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安倍総裁の代表質問

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 今日午後1時からの衆議院本会議で安倍晋三総裁が代表質問に立った。

 颯爽と壇上に駆け上がり、冒頭、5年前にその壇上で総理としての所信表明演説をしておきながら、その直後に辞任したことについて、率直に謝罪をした上で野田首相の政姿勢を中心に厳しく問いただした。

 基本的には質問というよりは、安倍さん自身が自らの政治理念を語るというトーンであった。もはや野田首相には具体的政策について質問するまでもない。といったところだ。

 安倍総裁の代表質問内容は以下の通りである。

*************

 自由民主党総裁の安倍晋三です。

 私は自由民主党・無所属の会を代表して、野田総理の所信表明演説について質問いたします。

 質問に入る前に一言申し上げます。私は5年前、この壇上において所信表明演説を行い、その後、病のため突然その職を辞する結果となりました。国民の皆様、そして全ての議員の皆様に、心からお詫び申し上げます。

 私はその日以来、この責任の取り方について日々考え続けてまいりました。「事の失敗に屈すべからず、失敗すれば失敗を償うだけの工夫を凝らすべき」とは、不平等条約の改正を成し遂げた陸奥宗光の言葉です。挫折を含め政権を担った経験を活かし、私の全身全霊を傾けて、国民のために今の日本を立て直すほかに、責任を果たす道はないと決意いたしました。

 民主党政権による「失望の3年間」。「政治主導」の看板のもとに、裁量権を取りあげられた役人が責任を伴う判断を行わず、そして政治家も責任をとらない結果、政府は無責任体制に陥り、国家運営の著しい停滞を招きました。また、野田総理が先の総選挙において「書いてあることは命がけで実行する、書いていないことはやらないんです、それがルールです」とまで断言したマニフェストについては、今や総理が書いていることはやらずに書いていないことに命をかけることとなり、政治に対する信頼を大きく失わせました。

 民主党政権の誕生により、われわれ自民党は立ち止まり、過去を振り返り、政治家とは何かを問いただす貴重な機会を与えられました。国民との信頼関係のうえにある国家運営。国民との信頼関係が最大の武器となる外交力。日本の経済力が日本の外交力を後押しし、そして、その外交力が経済力を後押しする。その結果、日本国民一人一人が力を取り戻す。日本が再び経済大国として、グローバル社会のリーダーとして蘇る。このシンプルに聞こえる構造こそ、与党としての国民との契約です。この契約を履行するという覚悟を持ち続けることは政治家として決して簡単なことではありません。しかし、それをやり抜く意思の力こそ与党になることの条件であります。この3年間、政治とは自民党とは何か、国家とは何か、日本の未来はどうあるべきか、この三つの質問を自らに問いただしてきました。そして今、私も、わが自由民主党の同士達も、その答えを見出し、再びこの国難に全力で立ち向かう覚悟であります。

 野田総理におかれては、今一度、政権与党としての矜持をお考えいただきたい。党の分裂、党内の離反に怯え、国家として成すべき課題に集中できない政権の姿を、もうこれ以上国民に晒すべきではありません。

 今こそこの混乱に終止符を打ち、もう一度強い日本を取り戻すことこそ、われわれ自由民主党に課せられた使命であります。私はその覚悟の上に、野田総理に基本的な政治姿勢についての質問をいたします。

