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核兵器禁止条約が来年発効 善意が良い結果を生むとは限らない! 我が国は人道と安保の二正面作戦を


核兵器禁止条約の発効確定を受け、オンラインで記者会見する

川崎哲「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」国際運営委員(ピースボート共同代表)

https://kawasakiakira.net/

 「日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(自民党・比例代表全国区)です。

 核兵器禁止条約が、批准した国が50以上となることが確実となり、来年に発効する見通しがついたと報道されています。我が国は、唯一の被爆国として、また、広島や長崎の被爆地、被爆者の思いを受けて、核なき世界に近づいた、朗報だと一部歓迎の雰囲気があります。

 私は、そのような報道に接し、善意が良い結果を生むとは限らないという典型例ではないかと思いました。良かれと思った人道上の行動が、近隣の核保有国を利することになり、我が国の安全保障を揺るがすことになるからです。

●核兵器禁止条約と我が国政府の立場

 核兵器禁止条約は、核兵器の非人道性国際規範にしたい、違法化したいとする議論を主導してきたメキシコ、オーストリアといった国や市民社会の取組を踏まえ、国連の下での2回の交渉会議を経て、平成29年2017年7月7日に賛成多数で採択されました。

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2018/html/chapter3_01_04.html#T012 

同年、核兵器禁止条約を推進した国際NGO(非政府団体)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に、ノーベル平和賞が授与され、さらに話題となりました。

我が国政府の考え方は、一貫しており、人道上は理念を共有するが、安全保障上から慎重姿勢です。近隣には核開発している北朝鮮がおり、日米同盟による核抑止力が不可欠だからです。同条約は、核保有国が参加せず、我が国のように核の脅威に晒された非核保有国からの支持もなく、国際社会を分断しており、両者の橋渡しをしながら、別のアプロ―チで核軍縮を推進したいとしています。

  https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2018/html/chapter3_01_04.html#T012 

●我が国を取り巻く大変厳しい安全保障環境 核兵器国に取り囲まれる

 我が国政府の見解について、是とするものです。国家国民の安全を保障しなければならない政府としては当然だと思います。外交上の配慮から北朝鮮のことしか挙げていませんが、我が国は、核兵器保有国に取り囲まれています。

 スウェーデンの研究機関、ストックホルム国際平和研究所が、今年6月に発表した最新の報告書によると以下です。

 ロシア:前年の6500発から125発減り、6375発

 中共:前年の290発から30発増えて中国で320発 近代化の真最中

 北朝鮮:前年から10発程度増えて30発から40発

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201024/k10012678631000.html

 核禁条約を推進したメキシコやオーストリア、批准した50近い国々も、核兵器を保有して、さらに核軍拡しており、脅威となりうる国々に取り囲まれている国はないと思います。

 核兵器禁止は人類の夢であり、「善意」そのものだと思います。米露の核軍縮交渉が進まず、中共や北朝鮮のように逆に核軍拡を行う中で、その善意が良い結果に繋がるとは限りません。「善意」の押し売りが、核保有国に脅かされて、言うことを聞けとなり、国益が棄損され、国民が苦しむという悪い結果になることを恐れるものです。

●米の政府と報道機関の対応

 米国の国務省は、今回の条約発効について、次のように答えています。

①国際平和に必要な米国の抑止関係を弱体化させる恐れがある。

②核抑止力を必要とする安全保障上の課題を考慮していない。

③世界の核不拡散と核軍縮の中心である核拡散防止条約を弱体化させる。

以上の理由を挙げて、「米国は核軍縮プロセスを加速させる環境実現への希求を多くの国と共有している」とし、核兵器禁止条約には核保有国が参加しておらず「解決策にならない」、条約支持国は「戦略的な誤りを犯している」としています。

https://www.at-s.com/news/article/international/823426.html 

米国の報道機関は、核兵器禁止条約の発効の件について、ほとんど報道していません。我が国の報道機関も、少しは見習った方がよいと思います。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102500275&g=int 

●国民と報道機関は人道と安保の二正面作戦への理解を

唯一の被爆国でありながら、大変厳しい安全保障環境に晒される我が国は、自ずと人道と安保の二正面作戦を取ることを与儀なくされます。人道上から核なき世界を主唱するとともに、安全保障面から核軍縮を着実に進めるために、米国の核抑止力を確実にしつつ、米露の核軍縮交渉に中共を加えることに力を注ぎ、そして、北朝鮮の核開発には毅然と大量破壊兵器の拡散を防止する構想(PSI)に参加して阻止していかなければなりません。

人道と安保の二正面作戦を取るに当たり、国民の理解と冷静な報道ぶりが不可欠です。唯一の被爆国、核なき世界という人道上の側面だけでなく、併せて、我が国周辺の大変厳しいい安全保障環境の両面を国民が理解し、そして報道してほしいと念願しています。

令和2年10月26日(月)、第203回国会(臨時会)が開会となります。12月5日(土)までの41日間です。菅新総理の初めての所信表明演説があり、衆議院議員の任期が1年をきり、国会で与野党の論戦が展開されます。我が国を取り巻く大変厳しい安全保障環境の中で、国家国民の安全をしっかり保障すべく、議論をしていきたいと思います。

●核兵器禁止条約の概要

 核兵器禁止条約は、第1条において、(a)核兵器その他の核爆発装置(以下「核兵器」という。)の開発、実験、生産、製造、取得、保有又は貯蔵、(b)核兵器又はその管理の直接的・間接的な移転、(c)核兵器又はその管理の直接的・間接的な受領、(d)核兵器の使用又は使用の威嚇、(e)この条約が禁止する活動に対する援助、奨励又は勧誘、(f)この条約が禁止する活動に対する援助の求め又は受入れ、(g)自国の領域又は管轄・管理下にある場所への核兵器の配備、設置又は展開の容認等を禁止することについて規定しています。

・全条約条項は https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000433139.pdf 

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