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バイデン疑惑でメディア操作を画策、トランプ3人組の暗躍失敗 - 佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

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米ニューヨーク・タイムズは10月25日、トランプ大統領の側近3人組が対立候補のバイデン前副大統領に後れを取る選挙情勢を好転させるため。バイデン氏の息子の醜聞にバイデン氏自身が関与していたとの疑惑情報をウォールストリート・ジャーナル紙にリークし、記事を書かせようと暗躍したが、失敗したと報じた。なりふり構わぬトランプ陣営の内幕が暴露された格好だ。

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マクリーン・グループ

バイデン氏とその息子をめぐる疑惑はすでに大衆紙ニューヨーク・ポストが報じているが、これは大統領の私的弁護士のジュリアーニ氏と元ホワイトハウス首席戦略官のバノン氏が仕掛けたもの。疑惑の核心はバイデン氏がウクライナ問題を担当していたオバマ前政権の副大統領時代、息子のハンター氏の紹介で同国のエネルギー関連企業の幹部と面会したというものだ。

ハンター氏はこの企業の役員に就任して高額の報酬を得ていたとされ、トランプ陣営はバイデン氏も副大統領という地位を利用して何らかの恩恵を受けたと非難している。バイデン氏は22日のトランプ大統領とのディベートの際、「1セントたりとも受け取ったことはない」と否定している。大統領はバイデン一族を「犯罪組織」と罵っている。

ニューヨーク・タイムズによると、大統領の側近3人が10月初め、ワシントン郊外のバージニア州マクリーンにある邸宅に集まった。後に「マクリーン・グループ」と呼ばれることになる人たちだ。秘密会合を招集した人物は大統領の長男ジュニア氏と親しいニューヨークの広報宣伝マンのアーサー・シュワルツ氏。残りの2人はホワイトハウスの法律顧問のエリック・ハーシュマン氏と元次席法律顧問のステファン・パサンティーノ氏だ。ハーシュマン氏は大統領がウクライナ疑惑で弾劾訴追を受けた時に代理人を務めている。

集まった目的は、当時バイデン氏に全米平均の支持率で約10ポイントの差を付けられていた劣勢をトランプ氏優位に変えるための方策を話し合うことだった。しかし、その邸宅には彼らが希望を託すもう1人の人物が招かれていた。ウォールストリート・ジャーナルのホワイトハウス担当のマイケル・ベンダー記者だった。

ベンダー記者にはその場でバイデン氏に関する疑惑情報が手渡された。その中には、ハンター氏の事業活動を記したeメールのやり取りなども含まれていた。この4人に加え、ハンター氏のビジネスパートナーだったトニー・ボブリンスキ氏がスピーカーフォンで話し合いに参加した。ボブリンスキ氏はバイデン氏が息子の事業から利益を得ていることを公表することに積極的だった。

秘密会合が終わった時、「マクリーン・グループ」の3人組はウォールストリート・ジャーナルが記事を掲載するだろうとの感触を持ち、トランプ大統領にもその旨、伝えられた。同紙はトランプ陣営にとって、バイデン氏に打撃を与えるための報道機関としては「完璧」だった。大手紙の中では、保守的で、産業界からも信頼厚いメディアだったからだ。大統領の側近らはこれでバイデン氏をつぶすことが可能になったと確信した。

混乱させたジュリアーニの行動

トランプ陣営が高揚しながら暴露記事を待つ一方で、同紙では記事を執筆すべく準備が進められた。ベンダー記者とワシントン支局長のポール・ベケット氏は執筆を中国担当のジェイムズ・アレディ記者とハンター氏関連の取材を続けていた議会担当のアンドルー・デューレン記者の2人に任せた。アレディ記者は情報提供者のボブリンスキ氏にインタビューし、裏付け取材した。

しかし、事態は混とんとした状況に陥る。なぜなら大統領の私的弁護士のジュリアーニ氏が「マクリーン・グループ」の計画を知ってか知らずか、ハンター氏が修理に出したとされるパソコンからeメール情報を入手したとして、バイデン氏の疑惑をニューヨーク・ポスト紙に持ち込んだからだ。同紙は同14日に記事を掲載した。しかし、ジュリアーニ氏がパソコンの提供を拒否した上、記事の執筆の過程にも多くの不明な点があり、信ぴょう性に疑問符が付いた。

それでもなお、トランプ氏や「マクリーン・グループ」はポスト紙と比べ格段に影響力が大きいウォールストリート・ジャーナルの記事掲載に期待を持っていた。同紙も記事の執筆を続けたものの、「バイデン氏関与の証拠は確かなものなのか」「トランプ陣営に利用されているのではないか」など内部の議論も高まった。

トランプ大統領とバイデン氏の2回目のディベートが22日に近づく中、大統領らは19日に記事が掲載され、そうなれば逆転への新たな状況が生まれると考えていた。大統領は側近らとの同日の電話会議で、間もなく同紙に“重要な記事”が載るだろうとさえ語った。だが、こうした期待に反して記事は掲載されなかった。

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