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アングル:トランプ氏の「米国第一」に便乗し切れなかった中国


[北京 22日 ロイター] - トランプ米大統領は「米国第一」主義を掲げて内向きの政策を行い、世界の指導的役割を放棄したが、中国はその空席を埋めるチャンスを生かし切れていない。来月の米大統領選でトランプ氏よりも国際派のバイデン前米副大統領が勝利すれば、その座は同氏に明け渡されそうだ。

トランプ政権は、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」、環太平洋連携協定(TPP)、国連人権理事会、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、イラン核合意から次々と離脱。来年7月には世界保健機関(WHO)からも脱退すると通告しているほか、世界貿易機関(WTO)については紛争解決機関の委員補充を阻み、機能をまひさせた。

中国は米政権を「離脱中毒」と批判し、習近平国家主席の下で国際国家としての姿勢を打ち出した。国連の15機関のうち4つで中国高官がトップに就き、WHOには20億ドルの拠出を表明した。

世界第2位の経済大国にふさわしい立場を模索する中で、広域経済圏構想「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)など、独自の多国籍制度も創設した。

カーネギー清華グローバル政策センター(北京)のディレクター、ポール・ハエンレ氏は「中国は米国の退場に便乗して自らの目的を押し進めるため、ベストを尽くそうとしてきた」とした上で、「しかしながら中国は、影響力の拡大を外交政策の成功へと転じることには苦心している」と述べた。

湖北省武漢から広がった新型コロナウイルス感染症の大爆発を巡って中国は、今や抑え込みにほぼ成功し、ワクチン開発も主導しているとはいえ、初期の不手際な対応が世界から批判を浴びた。

香港の弾圧、新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の大量拘束、南シナ海での人工島建設、軍事力をひけらかす対台湾政策、攻撃的な「戦狼」外交などもあり、対中国感情は悪化した。トランプ氏の政策により米国の地位は低下したが、それも中国の支えにはなっていない。

一部の米同盟国はトランプ政権に憤慨しているが、中国はそれに乗じるのに苦慮している。欧州5カ国を最近歴訪した王毅国務委員兼外相は、香港その他の問題で反発に遭った。

トランプ政権の初期に米国のアジア外交トップだったスーザン・ソーントン氏は「米国がトランプ氏の下で国際機関から退場したことで、中国がこの分野に進出する格好の土壌が整ったと多くの人々がみている。しかし印象的なのは、中国がこの機に乗じることを、いかに『戦狼』外交が阻害しているかだ」と述べた。

<反中感情>

米ピュー・リサーチ・センターの調べによると、米国を含む先進各国において、中国への反感は過去1年で大幅に強まった。

中国は4月、国内向けに報告書をまとめ、コロナ禍後に中国への敵意が高まり、世界の反中国感情は1989年の天安門事件以来で最悪となった、との警戒感を示した。この報告書はロイターが5月に報じた。

米大統領選でバイデン氏が勝った場合、同氏は中国への強硬姿勢を維持する見通しだが、同時に、より伝統的な方法で同盟国および国際機関と協力するだろう。バイデン氏はWHOから離脱せず、パリ協定には再加入すると表明している。

<成功道半ば>

中国の経済力と軍事力は拡大しているが、国際的リーダーとしては時に無様な姿を見せる。未だに発展途上国であり、米国に取って代わる気はない、などと主張する。

中国の外交関係は実利重視の傾向があり、他国の内政には干渉しない方針で、自国も同様の扱いを受けることを要求。米国は外国にまで管轄権を行使していると批判する。

一帯一路構想は、透明性の欠如、環境上の懸念、プロジェクトの財政的な持続可能性といった点で批判を浴びてきた。ただ、AIIBは国際基準に則っていると評価されている。

中国はまた、フランスにある国際刑事警察機構(インターポール)の総裁に自国の孟宏偉氏を据えることに成功したが、同氏が中国で失踪して辞任するという悲惨な結末を迎えた。同氏は今年、中国で収賄罪により懲役の判決を言い渡されている。

米外交問題評議会のシニアフェロー、ジュリアン・ゲワーツ氏は、中国は「世界統治制度の改革を主導」するとの野望を公言しているが、「その定義がはっきりしない」と指摘。「こうした文言は往々にして空疎な衣に包まれているものだ。つまり世界は中国を、その約束ではなく実績で判断すべきだ」と述べた。

(Tony Munroe記者)

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