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デジタル化の中の落とし穴をなくせ

 コロナ禍の中で各種給付金や補助金が国から支給されているが、その多くは手続きが複雑であったり、本人確認に手間取ったりで、実際に国民の手に届くのが遅れてしまった。相当な金額が支給されたにもかかわらず、国民の間に不満のマグマが溜まったのは、そのような不手際によるところが大きい。菅政権の発足当初から、そのような不手際をなくすため、行政手続きのデジタル化やマイナンバーカードの普及を急ぐことが、政策課題の一丁目一番地に浮上した。

 菅総理は国会議員の中でデジタル技術に最も詳しいと言われる平井卓也衆議院議員をデジタル担当大臣に指名し、来年のデジタル庁設置や、デジタル化を促進するためのいくつかの法案の準備に当たらせている。また河野太郎議員を行革担当大臣に指名し、行革の切り口から押印の廃止など行政のデジタル化で、平井大臣の援護射撃をさせようとしている。

 この半年間のコロナ禍の中で、テレワークやオンライン授業や、遠隔診療など様々な新しい試みがなされたが、そこで露呈したのは日本社会のデジタル化が如何に他国から遅れを取っているかであった。今後コロナが収束したり落ち着いてきたりしても、デジタル化は避けて通れない道と覚悟しなければならないし、そのスピードを速めなければならない。

 官民挙げて「デジタル化を急げ」の大合唱だが、一方で我々が留意しなければならないことがいくつか挙げられる。その一つが「デジタル・デバイド」を出来るだけ発生させないことである。

 高齢者はやはりどうしてもパソコンやタブレット、スマホなどのデジタル端末の操作に慣れておらず、またデジタルの環境が整っていないところに住んでいる。障害者の方々も端末へのアクセスが容易ではない場合が多い。彼らを置き去りにすると新たな格差を生じる恐れがあり、デジタル分野でのバリアフリーや、ユニバーサルデザインを普及することが求められる。

 もう一つはGAFAに代表されるデジタル・プラットフォームを介した商取引、例えばネット通販の利用などで、消費者に被害が出ることである。一回の購入だとばかり思っていたら、いつの間にか定期購入になっていたとか、押し間違えて必要以上に過量購入をしてしまった例はざらにある。また消費者がトラブルを出品者と交渉したくても、連絡が取れなかったり仲介者が隠したりする例もある。

 さらにはネット通販利用者の嗜好を把握してターゲット広告を送りつけ、消費者の購買意欲を不必要に刺激することも問題だ。お店や商品の評価を客観的な指標によらず、勝手に掲載することによって営業を妨害するレビューのあり方なども、しっかり検討しなければならない。

 日本社会のデジタル化はコロナが収束しても取り組まなければならない重要課題だが、一方で前述したようなデジタルの落とし穴に注目して、丁寧にそれを埋めていく努力が必要になる、私が会長を務める自民党消費者問題調査会は、主にその役割を担って活動していかなければと覚悟している。

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