2.臨時国会における課題



 野田総理は8月8日、わが党の谷垣前総裁、そして国民の皆様に対して、「一体改革関連法案が成立した暁には、近いうちに国民の信を問う」と約束されました。先の総選挙における「消費税は上げない」との約束を180度変更するわけですから、当然その前に信を問わなければなりません。しかし、われわれは政局よりも政策。増大する社会保障費に対応する責任ある姿勢を示すべきとの観点から、野党である立場を越えて法案に賛成し、成立するに至りました。あれからもう3か月になろうとしています。この「近いうち解散」について、先の三党幹事長会談において「総理が具体的な新しい提案をする」と輿石幹事長が約束したにもかかわらず、総理からは未だ何の提案も頂いておりません。与党幹事長の言葉も鴻毛より軽い。総理は平然と国民との約束から逃げる。総理は観艦式の訓示において「至誠に悖る勿かりしか、言行に恥づる勿かりしか」と述べられました。国民のために命をかける自衛官に対して発せられた最高指揮官としての言葉は重い。その言葉に責任を持たねばなりません。総理、総理は自衛隊の諸君に対し、自らの言行を省みて恥ずかしくないのですか。総理は近いうちに解散すると間違いなく仰った。前原大臣は「総理は誠実な人、約束を絶対に守る人であるから年内に解散をする」と述べました。つまり、年内に解散をしなければ前原大臣にとっても不誠実な人となるわけです。さらには、総理は、参議院における自らへの問責決議を「重く受け止める」とも言われている。改めて国民の前でお聞きします。総理は年内に解散する約束を果たす気持ちがおありですか。誠実にお答えください。

 わが党は、特例公債法案・一票の格差是正・社会保障制度改革国民会議の三点について、その重要性を充分に認識しております。これまでも様々な提案を行い、誠実に対応してまいりました。特例公債法案に対しては24年度予算の組替動議等で具体的な是正案を示してきました。一票の較差是正については、0増5減法案はわが党の提出法案です。野田総理も優先的にこれをやると言っておられた。国民会議の設置に至っては、われわれが提案したものであります。これらの課題に積極的に取り組まず、むしろこれらを盾に取り、その責任を野党に押し付けて解散先延ばしと政権の延命に励む。言わば、やみくもに政治空白を作ったのはあなた方です。そこには一片の責任感も無く、ただ権力にしがみつく惨めな姿があるのみです。谷垣前総裁は総理の言葉を信じて約束を果たし、一体改革関連法案は成立に至りました。次は野田総理、あなたの番です。この臨時国会において「近いうちに国民に信を問う」という自らの国民との約束を果たさなければなりません。

3.民主党政権の総括等



①復旧・復興



 私は、10月3日、自民党総裁就任後直ちに福島県を訪れました。そこで耳にしたことは、前面に出てこようとしない政府への憤りであり、縦割りのまま現場の声に応えられていない復興庁への不信であり、責任を被災地の市町村に押し付ける民主党の無責任な姿勢に対する失望でした。福島第一原発を訪れた際には、双葉郡の方々から、政府の収束宣言にも関わらず自らの生活は一向に行く先が見えないという、痛切なお気持ちを承りました。私は、われわれが安全神話の中に立って、原子力政策を推進してきた責任を痛感するとともに、政治が強い指導力を発揮し、断固たる覚悟と責任を持って、地域の皆様方の希望を取り戻さなければならない。それがわれわれの使命であるとの決意を新たにいたしました。

 野田総理、被災者の皆様は、百万遍の美辞麗句より、ふるさとでの生活を取り戻すという結果を求めているのです。今もまだ、32万人の方々が避難生活を強いられています。新生活へと踏み出すための集団移転は、いまだ5割以上が着工すらできていません。農地も漁港もいまだ3割程度しか復旧していません。新たな生活への見通しが立たないまま、被災地の皆さんは二度目の冬を迎えます。総理、あなたは1月にこの場で「復興を力強く進めていく道具立てが揃いました」と語りました。しかし、どの道具もあなたは使いこなせていません。予算があっても現場では人手が足りず、使い切れない。復興庁があっても「査定庁」などと呼ばれ、「自治体が案をつくり、国の復興庁は査定する」というお役所的な丸投げの発想が蔓延しています。私ならばまず、復興庁の役人の意識を根本的に改めます。そして受け身ではなく、国の職員達が自ら被災地に入り込み、被災地の皆さんと一緒になって復興プランを練り、着実に実行していきます。復興庁が発足してからほぼ9ヶ月。総理のリーダーシップで何が変わったのでしょうか。自民党が政権を回復した暁には、現場主義で現場に入り込み、被災者の皆さんと共に真の復興を「実行」する決意であることを宣言します。なお、政府・与党は復興予算を流用し、なおかつ、それをわが党のせいにするなど言語道断であり、強く抗議いたします。

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