犬3匹と散歩をしている姿を掲載しているが、帽子をかぶってはいたが白髪交じりのボサボサの髪だったという。
芸能界復帰については「僕が戻りたくてもねぇ……周りの皆さんがどう思うかですから」と語って去っていったそうだ。「多目的トイレ不倫」という、お笑い芸人には致命的ともいえる“肩書”が彼の後ろ姿に張り付き、哀れさえ催す。
2人には“出来過ぎた妻”だと思うが、夫たちにとって本当のいばらの道はこれから始まるのである。私のささやかな経験から見ても、妻はこのことを一生忘れてくれはしないからだ。
何年経っても、テレビや週刊誌で不倫報道を見れば、瞬時に夫の不倫が甦り、態度は急変して、「あの時あなたはあの女と」と怒り出すのである。そういうときは頭をうなだれ、嵐が過ぎるのを待つしかない。
もちろん、2人のような包容力のある妻ばかりではない。
「同じ地獄を見せたい」と息巻いた貴城けい
女優・鈴木杏樹と密かに情を通じていたことがバレた夫の俳優・喜多村緑郎に対して、宝塚の元トップスターだった妻・貴城けいの怒りは苛烈を極めたようだ。週刊文春(5月7・14日号)によれば、
「彼女は知人に対し、次のようにぶちまけていた。
『あの人(杏樹のこと)は芸能界で清純派や癒し系と言われていますけど、夫を寝取った。物事の順序を守れないのは純愛じゃなくて自己愛でしょう』
貴城は身内に対して、『(杏樹に=筆者注)私と同じ地獄を見せたい』とまで語っていた」という。その理由は、
「普段、喜多村さんは和食を好み、貴城さんが好きなイタリアンレストランなどには行こうとしなかった。でも、今回、杏樹さんとは複数回、千葉県内のイタリアンで食事をしたことが発覚し、彼女は絶望していました。また今となってみれば夫の言動に不審な点もあったそうです。彼は制作発表会や記者会見の日などを除き、1年のうち99%はジャージ姿。『ジーパンに革のジャンパーで出かけた日はあの人とのデートに違いない』と話していました」(貴城の知人)
喜多村のこれからの夫婦生活も苛烈を極めるに違いない。
しかし、このように曲がりなりにも元の鞘に収まるケースばかりではないこと、いうまでもない。

不倫発覚で強くたくましくなるようだ
年下の女優と不倫していた俳優の東出昌大は、妻子の元へ戻りたいと、何度も妻の杏に頭を下げ許しを乞うたが、杏は頑として許さなかった。
私は、杏の娘時代に父親・渡辺謙の女性問題で泣かされたことが背景にあると思う。そんな家庭に嫌気がさし、それとは違う平凡で波風の立たない穏やかな結婚生活を望んでいた彼女は、夫の裏切りが、自分の人生を全否定されたように思えたのではないか。
彼女は決然として離婚した。
5人の女性と不倫していたと報じられた『五体不満足』の乙武洋匡は、報道後に妻と一緒に謝罪文を出して、いったんは鞘に収まったかに見えた。
だが、報じられているところによると、乙武自身が不貞行為を繰り返してきた加害者であるにも関わらず、被害者である仁美さんに辛く当たり続けたことなどがあって、妻のほうから離婚を持ち出されてしまったというのである。
不倫夫としての分をわきまえない振る舞いが、妻の怒りを買ったのだろう。
こうして見てみると、不倫した夫はうなだれて家の中に逃げ込んでしまうケースが多いが、妻たちは不倫発覚をきっかけに強くたくましくなるようだ。
そこで思い出したのは、世界人権宣言の起草者として名高い、32代アメリカ大統領ルーズベルトの妻・エレノア・ルーズベルトのこの言葉である。
「女はティーバッグみたいなもの。熱湯につけられてはじめて、その強さに気づくのです」
男は逆境に弱いが、女は逆境になればなるほど、その強さを増すのである。男の本質は、ウソつきで偽善者で小心者だと相場が決まっている。それを隠すために肩書や権力を欲しがるのである。
だが、そのメッキが剥がれ、生身の自分が晒されたとき、男は醜態をさらけ出し、逃げ惑い、妻のスカートの下に隠れようとするのである。