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炭鉱のカナリア

 10月26日に臨時国会が召集されました。12月5日まで41日間の会期です。日英経済連携協定の承認案や新型コロナウイルスのワクチン接種に関する法案などが、主たる議案です。菅総理には日本学術会議の人事を巡る対応についても、厳しく問われることになるでしょう。

 私は、引き続き衆院財務金融委員会に所属することになりました。現下の財政・金融事情に強い危機感を抱く立場から、委員会審議に臨む決意です。質問のチャンスに恵まれれば、揚げ足取りではなく、本質を突いた議論をしていきたいと思います。

 コロナ禍から国民の生活や企業の経営を守るため、当面は財政出動と金融緩和に頼らざるをえません。政府が巨額の国債を発行し、中央銀行が大量に国債を購入して事実上穴埋めするやり方は、日本のみならず多くの国々で採られている政策運営です。コロナ危機を克服するためには、万やむを得ない対応だと思います。

 とはいえ、これから年末にかけて来年度予算の編成が本格化しますが、無駄やバラマキは許すわけにはいきません。「コロナ」「デジタル」「観光」等の冠を隠れ蓑に、無益であったり効果の低いプロジェクトが紛れ込む可能性があります。いかなる分野においても、的を絞った「賢い支出」を心掛けるべきでしょう。

 「どんどん国債を増発しても、日銀が国債を買うから大丈夫」という、安易な風潮が広がっているように思います。借金づけ体質にマヒしてきたのでしょうか。私は、この財政規律の弛みに強い危機感をもっています。

 日銀の国債保有残高は、今年の半ばに500兆円を突破しました。そのほとんどが長期国債ですから、保有国債の平均利回りは0.26%程度でしょう。国内長期金利は指標となる新発10年物国債が、直近で0.025%程度です。その差は僅かです。

 ちょっとした事をきっかけに長期金利が上昇し、日銀保有国債の平均利回りを上回れば、日銀は債務超過に陥ります。中央銀行が債務超過に陥れば、円という通貨の信用は全くなくなってしまうでしょう。

 中央銀行による事実上の財政ファイナンスは、他の国でも行っていることではないかという反論が予想されます。確かに、米国もドイツもその通りです。しかし、他国はコロナ禍という緊急事態への一時的な危機対応です。安倍政権の頃から異次元の金融緩和により、財政膨張を助長してきた日本とは違います。

 債務残高対GDP比が断とつで世界最悪の日本は、諸外国からすると「炭鉱のカナリア」みたいな存在です。かつて炭鉱夫たちは、カナリアの入った装置を坑道に持ち込んだそうです。カナリアは鉱夫たちに有毒ガスの存在を知らせる警報役だったのです。

 日本が破綻すれば、各国は政策変更するでしょう。危機の探知役から降りるためには、コロナ後の現実的な財政健全化計画を早急につくることが肝要です。

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